グローバルシェアNo.1へ

オムロンの家庭用血圧計は、海外においても「精度」と「使いやすさ」の両面で高い評価と信頼を得ており、グローバルシェアNo.1の座を占めています。その背景には、「高血圧は世界の人々に共通のテーマ」と考え、1980年代初頭という早い時期から海外事業の展開を図ってきた積み重ねがあります。海外における事業展開の足跡と、高血圧関連のイベントなどへの参加をとおして進めている家庭血圧測定の普及活動など、幅広い海外活動についてご紹介します。

海外進出から世界No.1へ

オムロンの家庭用血圧計の海外進出は、1982年のドイツから始まります。当時はまだ日本でも、家庭での血圧測定があまり認識されていない時代でした。
しかも、海外での健康機器に関する基準などがわからない状態でのチャレンジで、日本の製品をそのまま持ち込んだためドイツの規格に合わず、現地のさまざまな規制にも苦労しました。その後、アメリカにも進出しましたが、1980年代は両国とも現地ブランドで販売するOEMビジネスが主流でした。
しかし、販路の拡大には自社ブランドでの展開が必須と判断し、その始めとして1990年にアメリカでOEM供給をしていた医療機器系の商社であるマーシャル社を買収。これを契機に本格的な海外での事業展開に着手し、ヨーロッパやアジアパシフィックでは独自の販路をつくるため、同年にドイツ、翌年には香港に拠点を設立するなど、1990年代前半には現在へとつながる海外事業展開のベースが整いました。

「Omron Marshall Products Inc.」設立時のセレモニー

海外では各国におけるニーズの違いなどを考慮しつつ、技術面ではオムロンの家庭用血圧計の「精度」と「使いやすさ」を訴求し、またソフト面ではサービスやメンテナンスの充実を積極的に推進していきました。その結果、オムロンの認知度が進むにつれ、技術開発力のみならずサービス体制などをふくめた事業全体に対する信頼性が急速に高まっていきました。たとえばドイツ国内の薬局が革新的な技術や優れたサービスを選出する「Best Pharmacy Partner」において、オムロンの血圧計は2003年から7年連続で金賞(最優秀賞)に選ばれています。

世界各国でのこうした高い支持を背景に、オムロンの家庭用血圧計の売上高は年率平均で10%以上の伸びを記録し、世界NO.1メーカーへと成長を遂げることができました。
現在、世界各地域におけるオムロンのシェアは、日本67%、アメリカ52%、ヨーロッパ40%(ロシアをふくむ)、中国66%、アジアパシフィック60%、東アジア48%となっていて、世界全体では51%を占めるにいたっています(2008年度予測、金額ベース、自社調べ)。
なかでも最近は、ロシアや中国での事業展開を強化し、ロシアでは2009年3月に血圧計のシェアNO.1を獲得。また中国では販売拠点20ヵ所、サービスセンター62ヵ所と広大な中国全土に販売網を広げています。一方、インドやメキシコなどの成長市場にも注目し、販売拠点の強化や新拠点の設立など、オムロンブランドの認知向上と家庭血圧の普及促進に向け積極的に取り組んでいます。

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海外での工夫と普及活動

海外では文化や考え方、ライフスタイルのすべてにおいて、日本と異なっていることがしばしばあります。健康機器のデザインなどについても同様の傾向があり、たとえば国内向けの家庭用血圧計では、ボタンなどにオレンジ色を使用しています。ところが欧米では、オレンジ色には「緊急・警戒」といったニュアンスがあり、健康機器の色にはあまり適していないため、ブルー系の色を採用しています。
またファジィ技術を搭載した血圧計(※1)も、「ファジィ」の名称が日本では家電製品などを通じて知られていましたが、海外では馴染みのない国も多かったので、「インテリセンス」という技術名称を活用するなど、現地に受け入れられやすいように工夫を重ねてきました。
海外でのこうした経験をもとに、今日では現地で開催される高血圧関連の学会やイベントへの参加をはじめ、さらに深く現地の実情に合った多様な活動を進めています。
最近の例をいくつかご紹介しますと、ヨーロッパでは、2009年、イタリア(ミラノ)で開催された欧州高血圧学会に参加し、「血圧計の新しい展望」をテーマとしたシンポジウムを開催。糖尿病患者の多いアメリカでは、AADE(米国糖尿病患者指導者協会)に協力し、糖尿病における家庭血圧管理や運動の大切さをテーマとしたイベントを開催。また、10年以上前からAHA(American Heart Association・アメリカ心臓協会)の血圧情報提供サイトに協賛しています。アジアにおいては、韓国(ソウル)で開催された世界高血圧デーに参加し、登山愛好家を対象に無料血圧測定や健康相談会を実施。フィリピン(セブ)で開催されたフィリピン薬剤師会議に参加し、「医療現場での無水銀化」をテーマとした講演を主催するなど、世界各国で現地に溶け込んだ幅広い活動を展開しています(※2)。
こうした活動をとおして、オムロンの家庭用血圧計は各国で高い支持を受け、たとえばアメリカの薬剤師会が発行する「Pharmacy Today」(2009年2月号)では、薬剤師が推奨する家庭用血圧計部門でオムロンが第1位に選ばれました。支持率は過去最高の74%に達し、2位のメーカー(8%)と比較しても、圧倒的な支持を得ています。
このほか、世界規模の活動として、ISO(国際規格協会)における血圧計規格作成委員の日本代表(2002年〜)や、WHO(世界保健機関)のプロジェクトに参加し、低医療資源地域へ血圧測定を普及するための、ソーラー電源を備えた低価格血圧計の開発(2008年〜)なども行っています。

オムロンでは今後も世界各国において、そこに暮らす人々と一緒に健康について考える姿勢を大切にしながら、家庭での血圧測定の普及を図っていきたいと考えています。

2008年 国際高血圧学会ブース(ベルリン)

2009年 欧州高血圧学会セミナー(ミラノ)

カンボジアの小児病院にネブライザを寄贈

  1. ※1ファジィは本来「あいまい」を意味する言葉で、1965年にカリフォルニア大学のロトフィ・ザデー教授(情報工学)が提唱したファジィ理論は、多数のパラメータからなる複雑なシステムを最適に制御する手法で、オムロンは1991年に世界で初めてファジィ理論を採用した血圧計「ファジィデジタル自動血圧計(HEM-706)」を発売しました。ファジィ理論により、ユーザー一人ひとり、そのときの血圧レベルに合った最適な自動設定(加圧・減圧など)が可能となり、その後の血圧計にも多大な影響をもたらしました。
  2. ※2ここで紹介したもののほか、2008年〜2009年の海外での主な活動例として、
    • ・ドイツ(ベルリン)で開催された欧州高血圧学会と国際高血圧学会の合同学術大会に参加し、シンポジウムを開催
    • ・シンガポール心臓財団が協賛する「Go Red for Women キャンペーン2009」のメインスポンサーを務める
    • ・インド(ムンバイ)で1000人以上を対象にした血圧の無料測定会を実施
    • ・ベトナム(ハノイ)で開催された「Japan Sakura Festival」に招待参加企業としてブースを出展参加
    • ・マレーシア(クアラルンプール)で開催されたマレーシア心臓学会にブース出展参加
    などがあります。