ニュースリリース

自分で測り自分で創る健康社会へ

‐一人ひとりの日常生活のモニタリングと健康データの関連の解明を目指した5,000人規模の共同研究を開始‐
経営/事業

国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
オムロン ヘルスケア株式会社
国立研究開発法人日本医療研究開発機構


国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(以下、東北メディカル・メガバンク機構)とオムロン ヘルスケア株式会社(以下、オムロン ヘルスケア社)は、日常生活のモニタリングで得られた検査値と高血圧などの疾病の関連を明らかにするための、共同研究を実施する契約を平成29年5月15日(月)に締結し、共同研究を開始しました。

本研究では、東北メディカル・メガバンク機構が実施する東北メディカル・メガバンク計画の一環としてコホート調査*1の参加者5,000人に尿中のナトリウムとカリウムのバランス(塩分と野菜や果物の摂取バランス)・身体活動量・睡眠状態を10日間にわたって自ら測定してもらいます。そのデータと家庭血圧等ほかの測定値との関連を検討し、更に遺伝情報や生活習慣情報など種々の要因を考慮に入れた総合的な解析を行うことで、「自分で測り自分で創る健康社会」の基盤構築を目指します。

東北メディカル・メガバンク計画は、東日本大震災の被災地等で健康調査を行い、被災地の健康状態の改善と遺伝要因・環境要因を考慮した次世代型医療・予防の確立を目指したもので、平成27年度より、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が本計画の研究支援担当機関の役割を果たしています。当計画では、東北大学と岩手医科大学が協力して宮城県・岩手県で15万人規模のコホート調査を実施し、平成23年度から平成28年度までの第1段階において目標としていた15万人以上の参加を実現しています。

平成29年度からは、コホート調査の参加者のその後の健康状態を調査するために、詳細二次調査*2が行われますが、当該調査に合わせて、本共同研究も実施される予定です。本共同研究では、東北大学の詳細二次調査に参加する方のうち5,000人から新たに同意を得て、共同研究に協力を求める予定です。同意いただいた方には、オムロン ヘルスケア社の尿ナトカリ計、活動量計、睡眠計を配布し、生活習慣情報を測定してもらいます。

尿ナトカリ計については、オムロン ヘルスケア社も参画している東北大学を中心としたセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラム東北拠点において、一般住民を対象としたフィージビリティ研究*3が既に行われ、有用性等が示されています。

本共同研究を通じて、より精度の高い生活習慣情報を得ることで、個人の体質に合わせた適切な予防法・治療法の開発に貢献できると考えています。またこれらのデータは、東北メディカル・メガバンク機構のバイオバンク*4に格納され、データの整理が完了すれば全国の研究者に分譲され、個別化予防・治療の研究に活用していただく予定です。

共同研究の期間は契約締結から平成30年3月31日(土)までを予定しています。

東北メディカル・メガバンク機構とオムロン ヘルスケア社は、被災地の住民の方々のご協力と、それをもとに東北大学が解析して得てきたゲノム解析情報等およびそれを可能にした技術力、そしてオムロン ヘルスケア社が保有する精密なライフスタイル評価を融合することで、世界に先駆けて「自分で測り自分で創る健康社会」を目指します。

なお、共同研究の詳細は別紙の通りです。

別紙(PDF:265KB)

  • *1.コホート調査・・・ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの環境要因・遺伝要因などと疾病発症の関係を解明するための調査のこと。
  • *2.詳細二次調査・・・最初に調査へご参加いただいた時点から健康状態がどう変化したかを把握し、生活習慣と疾病との関連を明らかにするとともに、個別化予防・個別化医療の確立に向けた研究を行うことを目的とした調査のこと。平成29年6月1日(木)から開始される。
  • *3.フィージビリティ研究・・・実際に研究用の機器等を使用した調査が実行可能か検証する研究のこと。
  • *4.バイオバンク・・・解析研究に用いることを目的とし、試料・情報を収集して長期間保存し、解析を行う研究機関に分譲するシステムのこと。