vol.107 紫外線に注意...老け顔から免疫力低下まで

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こんなにある紫外線の影響

5月から9月にかけては、紫外線(UV)が多くなる季節です。
紫外線といえば顔などにできるシミ…女性の多くが気にしているはず。でも、紫外線の影響はそれだけではすみません。シワやたるみが増えて老け顔になりやすい、目の老化を促進して白内障などを起こしやすい、さらに免疫力が低下して感染症にかかりやすいなど、紫外線の影響は多岐にわたります。
また男性、とくに中高年の方は、紫外線の影響など考えたことがないかもしれません。でも、夏になると顔や頭、手などに湿疹が出たり、かゆくなることはありませんか。あるいは風邪をよくひいて体調を崩しやすい、といったことはないでしょうか。こうしたことの原因が、紫外線ということもあるのです。
さらに、紫外線の影響で忘れることができないのが皮膚がん。日本人には比較的少ないため、関心が薄いのですが、高齢になるほど急速に増えるので注意が必要です。
現代は、オゾン層の減少などにより、30年前と比較すると紫外線量が増えています(※1)。それだけに女性も男性も、紫外線とそのケアについて、しっかり知っておきましょう。

(※1)地球を取り巻く成層圏にあるオゾン層は、太陽からの紫外線を防ぐ役割をしています。二酸化炭素などの温室効果ガスの影響によりオゾン層が減少すると、地球に降り注ぐ紫外線の量が増加します。30年前と比較すると、全地球ではオゾンの量が平均で約2.4%減少していて、日本の上空でもオゾン量の減少と紫外線の増加が確認されています。

vol.107 紫外線に注意...老け顔から免疫力低下まで

老け顔の原因となる光老化

私たちに影響を及ぼす紫外線には、波長の長いUV-Aと波長の短いUV-Bがあります。どちらも日焼けを起こし、シミなどの原因となりますが、肌の老化を促進させやすいのがUV-Aです。
UV-Aは肌の深部(真皮)にまで届き、細胞中のコラーゲンなどを破壊し、肌の弾力性を低下させます。その結果、シミだけでなく、シワやたるみなどの「光老化」を引き起こします。肌の老化は、加齢によるものよりも光老化の影響のほうが大きいといわれるだけに、アンチ・エイジングにはUV-A対策が大切です。
ただし、実際のケアではUV-AとUV-Bを区別する必要はあまりないので、ここではまとめて紫外線ケアとして紹介します。
紫外線は晴れた日だけでなく、曇りの日でも降りそそいできますし、窓ガラスから室内にも入ってくるので油断できません。また、紫外線は海辺に多い感じがしますが、じつは山や高原でも要注意。高度が1000m上がるごとに紫外線は10%以上増えます。とくに空気の澄んだ日には、紫外線が数十%も増加することがあります。
もう1つ気をつけたいのは、紫外線が来る方向。上空からの直射光だけでなく、空気の粒子などに当たって広がる散乱光や、地面からの反射光としても入ってきます。私たちが浴びている紫外線の60%は散乱光によるものです(正午時)。
直射光は日傘や帽子で防げますが、散乱光や反射光は横や下からも入ってくるので、顔や首、手などはUVケア(日焼け止め)クリームでしっかりガードする必要があります(※2)。
洋服や日傘の色は、黒などの濃い色ほど紫外線を防ぐ効果が高くなります。その反面、濃い色は熱がこもり、夏バテや熱中症の原因になる可能性も。濃い色の服や日傘を選ぶ場合は、風通しの良い素材にしましょう。
素材面では、紫外線をよく防ぐのはポリエステルで、夏に多い綿は意外なほど紫外線をとおします。好みの違いもありますが、紫外線ケアにはポリエステルが良いことを知っておきましょう。
また、睡眠不足や喫煙習慣などがあると、肌細胞の修復力が低下し、シミやシワなどができやすくなります。光老化の予防には、日頃から健康的な生活を心がけることも忘れずに。

(※2)UVケアクリームには「SPF50」とか「PA+」などの表示があります。SPFはUV-B対策の基準で、数値が大きいほど防護力も強くなります。また、PAはUV-Aから肌を守る目安で、+の数が多いほど防護力が強くなります。肌への適合性なども含め、店の人からきちんと説明を受けましょう。

目のケアもしっかりと

紫外線ケアで、つい忘れがちなのが目の保護。中高年になるにつれ、だれでも目の老化が始まりますが、それを促進するのが紫外線です。
とくに注意したいのは、白内障と翼状片。
白内障は、眼球の水晶体(レンズ)がにごり、光をまぶしく感じたり、暗い場所が見えにくくなったりして、視力が低下する病気です。紫外線が水晶体のたんぱく質に障害を及ぼすことで、少しずつにごりが生じてきます。夜間、車のライトがとてもまぶしく感じたら、白内障の可能性があります。
もう1つの翼状片は、聞きなれないかもしれませんが、黒目の部分に白目が入り込む障害で、目が充血し、視力も低下します。紫外線の影響で角膜に炎症が生じ、細胞が変質を起こすことで、黒目のなかに白いかたまりができるようになります。
こうした紫外線による目の障害の予防には、UVカットのサングラスが適しています。目に入る紫外線の約90%は、UVカットのサングラスによって防ぐことができるからです。
ただし、サングラスの色が濃くて見えにくいと、瞳孔がひらいてかえって紫外線の影響を受けやすくなるなど、逆効果になることも。人それぞれの違い(白内障が少し入っている、車をよく運転する、屋外スポーツをするなど)もあるので、眼科医などに相談して自分に合ったサングラスを選ぶようにしましょう。
また、日中はサングラスをしても、朝や夕方にはしない人が少なくありません。朝や夕方は紫外線量が減るものの、太陽高度が低いため目に直接入りやすくなるので注意が必要です。

免疫力の低下にも注意を

紫外線の影響のなかでも、近年注目されているのが免疫力の低下です。私たちの皮膚(表皮)には、細菌やウイルス、化学物質などの侵入を感知するセンサーの役割をもつ細胞(ランゲルハンス細胞)があります。ランゲルハンス細胞からの情報を得て、病気などを予防する免疫システムが働くのです。
ところが紫外線を多く浴びると、活性酸素によってランゲルハンス細胞のDNAが傷つき、うまく機能しなくなることがあります。その結果、免疫力が低下し、体調を崩しやすくなります。紫外線の多い季節に山や海へ出かけたあとは、からだの抵抗力が落ち、夏バテや風邪、皮膚疾患などにかかりやすいので注意が必要です。
ランゲルハンス細胞は、加齢によって少しずつ減少しますが、それを促進するのが紫外線です。それだけに中高年の方は、紫外線ケアをしっかりするように心がけましょう。

<中高年のUVケア5原則(外出時)>
①日傘や帽子だけでなく、UVカットのサングラスで目を保護する。
②UVケアクリームをしっかり塗る(汗などで落ちるので1日数回)。
③できるだけ日陰を歩く(日陰は紫外線量が半分程度に減少)。
④長袖を着るか、長袖の上着を持って出て、日当たりで着る。
⑤喫茶店や木陰などで休憩をとる(紫外線を長時間浴び続けない)。

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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