vol.138 「たかが便秘」とあなどらずにきっちり解消!

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寒い季節は運動不足や水分の摂取不足などで便秘になりがち。しかし「たかが便秘」とあなどってはいけません。腸内環境が悪化すると、便秘に加えて肌荒れや肩こりといったさまざまな症状が現れたり、痔や大腸がんにつながったりする危険もあるのです。今回はどうすれば便秘を解消できるか、そして腸内環境を良好に保つ方法は何かを紹介します。

vol.138 「たかが便秘」とあなどらずにきっちり解消!

便秘を放っておいてはいけない、これだけの理由

以下のような悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?

  • 太ってしまう
  • 肌荒れや肩こり、頭痛
  • 大腸の病気
  • 花粉症などのアレルギー
もしかしたらこれらは、便秘が原因かもしれません。

健康な人は通常、1日1回の排便がありますが、便秘では数日に1回程度に減少します。多くの場合、排便間隔が不規則になったり便の水分量が減少して硬くなったりしますが、「何日以上便通がなければ便秘」という明確な定義はありません。排便習慣には個人差がありますし、2~3日に1回しか排便がなくても苦痛がない場合もあります。「便通異常」に、「残便感」や「排便困難」、「腹部膨満感」などの症状を伴った場合が便秘といえます。とはいえ7日間以上便通がなければ、専門医を受診することをお勧めします。

食物を摂取するとまず胃で消化され、続いて小腸で消化吸収されます。そして大腸で水分などが吸収され、残りの老廃物と未消化の食物は、腸内の古くなった粘膜などと一緒に便となって排出されます。このときに食物繊維や水分が不足していたり、腸の働きが悪かったりすると便秘になることがあります。

血液がサラサラであれば、本来、栄養は全身に届けられるはずです。しかし腸内環境が悪いと血液もドロドロになり、血流が悪化して栄養が全身にいきわたらず、脂肪組織で蓄えられてしまいます。栄養がいきわたらないと全身の活動が低下するため、代謝機能も落ちてしまうのです。これが太ってしまう原因のひとつ。つまり、便秘を治せば太ることを防ぐことができる可能性もあるのです。
さらに、便秘によって腸内には悪玉菌が増えてしまい、有害物質がたまりやすくなります。そのため肌荒れや肩こり、頭痛が起きたりすることもあります。

また、腸内に有害物質がたまると大腸に炎症を起こすことがあります。それを繰り返すとDNAが損傷を受け、大腸がんが生じやすくなってしまいます。ちなみに女性の死因の第1位が大腸がん。大腸がんのうち、直腸とS字結腸に発生するがんが約70%を占めていますが、この2カ所は便秘が起こる場所です。もちろんがんだけでなく、大腸炎やポリープといった心配もあるので注意が必要です。

人間の免疫機能の約70%が集まっているのが腸。腸の免疫細胞の働きが低下すると、花粉症などのアレルギーの原因になることもあります。また、排便時にいきむことで痔になったり、脳卒中を引き起こしたりする危険も潜んでいます。
便秘は腸内環境が悪化したサインなので、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れないようにするなど、腸内環境を良好な状態に保つことが重要です。このように便秘を放っておくと、さまざまな症状を引き起こす危険性があるのです。

性別、年齢によって異なる便秘の原因

便秘にはさまざまな原因があります。一過性の便秘の原因の多くはダイエットによる食事量の減少や水分不足、仕事や家庭生活の急変によるストレスなどです。また、大腸の病気が原因となっている場合もあります。常習性の便秘は、腸の機能低下が原因です。常習性便秘は大きく分けると2種類。1つは腸のぜん動運動が弱く、便を押し出す力が弱いために起こる「結腸性便秘」。2つ目は、便意があっても我慢してしまうことによって次第に便意を感じなくなるために起こる「直腸性便秘」です。

女性の場合は月経前や妊娠初期に便秘になることがあります。「黄体ホルモン」が発生してカラダに水分をため込むように命令を出すと、便の水分まで大腸の腸壁が過剰に吸収してしまい便が硬くなってしまうからです。また、妊娠時には黄体ホルモンの働きによって、子宮筋が収縮します。これは流産しないようにするために必要なことですが、子宮筋だけでなく腸を動かす筋肉にも影響してしまうと腸の働きが悪くなり、さらに便秘になりやすくなってしまうのです。

また、冷え性が原因となる場合もあります。冷えによって指先や足先だけでなく全身、さらには腸の血行も悪化して腸の働きが悪くなると、老廃物がたまるからです。さらに、月経前や更年期には自律神経のバランスが乱れることで、腸のぜん動運動が弱まり、便秘になりやすいことも指摘されています。

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」を合わせた神経です。この2つのバランスがいいときは、心とカラダのバランスも良好です。というのも交感神経は活動的な部分を、副交感神経はリラックスさせる部分をつかさどっているからです。そのバランスを整えるカギを握るのが腸なのです。
加齢とともに便秘になりやすくなることも知られています。これは、大腸壁の弾力性がなくなることや、腹筋などの筋力の低下などといった理由が考えられます。

便秘解消は、まず食事の見直しから

「バランスのとれた食事を」とよくいわれますが、便秘対策として効果的な食物繊維の摂取に関しても、同じことがいえます。食物繊維には水溶性と不溶性の2タイプがあります。水溶性食物繊維は、溶けるとゼリー状になって食物をゆっくり移動させます。一方、不溶性食物繊維は便の“かさ”を増すのに役立ちます。

●水溶性食物繊維を多く含む食物の例
果物類…リンゴ、イチゴ、かんきつ類
海藻類…わかめ、昆布、モズク
キノコ類…しいたけ、えのきだけ
野菜類…キャベツ、白菜、もやし
穀類…押麦

●不溶性食物繊維を多く含む食物の例
穀類…玄米、ライムギ、小麦
豆類…大豆、えんどう豆、いんげん豆
イモ類…さつまいも、里芋
野菜類…ブロッコリー、オクラ、かぼちゃ

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、1:2の割合で摂取するのが理想といわれています。納豆は、100g中水溶性約2g、不溶性約4gの食物繊維を含んでおり理想のバランス。1パックで1日の必要量のおよそ7分の1を摂取できます。ちなみに食物繊維を摂取しようと、レタス中心の野菜サラダをメニューに加えても、理想的な割合にはなりにくいので注意が必要です。レタスに含まれる食物繊維の割合は野菜のなかでも低いうえ、水溶性1に対して不溶性は10です。そこでレタスサラダには、水溶性食物繊維を多く含むほかの野菜や海藻類をプラスするのが賢い選択といえます。

また、個人差はありますが、玄米を主食にする場合も注意が必要です。不溶性食物繊維が多いため、腸の調子が悪いときに摂りすぎると未消化になって、便秘の原因になることがあるからです。
腸内環境のためには、乳酸菌や発酵食品も重要です。ヨーグルト、ナチュラルチーズ、ぬか漬け、キムチ、味噌などは毎日の食事に積極的に取り入れたいところです。また、善玉菌のえさとなるオリゴ糖や納豆菌も便秘対策のためのポイントです。
なんといっても重要なのはバランス。多くの素材を食べることが、その第一歩といえます。

見直すべき生活習慣と、取り入れたい運動

便秘解消に重要なもうひとつの要素は、1日のリズムです。起床時間はできるだけ一定にして、起きたら朝日を浴び、コップ1~2杯の温かい水分を飲みましょう。そして食物繊維が豊かな朝食を摂りましょう。
リズムが重要な理由は、交感神経、副交感神経、どちらの活動が過剰になっても便秘になる可能性があるからです。朝、目覚めたときは副交感神経が優位なので、排便に必要な反射を起こしやすい時間帯。朝食を摂れば直腸反射の便意が起こりやすいのです。朝食のメニューとしておすすめなのは、食物繊維が摂れる野菜やバナナ、リンゴ、そして乳製品などです。もちろん、よく噛むことも重要です。唾液が分泌されることで消化がよくなり、胃腸の負担が減らせるため、便秘解消に結びつきます。

そして運動も欠かせません。腸の具合が悪い人のほとんどには運動不足の傾向がみられます。体操など、カラダに負担がかからない軽い運動を毎日続けることが重要です。30分以上のウォーキングは腸の働きを良くし、血液の流れを促進します。
寝ころんだ状態でのちょっとした運動でも、効果が得られる場合もあります。例えば足を垂直に上げ、膝を直角に曲げた状態からスタートし、自転車をこぐように足を回すだけでも血流の改善に役立ちます。これなら楽な運動ですから、毎日続けることができるのではないでしょうか。いずれにしろ「継続は力なり」。ハードな運動は続けることが難しいため、身に付きません。自分に合って継続できる運動を見つけることが一番といえます。
また、腹部のマッサージを行うのもひとつの方法です。これは、おなかをさすったり軽く押さえたりするだけの簡単なもので、おへそを中心に半径5~6㎝の円を描くように、時計回りに行うのが基本です。また、便がたまりやすいのはおなかの四隅。おへそから斜め45度となる4カ所を、指先や手のひらを使って重点的にチェックしながらマッサージするのがポイントです。
さあ、便秘を解消するために、毎日の生活習慣を見直してみてはいかがでしょう。

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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