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2017.06.09

vol.168 口臭って病気? それとも......?

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Vol.168 口臭って病気? それとも......?

気になり出したら気になって仕方がないのが口臭です。そのため口臭を気にしている人は、顔を近づけて話すことを避けてしまいがちで「人づきあいが悪い」と思われたり、狭い会議室でのミーティングを嫌ったりするなど、いいことはありません。口臭の原因はいくつかありますが、そのほとんどはきちんと対処できるものです。ではどうしたらいいのでしょうか。それを探っていくことにしましょう。

口臭って特殊なものなの?

口臭は特殊なものではなく、誰にでも発生します。
朝起きたときは口の中が乾燥しているので、細菌が増えてしまうため口臭の原因となるガス・揮発性硫黄化合物が発生します。「朝起きてから水分補給や食事をする前に、歯を磨くか最低でも口をすすぎましょう」とされているのは、口の中の細菌を体内に入れないようにするためですが、口臭対策にもなります。

空腹の場合にも口臭が発生しますが、それは主に二つの理由からです。一つは唾液が少ないこと。唾液が多いと口の中の細菌が減少しますが、空腹だと唾液が少なくなり細菌が増加してしまい、口臭の原因となります。もう一つは、消化活動が行われないこと。空腹時には胃にある膵液が消化に使われないため、分解されてしまいます。するとガスが発生し、そのガスが血液に取り込まれて呼気として吐き出されてしまいます。これが口臭の原因になることもあるのです。そのため、朝食を抜くと口臭がひどくなることがあります。朝ごはんをしっかり食べることは健康につながるだけでなく、唾液を分泌させて胃の消化活動を盛んにさせることで、口臭対策にもつながります。

緊張したときにも同じことがいえます。思わず「つばを飲み込む」ような状態のときは、緊張感から唾液の分泌が低下して口の中が粘ついてしまっています。そのため口臭が発生するのです。
これら起床時、空腹時、緊張時などに発生するのは、誰にでもある「生理的口臭」です。

生理的口臭と別のタイプなのが「病的口臭」です。これは、ほかの病気が原因となって起こる口臭です。
虫歯や歯周病などによっても、口臭が起こることがあります。虫歯や歯周病の場合、歯周に炎症が起きていると口臭の原因になります。破損した歯が周囲の歯肉に影響して炎症を起こすことも口臭の原因になります。
また、そのほかで口臭の原因となることがある病気には、胃腸の病気や鼻炎、気管支や肺の疾患、糖尿病や肝臓病などがあります。

「臭い玉」っていったい何?

口臭の原因となるものはさまざまですが、その中で最近、話題となっているのが「臭い玉」と呼ばれるものです。臭い玉は、喉の両脇にある扁桃にできる「白いつぶつぶ」です。大きさは米粒程度のものが多く、咳やくしゃみで排出されることもあります。それを手に取って嗅いだところ“硫黄をさらに強烈にしたような臭い”がしたといいます。
扁桃には数十個の穴が開いており、体内に侵入しようとするウイルスや細菌をここで捕獲します。そのウイルスや細菌の死骸がたまってしまったものが、臭い玉の正体です。そのため、扁桃を持っている人なら誰にでもできる可能性のあるものです。
臭い玉は「膿栓」という名称で、飲み込んだり、咳や痰で排出されるのが普通です。しかし、唾液が少なくなっていると臭い玉がたまりやすくなってしまい、口臭の原因となります。口呼吸をしているなど、口の中が乾燥している場合には気をつけなければいけません。

臭い玉は無害化されているので、体内に入ってもほとんど害はありません。しかし、臭い玉がたまり続けると慢性扁桃腺炎になることがあります。また、臭い玉が原因で、腎臓病(IgA腎症)や心臓病、大腸炎、関節炎、掌蹠膿疱症 (しょうせきのうほうしょう) などといった病気につながりかねません。そのためには臭い玉がたまらないようにすることが重要ですが、臭い玉を自分で除去しようとすると、扁桃を傷つけてしまうリスクがあるので避けましょう。専門医を受診して、吸引・除去してもらうことをお勧めします。

ホルモンの変調も口臭の原因に

実は口臭には、ホルモンの変調などに起因するものもあります。妊娠時口臭、月経時口臭などは、ホルモンの変調に伴う口臭とされています。
排卵予定日の48時間以内には血清中の女性ホルモン・エストロゲンはピークとなり、口の中のにおいのもととなるガス・揮発性硫黄化合物が急増するとされています。月経の始まる前にも揮発性硫黄化合物の上昇がみられることも報告されています※1。

妊娠時に口臭が起こることもあります。妊娠すると、女性ホルモン・エストロゲンやプロゲステロンの分泌が高まります。私たちの体にとって、女性ホルモンは非常に有効な働きをしてくれるのですが、残念なことに歯周組織の炎症を悪化させ、歯周病菌の増殖を促す働きも持っています。そのため妊娠時には、歯周病が進行しやすくなります。
妊娠中には唾液の分泌が少なくなってしまうこともあります。また、つわりなどの影響で歯磨きをする時間が短くなるなどの悪影響もあります。免疫力が低下しがちな妊娠時に、これらの影響が重なることで歯周病が悪化し、それが口臭につながってしまうことがあるのです。
また、思春期や更年期にもホルモンのバランスが崩れるなどの理由から、口臭が発生することがあります。こんな時期はなおさら、口の中を清潔に保って口臭に対応しましょう。

活性型ビタミンなどのビタミン剤も口臭の原因になることがあります。口臭予防のために、ニラやニンニクなどを避ける人も多いでしょうし、アルコールやたばこが口臭の原因であることは誰もが疑いを持たないでしょう。しかし、ビタミン剤の中にも口臭の原因となるものがあるのです。ビタミン剤を利用する場合には、薬剤師に相談してみることもポイントです。

口臭の原因のほとんどは口の中にある

ここまででおわかりのとおり、口臭のほとんどの原因は口の中にあります。その割合が80~90%という専門家もいます。
生理的口臭の多くは、歯磨き、食事、ガムをかむことなどによって、かなり解消できます。口呼吸などで口の中が乾燥しがちな場合は、唾液を分泌させるようにすることも重要です。食事では20~30回噛むなど、地道な努力を重ねましょう。
舌の表面にできる白い苔のような舌苔は、口臭の原因です。しかし、舌苔を除去しようと、あまりにも強く舌を擦ってしまうことで、逆効果となる場合があります。硬いもので磨きすぎて、余計に舌が白くなってしまうなどです。こういったことを防ぐために、舌苔を取るときには歯ブラシを使うことは避けましょう。舌の表面を傷つけてしまうリスクがあるからです。専用の舌ブラシなどの用具を使うことが一番です。
また、食べ物のカスが口の中に残っている場合にも、口臭の原因となることがあります。歯の間にたまったカスが腐敗するなどして、細菌が繁殖してしまいます。食べ物のカスは細菌にとって、絶好の栄養です。食後に洗浄液で口をすすぐなどで、対策を行いましょう。

これらの要素が複数重なって口臭が発生している場合もあります。何が原因か自分で判断できない場合には、総合病院の口臭外来を受診するのも一つの方法です。総合病院がない場合は、歯科医に相談しましょう。多くの歯科医は口臭も含め、口腔内全般も診てくれます。
病的口臭に関しては、もととなる疾患を治療すると、口臭も改善できるケースが多いようです。もちろん、疾患が体に与えるダメージのほうが口臭より大きいわけですから、専門医を受診して、疾患の治療を適切に行うことが重要なのはいうまでもありません。

最近、口臭の消臭効果が期待できると報告されたのが甜茶(てんちゃ)です。
植物由来ポリフェノール類は、口臭の原因物質に対して親和性が高く優れた消臭効果を発揮するとされています。そんななかで、甜茶抽出物やタンニン類は唾液分泌量を促進し、口臭抑制に関与しているという試験結果が得られているのです※2。
古くからいわれているように、お茶や牛乳にも口臭に効果があります。リンゴに含まれるリンゴ酸も口臭を除去してくれ、とくに生理的口臭に効果があるといわれています。歯磨きやガムなどと同時に、自分に合った口臭対策を見つけると同時に、それらの対策が功を奏さない場合は、専門医を受診してみてください。

※1 「口臭への対応と口臭症治療の指針2014」(日本口臭学会編)より

※2 「甜茶抽出物の保湿機能と口臭消臭効果」中野扶佐子 FRAGRANCE JOURNAL 2016-3 より


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