OMRON All for Healthcare

2005.05.10

vol.23 シックハウス症候群の予防は生活環境の改善から

LINEで送る 一覧に戻る

シックハウス症候群とは?

Vol.23 シックハウス症候群の予防は生活環境の改善から 初夏は一年でもっとも過ごしやすい季節ですが、同時にシックハウス症候群にも注意したい時期です。新しい住まいに慣れたころ、風邪や花粉症に似た症状に悩まされていたら、それはシックハウス症候群かもしれません。
シックハウス症候群(Sick House Syndrome)とは直訳すると「病気の家、症候群」ということになり、“居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅においてみられる健康障害の総称”を意味します。
シックハウス症候群の代表的な原因は、建材や家具などに含まれる化学物質が発散する有害なガスです。代表的なものとして、合板の接着剤や塗料、防腐剤に使われるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレンなどがあります。その多くは揮発性物質で、気温が高くなるにつれ発散量が急速に増加するため、この季節には室内の化学物質濃度が高くなります。
また、湿度も高くなる季節なので、カビやダニなどによるシックハウス症候群も多くなります。

厚生労働省の「室内空気質健康影響研究会」の最新報告(2004年2月)によりますと、シックハウス症候群の典型的な症状は、

(1)皮膚や目、のどなどの刺激症状(目がチカチカしたり、のどの痛みがある)
(2)全身倦怠感、めまい、頭痛・頭重などの不定愁訴


とされています。また、化学物質過敏症との関連なども報告されています(*1)。

こうした症状は、新築の家の場合にもっとも注意が必要ですが、壁紙や床板のリフォームをした後、あるいは大型の家具(タンスやテーブルなど)を購入した後も要注意です。皮膚疾患や目・のどの不調など、原因不明の体調不良が続くような場合には、シックハウス症候群を疑ってみましょう。

(*1)化学物質過敏症とは、住まいに限らず排気ガスや化粧品、たばこの煙などさまざまな化学物質に反応する病気を指します。シックハウス症候群がきっかけで発症する人も多くいます。

シックハウス症候群の原因は?

シックハウス症候群にはさまざまな発症要因がありますが、とくに次の3つが揃うと発症しやすいことがわかっています。

(1)室内に有害な化学物質やカビ、ダニなどの原因物質がある。
(2)室内の気密性が高い。
(3)住む人があまり換気をしない。


このうち(1)は直接的な原因、(2)は住宅の性能が高くなったこと、(3)は住まい方や生活習慣によるものです。
まず原因となる物質について、知っておきましょう。

●化学物質の場合

室内の化学物質のうち健康への影響がもっとも大きいのは、発がん性が指摘されているホルムアルデヒドです。ホルムアルデヒドについては2003年に建築基準法が改正され、発散量に応じて建材に等級が付けられ、それ以外のものは使用できなくなりました(*2)。発散量がもっとも少ない等級の建材には「F☆☆☆☆」という印が付くので、家を建てる時やリフォーム時などに私たちにもチェックしやすくなりました(*3)。
ただし、ホルムアルデヒドは基準内の量であれば使用できますし、化学物質にはほかにも多くの種類があります。また、家具やカーテンなどの化学物質による空気汚染もあるので、自分たちでできる予防策は立てておくことが大切です。

建材などに含まれる主な化学物質

  • ホルムアルデヒド・・・合板、壁紙などの接着剤
  • アセトアルデヒド・・・防カビ剤、香料など
  • トルエン・・・内装材、家具などの接着剤、塗料
  • キシレン・・・内装材、家具などの接着剤、塗料
  • エチルベンゼン・・・内装材、家具などの接着剤、塗料
  • クロルピリホス・・・防アリ剤、農薬
  • スチレン・・・ポリスチレン樹脂、合成ゴムなど
  • その他、フタル酸ジ‐n‐ブチル(塗料、顔料)、テトラデカン(灯油、塗料)、ダイアジノン(殺虫剤)など。

●カビやダニの場合

カビやダニの多くは、生活の中で発生してきます。例えばエアコンをつけた時、風がちょっと臭いと感じたら、それはカビの胞子が飛び散っている可能性があります。
たかがカビと思われるかもしれませんが、カビの胞子を吸い続けていると、集中力の低下やアレルギー、からだがだるくなるなどの健康障害が起こることもあります。
また、からだに虫にさされたような痕がありかゆい時には、ソファやじゅうたん、畳、布団などにダニが発生している可能性があります。
いずれもエアコンやソファ、じゅうたんなどの掃除が十分でないため、また室内の風通しや換気がよくないために生じたものです。

(*2)ホルムアルデヒドとシロアリ駆除に使用されるクロルピリホス以外の化学物質については、厚生労働省により室内濃度指針が設けられています。

(*3)ホルムアルデヒドの発散量による建材の規格は、「F☆☆☆☆(無制限に使用可能)、F☆☆☆(床面積の2倍まで)、F☆☆(床面積の0.3倍まで)、それ以外(内装への使用は不可)」を基準にし、住宅の換気量に応じて使用可能面積は調節されます。現在、新築住宅ではF☆☆☆☆規格の建材が多くなっています。

予防と対応策1 窓開けと換気

シックハウス症候群の予防や軽減には、窓開けと換気が基本となります。現代の住まいはマンションや一戸建てを問わず、アルミサッシ窓によって気密性が非常に高く、化学物質などが蓄積しやすい環境にあります。
単身者や共働き夫婦の場合には、一日の半分以上の時間、部屋が締め切り状態ということも少なくありません。帰宅時には室内の化学物質濃度がかなり高くなっています。また反対に、お年寄りの場合は丸一日自宅にいることも多く、長時間にわたり化学物質の影響を受けることになります。
こうした室内環境を変えるためには、できるだけ窓開け(通風)と換気をすることが大切です。朝起きたら窓を開けて、換気扇を回す。帰宅した時も窓を開けて、換気扇を回す習慣をつけましょう。窓開けと換気扇の使用を両方一緒に行うことで、室内の換気を速くすることができます(*4)。
またエアコンをつけていると、空気が自然に入れ替わると思い違いをしている人が多いようですが、家庭用エアコンのほとんどは室内の空気を循環させるだけのタイプです。窓開けや換気をしないと、汚れた空気がたまっていくことになります。
新しい住宅やリフォーム直後の住宅の場合には、入居前にできるだけ換気をしておくこと。また、入居後もホルムアルデヒドの濃度が下がるまでの数カ月間は、1時間に1回程度の割合で積極的に窓開けや換気をすることが大切です(*5)。
古い住宅でも、タンスなどの大きな家具やカーテン、じゅうたんを替えたことがきっかけで、シックハウス症候群を起こすことがあります。この場合にも、窓開けや換気でしっかり対応しましょう。
さらにカビやダニの予防にも、窓開けと換気が効果的です。高温多湿の時期にとくに湿気がたまりやすいのは、北側の押し入れ、タンスやソファの裏側の壁、バスルーム、洗面所などです。時々は窓だけでなく各部屋の戸も開けて、こうした場所にも空気を通すように気をつけましょう。押し入れの場合は戸(襖)を開けた上で、扇風機で空気を入れ替えると効果的です。

(*4)超高層マンションの上階では窓を開けにくいことがあります。この場合には換気装置を十分に活用することが大切です。

(*5)改正建築基準法によって、新築住宅には24時間換気設備の設置が義務付けられています。しかし、音がうるさいことや空気の流れで寒さを感じるなどの理由から利用しない人も少なくありません。シックハウス症候群の予防には換気が重要な意味をもっていることを知っておきましょう。

予防と対応策2 生活上の注意

現代の生活には、知らず知らずのうちに化学物質を増やしてしまう要素がたくさんあります。
例えば床にワックスをかける、殺虫剤をまく、芳香剤や消臭剤を置くといったことも、室内の化学物質を増やす原因のひとつです。影響の程度は人によって違いがありますが、小さな子どもがいたり、呼吸器の弱い方のいる家庭では、できるだけ使用しないか自然素材のものにすることが大切です。
また体内に蓄積した化学物質は、代謝をよくし、汗を出すことである程度は排出することができます。軽く汗をかくくらいの運動を続けることや、低温サウナでじっくり汗を出すなどの方法も予防につながります。運動は、自律神経のバランスを整える効果もあるので、症状の緩和にも役立ちます。
カビやダニの予防は、まずこまめに掃除をすることです。バスルームや洗面所の水滴はきちんと拭き取る、じゅうたんや畳は掃除機でしっかりごみを吸い取る、ぬいぐるみなどの布類は時々洗って太陽に当てる…。こうした生活上の細かい心遣いが、対策の基本となります。
シックハウス症候群は発症するといろいろな化学物質に過敏になり、香水やドライクリーニングした洋服、合成樹脂の製品などにも反応し、体調をくずすことになりかねません。さらに悪化すると引越しや家の建て替えが必要となることもあります。思いあたる症状がありましたら、生活の改善などをとおして早めに予防策をとるようにしましょう。

shadow
このページの先頭へ戻る