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2005.06.10

vol.24 食中毒に負けない! 免疫力を高める生活を

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食中毒は減っていない

Vol.24 食中毒に負けない! 免疫力を高める生活を 梅雨時から夏にかけては、気温と湿度の両方が上昇し、細菌が繁殖しやすくなります。それだけに一年でもっとも食中毒に気を付けなければならない時期です。食中毒を起こすと、腹痛、下痢、嘔吐(吐き気)などの不快な症状が重なり、時には生命が奪われることもあるだけに、油断はできません。 近年、冷凍・冷蔵技術が進歩したため、食中毒は減っているように思われています。ところが厚生労働省の統計調査では50年以上にわたり、毎年25,000人~40,000人もの食中毒患者が発生しています(※1)。
食中毒にはきのこやふぐの毒によるものなどもありますが、原因の大半は、腸炎ビブリオやサルモネラ属菌などの細菌性のものです。こうした細菌をいかに繁殖させないようにするかが、予防のポイントの一つになります。
また同じものを食べても、食中毒を起こす人と起こさない人がいます。その違いは免疫力(病気に対する抵抗力)の差です。それだけに日頃から免疫力を低下させない生活を心がけることも、予防の大切なポイントです。
統計では、食中毒は飲食店で発生することが多く、家庭での発生率は20%程度です。しかし保健所などに報告されていない、家庭での軽い食中毒の発生数は、実際には非常に多いと考えられています。冷凍庫付き冷蔵庫が普及した結果、食品の保存が容易になり、それが油断につながることもあります。そのため家庭での食中毒をいかに防ぐかも、予防には欠かせないポイントだといえます。

(※1)厚生労働省医薬局食品保健部「食中毒統計」によりますと、平成16年度には1666件・28,175人の患者が発生しました(速報値)。ちなみに最近で患者数が多かったのは平成12年度の2247件・43,307人です。

食中毒の原因となる細菌

食中毒の原因となる細菌には、次のようなものがあります。

●腸炎ビブリオ
魚介類(とくに刺身やたたきなど)に多くみられます。低温と真水に弱いので、冷蔵庫で保存し、家庭で魚をさばく時には身を流水でよく洗うことが大切です。増殖スピードが速いので、調理後は早めに食べるようにします。15分程度の加熱で死滅するので、この時期は煮たり焼いたりしたほうが安心です。

●サルモネラ属菌
鶏卵や食肉が原因となりやすい菌です。生卵や加熱の不十分な卵料理には、とくに注意が必要です。生卵は新鮮なうちに使い、割った卵は早めに使い切ること。ゆで卵は卵黄が固まる程度まで加熱します。食肉の場合は、75℃(肉の中心温度)で1分程度加熱することで菌は死滅します。

●カンピロバクター
鶏肉が原因となりやすく、牛レバーで発生することもあります。低温に弱い菌なので、食品は冷蔵保存します。感染力が強く、少数の菌でも食中毒を起こす可能性があるので、できるだけ生食は避けましょう。

●黄色ブドウ球菌
人の皮膚などに付着し、とくに化膿した傷口に多くみられます。けがをした手で調理した時、食品にうつることもあります。調理の前には十分に手を洗い、傷もきちんと手当てをしておきましょう。

●その他
平成8年に大量発生して話題となった腸管出血性大腸菌(O-157)、魚類に多くみられ強い毒素をもつボツリヌス菌、つくり置きしてそのままの状態のカレーなどにも発生するウェルシュ菌など。
最近は輸入食品が増え、また海外旅行での感染も少なくありません。日本ではあまり見られない細菌もあるので、知らない食品を生で食べるのはやめましょう。

こんな症状には要注意

食中毒というと、食べてから数時間程度で発症すると思っている人が多いのですが、実際にはさまざまなケースがあります。潜伏期間が1週間以上もあって、原因がわかりにくい場合もあるので、症状にはとくに注意が必要です(※2)。 一般に食中毒の症状は、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などが代表的なものです。ただ細菌の種類や人によっては、微熱や食欲不振の症状がまず出て、風邪と間違えることもあります。下痢や嘔吐が治まらない場合や発熱を伴う場合は、すぐに病院に行くようにしましょう。風邪薬や整腸剤(下痢止め)で済まそうとすると、かえって悪化させてしまうことがあります。下痢が続く時には、スポーツドリンクやお茶などで水分補給をし、脱水症状を起こさないように気を付けましょう(※3)。 病院に行く時には、下痢などの特徴を医師に伝えるようにします。例えば水のような下痢を繰り返すとか、血便が混じるといった内容です。細菌の種類によって薬や治療法が異なるので、症状の報告は医師が判断するための貴重な材料となります。

(※2)細菌が混入した食品を食べてから発症までの時間は、例えば腸炎ビブリオの場合は3~40時間、サルモネラ属菌の場合は半日~2日程度、O-157の場合は3日~1週間もかかることがあります。
(※3)高齢者はもともと体内の水分が少ないので、脱水症状にはとくに気を付ける必要があります。

予防策1 からだの防御機能を高める

細菌が混入した食品を食べても、すぐに食中毒を起こすわけではありません。私たちのからだには、食中毒菌などを撃退するいろいろなメカニズムが備わっているからです。日頃から体調管理や生活習慣に気を付け、防御機能を高めておくことが大切です。

1.唾液

唾液に含まれる酵素には、強い殺菌効果があります。ただし唾液は、よく噛まないと分泌量も少なくなります。早食いのクセがある人は唾液の分泌が少ない上、味の異変を感じる前に飲み込んでしまう傾向があるので、味わいながらよく噛む習慣をつけるようにしましょう(※4)。

2.胃液

食品に混入している細菌の大半は酸に弱いので、胃液の中の胃酸によって殺菌処理されてしまいます。胃酸は、私たちのからだが備えている最強の食中毒防御機能といえます。ただし、胃の状態が悪い時やストレスを受けた時には、胃液の分泌量が減り、殺菌力もそれだけ低下してしまいます。そのため消化不良やストレスなどには、十分に気を付けることが大切です。

3.腸内細菌

腸にすむ多くの細菌のうち善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌には、食中毒菌が腸管に侵入するのを防ぎ、からだの外へ排出する働きがあります。日頃から乳酸飲料やヨーグルト、食物繊維の多い食べ物(ごぼうなどの根菜類、きのこ類、海藻類など)を積極的にとって善玉菌を増やし、腸内環境を整えることも食中毒の予防につながります。

(※4)西岡一著『あなたの食卓の危険度』(農山漁村文化協会)では、唾液の効用として発がん性物質やカビの毒性を弱める実験結果などが紹介されています。

予防策2 体の免疫力を低下させない

一般的に食中毒は、子どもやお年寄りほど影響を受けやすい傾向がみられます。子どもはまだ免疫機能が十分に発達していないこと、またお年寄りの場合は体力の低下により免疫力も低くなっているためです。
このことから食中毒の予防には、免疫力が重要な役割を果たしていることがわかります。体力が充実し、免疫力が高い人ほど、同じ食事をしても食中毒にかかりにくいのです。予防策①で紹介した防御機能も、私たちのもつ免疫力のひとつだといえます(※5)。
免疫力は、疲労や睡眠不足が続いたり、ストレスを受け続けていると低下します。また、仕事などが忙しくて食事をきちんと食べなかったり、風邪などを放置して体力が落ちている時も同様です。
免疫力の低下を避けるためには、まず睡眠や食事をきちんととること。また、軽い運動や趣味などで気分転換をして、ストレスを解消することを心がけましょう。仕事などの関係で生活が不規則になっている時には、できるだけ生ものは食べないといった自衛策をとることも大切です。

(※5)とくに腸には免疫細胞が数多くあります。善玉菌が増えて腸内環境が改善されると、免疫細胞の活動も高まります。

予防策3 家庭で気を付けること

食中毒は、家庭でのちょっとした油断からも起こります。とくに注意したいのは、次の点です。

●食品の保存

  • 冷凍・冷蔵が必要なものは買い物から帰宅したらすぐ保存する。
  • 肉や魚は汁がほかに付かないようにポリ袋などに入れる。
  • 冷凍庫や冷蔵庫の温度が上がらないよう開閉は少なくする。

●食品の調理

  • 調理の前に必ず手を十分に洗う。
  • 冷凍品の解凍は室温でしない(冷蔵庫で解凍する)。
  • 一度解凍したものを再び冷凍しない。
  • 肉や魚に触れた手で、生野菜に触れない(その都度手を洗う)。
  • 肉や魚を扱うまな板と、生野菜などを扱うまな板を別にする(まな板の両面に分けて使う)。
  • 肉や魚を扱った包丁やまな板はすぐに洗う。
  • 生野菜は流水でよく洗う。
  • 加熱すべきものは十分に加熱する。
  • 調理中はペットに触れない(サルモネラ属菌はペットからも感染する)。

●食事

  • 作ったら早めに食べる(O-157は室温で15分放置すると、2倍以上に繁殖する)。
  • 刺身などは食べる直前に冷蔵庫から出して盛り付ける。
  • 少しでもおかしい味がしたら、食べずに捨てる。

●調理器具などの管理

  • まな板と包丁、スポンジなどは洗剤で洗うだけでなく、熱湯をかけて消毒する(週に3回程度)。
  • まな板は時々、日光に当てて消毒する。
  • ふきんは漂白剤にひと晩つけて消毒し、汚れがひどいものは交換する。

(厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」などから作成)

お母さんがけがをした手でおにぎりを作り、傷口の細菌から家族が食中毒を起こした例もあります。梅雨のこの時期、食べ物の扱いにはいつも以上の気遣いが必要です。


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