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2007.04.10

vol.46 肥満解消の食習慣を身に付けよう

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肥満の人の食習慣とは

Vol.46 肥満解消の食習慣を身に付けよう 生活習慣病の予防や改善には、肥満の解消が欠かせません。ところが厚生労働省の調査では反対に、肥満(BMI値が25以上)の人が増えています。とくに30~60歳代の男性では、30%もの人が肥満という結果が出ています(※1)。
肥満解消のための食事療法というと、食事の量を減らしたり、低カロリーの料理に変える方法が一般的です。でももうひとつ、忘れてはいけない要素があります。それは食習慣の見直しです。
実は肥満の人は、次のような「太りやすい食習慣」をもっていることが多いのです。

(1)早食い
(2)よく噛まない
(3)間食をする
(4)食事時間が不規則


このほか、「油を使った料理が好き」「濃い味付けが好き」などがありますが、ここでは代表的な(1)~(4)の食習慣が、なぜ肥満を招くのかをご紹介します。

(※1)厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成16年)」。女性の場合は60歳代で肥満の人が30%を超え、反対に20歳代では低体重が20%を超えています。

早食いは太るのか

早食いは太る…いくつかの調査から、それが実証されています。
名古屋大学グループが「食べる速さと体重」の関係を調査したところ、「ふつうの速さの人」の平均体重と比較すると、「かなり速い人」は男性の場合 3.9kgも重く、女性の場合も3.2kg重いという結果が報告されています。反対に食べる速さが「かなり遅い人」は男性で3kg軽く、女性で2.7kg 軽くなっています(※2)。
この調査で興味深いのは、食べる量を同じと想定しても、同様の結果になることです。量とは別に、早食いそのものが体重を増やす一因になっているのです。
また、国立健康・栄養研究所がかつて女子大生を対象に行った調査でも、食べる速さが「とても速い人」は「とても遅い人」よりも、平均体重で5.8kgも重いことが報告されています(※3)。
これらの調査から、年齢や性別にかかわらず「早食いのクセ」が「太りグセ」につながっているといえるでしょう。

(※2)名古屋大学の豊嶋英明教授・玉腰浩司助教授らによる調査(2006年報告。対象は35~69歳の男女約4700人)。

(※3)国立健康・栄養研究所の佐々木敏氏の報告による(1997年)。『栄養と料理』(女子栄養大学出版部)2005年1月号より。

噛まないことの影響とは

よく噛まずに食べることも、肥満の一因となります。それは、よく噛まないと、満腹感が得られにくいからです。
私たちが食べものを噛むと、その情報は脳の視床下部に伝わり、神経伝達物質のヒスタミンが分泌され、満腹中枢を刺激して満腹感を得ることができます。ヒスタミンは、よく噛むほど多く分泌されます。反対によく噛まないと分泌量が少なく、満腹感が得られにくいため、つい食べすぎにつながってしまうのです。
実際に、おにぎり(1個約100g)を通常の食べ方で食べると、約7個で満腹になるのに対し、よく噛んで(1分間に88回)食べると約5個で満腹になるという報告もみられます(※4)。よく噛むと、食べる量が少なくても満足できるのです。
また早食いの人ほど、野菜などの食物繊維の摂取量が少ない傾向もみられます(※5)。食物繊維はよく噛まないと飲み込めないため、早食いの人は無意識にこうした食べものを避けているのです。
これらのことから、「早食い」と「よく噛まない」ことは、相乗的に肥満に影響しているといえます。

(※4)(財)ライオン歯科衛生研究所と東京歯科大学による、20~50歳代の男女を対象とした調査(2004年)。

(※5)前述の国立健康・栄養研究所の佐々木敏氏の報告による。

間食はなぜ悪い

一般に間食の食べものは糖質や脂質が多く、カロリーも高めです。ケーキセットやポテトチップス(1袋)だと、種類にもよりますが400~600kcalにもなります。ランニングを30分程度続けても、消費できないカロリーです。
オフィスワークや家事などの軽労働の場合、1日の適正摂取エネルギー量は1800~2000kcalですから、間食だけでその3分の1~4分の1を占めてしまいます(※6)。
また間食をすると、血糖値が上昇し、インシュリンの分泌が必要となります。血糖値が高めの人にとっては、すい臓に大きな負担をかけることにもなります。
さらにいつも間食をしていると、それがクセになります。昼食や夕食をしっかり食べた後でも、少したつと口さびしくなり、ついお菓子などを食べ、余分なカロリーをとる結果になります。労働量や運動量が多い人は別として、普通の人の場合「間食グセ」は「太りグセ」につながりやすいので注意が必要です。
なかなか間食がやめられない場合には、低カロリーのものを選びましょう。キュウリやレタスなどの野菜スティックを、ノンオイル・ノンコレステロールのドレッシングで食べる。無塩のクラッカーや甘味の少ないゼリーにするなどの方法があります。
ところで最近、間食を肯定するような説もみられます。
「昼食で食べたものは3~4時間で消化され、それ以上時間がたつとからだが飢餓状態になり、夕食まで何も食べないと脂肪細胞にエネルギーが蓄積しやすくなる。間食をすると、それを防ぐことができる」という考え方です。
しかしこうした説は、間食が血糖値や血圧、あるいは胃などに与える影響を、長期的に検証しているわけではありません。「間食は太らない」といった誤解をしないようにしましょう。

(※6)1日の適正摂取カロリー量は、性別や年齢などにより違いがあります。

不規則な食事は太る!

夜食は太る…その仕組みが最近解明され、話題となっています。それは脳や脂肪細胞に多く存在するタンパク質BMAL1(ビーマルワン)の働きによるものです。
BMAL1は、生活リズムを刻む体内時計を調整するタンパク質です。と同時に、脂質の蓄積にも深いかかわりがあることがわかってきたのです(※7)。
BMAL1は日中には少なく、夜間になると増加します。そして私たちのからだにエネルギーを補充するため、脂肪細胞などに脂質を取り込む働きをします。そのためBMAL1が増える夜間(とくに多くなるのは午後10時~午前2時)に食事をすると、それだけ太りやすいのです。
BMAL1のもうひとつの特徴は、不規則な生活をして生活リズムが乱れると、その調整のために増えることです。BMAL1が多くなると、本来は脂質を取り込まない細胞にまで、脂質が蓄積されるようになります。
食事時間は、私たちの重要な生活リズムとなっています。夜食もそうですが、朝食や昼食を抜いたりして、本来の食事時間を守らないと、体内時計の乱れにつながります。BMAL1を増やさないためには、きちんとした時間に食事をすることが大切です。ちなみにBMAL1は、朝起きて太陽の光を浴びると減少を始めることもわかっています。

太りグセにつながる4つの食習慣(早食い、よく噛まない、間食をする、食事時間が不規則)を改善して、肥満解消に取り組んでみませんか。

(※7)日本大学薬学部の榛葉繁紀助教授らによる。


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