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2003.11.10

vol.5 知っておきたい「寒い季節の健康入浴法」

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入浴中の発作に注意を

Vol.5 知っておきたい「寒い季節の健康入浴法」 寒い季節、お風呂にゆったりつかると、身も心も温まります。お風呂に入らないと一日が終わらない、あるいは眠れないという人も少なくありません。 ところがその一方で、入浴中に突然死する人が毎年推定で1万5000人もいることをご存じでしょうか(*1)。原因の多くは、心筋梗塞と脳卒中(脳梗塞、脳出血など)です。そのほか貧血などにともなう溺死や転倒事故などもみられます。
入浴中の突然死が目立って増えるのは、毎年11月から3月の寒い時期です。その理由には、冬は寒冷刺激によって血管が収縮し、血圧が上昇しやすいこと。家の中の温度差が大きく、とくに脱衣室と浴室の温度が低いこと。体を温めるために、お湯の温度を高くすることなどが指摘されています。
こうした条件が重なると、入浴中に血圧の大きな変動が起こり、心筋梗塞や脳卒中の発作を起こしやすくなります。それだけに血圧が高めの人はもちろんですが、血糖値やコレステロール値の高い人、肥満気味の人なども、動脈硬化によって血管が弱っている可能性があるので、寒い時期の入浴には十分気をつける必要があります。

(*1)公式な数値は発表されていませんが、厚生労働省の『人口動態統計』や東京都監察医務院の資料などから、入浴中の死亡事故(病死・溺死)は1万4000~1万5000人程度いると推定されています。

入浴中の血圧の変動

入浴によって、血圧はどのように変化するのでしょうか。

このうち(1)と(2)と(4)では、血圧の上昇によって血管に圧力がかかるため、脳出血を起こしやすくなります。また(3)では、血圧の急速な低下と、汗をかいて血液中の水分量が低下することにより、血流が悪化し、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
さらに(2)では血圧の急上昇によって脳症が、(3)では血圧の低下による脳貧血が起こると、意識を失って溺死や転倒事故などにつながることがあります。 決しておどかすわけではありませんが、実際に入浴中にはこうした血圧変動が繰り返し起こり、血管に大きな負担がかかっているのです。

お湯の温度には注意を

入浴中の発作を予防するには、まずお湯の温度を高くしすぎないことが大切です。お湯の温度が高いほど、血圧も急上昇する傾向があるからです(*2)。 突然死とお湯の温度との関係では、41℃を超えると危険ゾーンに入り、42~43℃で死亡事故が急増するという傾向もみられます(*3)。これらのことから、お湯の温度を40℃以下に抑えることが、予防の基本といえます。
とくに高齢になると皮膚感覚がにぶくなり、気付かずに高温のお湯に入っていることがあります。温度調節のできるお風呂なら設定温度を低めにする、それ以外のお風呂なら湯温計などでお湯が熱すぎないかチェックしてください。
入浴の前に脱衣室や浴室を温めておき、お湯との温度差を小さくすることも予防策のひとつです。日本の浴室にはほとんど暖房設備がありませんが、それが欧米と比較して突然死の多い理由ともいわれます。脱衣室は小型の暖房機器で、浴室はシャワーを2~3分出しっぱなしにするといった方法で温めておきます。
また、お酒を飲んだあとや運動をした直後は、血圧が高くなっているので入浴しないこと。外出先から帰宅したときも、直後はまだ血圧が高く、脈拍数も多い状態なので、お茶でも飲んでしばらく休んでから入浴するようにしましょう。

(*2)お湯の温度が高いほど血圧は急上昇します。植田理彦 著『入浴の科学-健康への効果』によると、収縮期血圧90mmHg未満の人でも、42℃のお湯に入ると130mmHg以上に急上昇するのに対して、38℃ のお湯だと100mmHg程度と、変動の幅に大きな差が出ます。

(*3)横浜市立大学医学部・相原弼徳先生による神奈川県内での調査です。湯温が42~43℃での突然死は、40℃以下の場合の10倍くらいに急増します。ただし、湯温は発見時のもので、実際にはもう少し高めだった可能性もあります。

上手な入浴で健康管理を

最近はシャワーだけという人も増えていますが、お湯につかることには次のようなメリットがあります。

●浮力効果

浮力により体重が8分の1程度に軽く感じられ、筋肉が緊張から解放されると同時に、精神的にもリラックスします。

●水圧効果

適度な水圧によるマッサージ効果で血行が促され、血液循環がよくなり、疲労や足のむくみが解消されます。

●温熱効果

適度な温度による発汗作用などで新陳代謝が促進され、心身ともにリフレッシュされます。

こうしたメリットを上手に活用するためには、入浴時にちょっとした注意が必要です。

1. 余裕をもって入浴すること。テレビ番組のあいまのあわただしい入浴は、リラックス効果をもたらすどころか、かえって疲れることになりかねません。お湯につかって、その日の出来事を振り返るくらいの余裕をもちましょう。

2. お湯に入る前にかけ湯をすること。お湯の温度に徐々に慣らすことで体への負担を小さくし、血圧の急激な変動をおさえることができます。かけ湯は、足元からだんだん上にしていきましょう。

3. ぬるめのお湯に入ること。体温より少し高い38~40℃程度のお湯に入ると、副交感神経の働きがよくなって体全体がリラックスします。高血圧の人は、ぬるめのお湯に入る習慣をつけると、ふだんの血圧が少しずつ下がるようになるともいわれています。

4. 半身浴をすること(お湯の深さは胸くらいまで)。肩までたっぷりのお湯につかると一時的には気持ちがいいのですが、水圧が大きいため心臓や肺に負担がかかります。半身浴で、ぬるめのお湯に15~20分くらいつかると、血液循環がよくなって体がしっかり温まり、湯冷めもしにくくなります。肩が寒いときは、タオルをかけたり、お湯かシャワーをかけて温めます。

5. 長湯の人は水分補給をすること。入浴中はかなり汗をかきます。お湯につかってのんびり歌でも楽しみたいなら、途中で水分補給をすると血液の流れがよくなり、のぼせの予防にもなります。また、発汗をうながし、新陳代謝もよくなります。


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