vol.100 糖尿病の診断基準が変わったと聞きましたが、何が変わったのですか?

生活習慣病Q&A
糖尿病の診断基準が変わったと聞きましたが、何が変わったのですか?
血糖値に加えてHbA1cという指標を診断に導入することで、1回の検査で糖尿病と診断できるようになりました。
2010年7月より、糖尿病の診断基準が変わりました。それ以前の基準では、糖尿病の診断は2回の血糖値検査によって行われていました。2回の検査が必要だったのは、1回の測定で基準値を上回っても、慢性的に血糖値が高いかどうか判断できないからです。このため、別の日に再検査を行い、2回とも基準値を上回った場合に初めて糖尿病と診断されていました。

新しい診断基準では、血糖値に加えてHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という指標で診断を行い、血糖値とHbA1cがともに基準値を上回った場合に糖尿病と診断されます。HbA1cとは血液中で酸素を運ぶヘモグロビンとブドウ糖が結合したもので、過去1~2カ月の血糖値を反映する糖代謝の指標です。血糖値とHbA1cは1回の血液検査で測定できるので、新しい診断基準では再検査をしなくても糖尿病と診断できるようになりました。

以前の診断基準では、患者さんの都合などの理由で2回目の検査が受けられず、糖尿病であっても見逃されていた患者さんが少なからずいたものと思われます。新しい診断基準による迅速な診断が、糖尿病の患者さんの早期発見と治療につながると期待されています。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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