vol.129 糖尿病で本当に怖いのは、合併症だと聞きました。糖尿病になると、必ず合併症が起こるのでしょうか?

生活習慣病Q&A
糖尿病で本当に怖いのは、合併症だと聞きました。糖尿病になると、必ず合併症が起こるのでしょうか?
糖尿病になったら必ず合併症が起こるわけではありません。合併症を起こさないように、自己管理に気をつけてください。
糖尿病は、別名「血管の病気」とも言われています。
細い血管が障害されたことによって起こる、手足のしびれやこむら返りなどの神経障害、失明の原因となる眼の合併症(網膜症)、むくみや透析の原因となる腎臓の合併症(腎症)の3つが糖尿病の3大合併症と言われています。
太い血管に障害が起こると、脳梗塞や心筋梗塞を起こします。糖尿病になると、アルツハイマー病など認知症になるリスクも2倍程度高まるとも言われています。また、抵抗力が弱まるために、気管支炎や肺炎、肺結核、歯周病、水虫などの感染症にもかかりやすくなります。

しかし、糖尿病になったら、必ずこれらの合併症が起きるわけではありません。糖尿病と言われたことをきっかけに、自分の生活習慣を振り返り、禁煙にチャレンジしたり、健康的な食習慣に変え、アクティブな生活などを送り、薬を飲み忘れず、定期的に医療機関にかかるなどすることで合併症になることを防ぐことができます。特に、糖尿病になってから早い時点でよい血糖、血圧、脂質コントロールを行うと、それらが遺産として将来に残ることも知られています(よい遺産効果)。糖尿病合併症を予防するためには、できるだけ早めに、治療に本格的に取り組むことが大切なようです。

先生のプロフィール

坂根 直樹先生

坂根 直樹 先生

独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
略歴
昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長
ご専門
糖尿病、糖尿病教育、内分泌

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