高血圧患者は特に冬場など、入浴中に突然死することが多いと聞きました。本当でしょうか?

高血圧 予防・対策・生活改善
高血圧患者は特に冬場など、入浴中に突然死することが多いと聞きました。本当でしょうか?
寒暖差が激しい場合、血圧が急激に変化する「ヒートショック」によって死亡する場合もあります。
東京都健康長寿医療センターの調査によれば、日本では年間で17,000人が入浴中に急死し、その数は交通事故による死亡を大きく上回ります。特に気温が低くなる12月から1月にかけては、夏場に比べて入浴時に心肺停止となる数が11倍にもなることが認められています。
また同センターが、入浴中に心肺停止におちいった全国9,360件の高齢者のデータを分析したところ、寒冷地でより多く心肺停止が発生することが明らかになりました。

その原因は、「ヒートショック」という温度の急激な変化に伴う血圧の変動です。血圧は、交感神経の働きにより暖かいところでは血管が弛緩して下がり、寒いところでは血管が収縮して上がります。急激な血圧の変動は心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中につながります。
例えば、寒い脱衣所で衣服を脱ぐと寒さによって血圧が上昇しますが、続いてお湯につかれば、今度は体が温まり血圧が下がります。そうした急激な血圧の変化が、心肺停止を招くような疾患を生じさせるのです。
特に冬場は、急激な温度の変化を避けるため、入浴する前に湯船のフタを取るなどして浴室を暖めたり、脱衣所に暖房を入れたりするなど、寒暖の差を無くす対策を取ったほうがよいでしょう。また、浴室以外にトイレなどでも注意が必要です。最近はトイレ用に小型の暖房器具も販売されていますので、できるだけ寒暖の差が激しい場所をなくすように心がけるようにしましょう。

先生のプロフィール

島本 和明先生

島本 和明 先生

日本医療大学総長
略歴
昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長
ご専門
内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病

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