vol.167 糖尿病の治療は進歩していると思いますが、患者は増えているのでしょうか?
生活習慣病Q&A
- 糖尿病の治療は進歩していると思いますが、患者は増えているのでしょうか?
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肥満や運動不足などライフスタイルの変化に加え、高齢化の影響により糖尿病を持つ人は増えています。最近、糖尿病の治療は著しく進歩しています。1970年代、糖尿病の飲み薬は2種類とインスリンの注射薬の1種類でしたが、現在は糖尿病の飲み薬は7種類、注射薬は2種類もあります。また、インスリンポンプなどの治療機器や膵島移植などの技術も格段に進んでいます。しかし、これらの治療の進歩は糖尿病になった人向けのものです。
それでは、糖尿病になる人は増えているのでしょうか? 世界保健機構(WHO)の報告によると、成人の糖尿病を持つ人の数は1億800万人だったのが、2014年には4億2,200万人に達し、4倍近く増えています。世界における糖尿病を持つ人の増加は肥満が関係していると言われています。有効な対策を講じなければ、2025年には世界の糖尿病人口は7億人を超えるのではないかと予測しています。国際糖尿病連合(IDF)は、世界の11人に1人が糖尿病であり、46.5%の人が糖尿病と診断されておらず、糖尿病にかかる医療費が12%を占めており、6秒毎に1人が糖尿病が原因で死亡しているとのキーメッセージを発信しています。
それでは、日本において糖尿病を持つ人は増えているのでしょうか? 日本では糖尿病人口は5年に1回、糖尿病の実態調査が行われています。それによると、1997年に糖尿病が強く疑われたのは690万人だったのが、2012年には950万人と260万人増えています。その原因として、肥満と運動不足だけでなく、日本における高齢者の増加が関与しているのではないかと考えられています。糖尿病が強く疑われている人のうち、治療を受けている人の割合は男性65.9%、女性64.3%と前回の調査よりも増えています。それに対して、糖尿病の可能性が否定できない糖尿病予備軍の人は1997年に680万人だったのが、2007年に1,320万人をピークに2012年には1,100万人と減少に転じています。糖尿病の啓蒙活動や特定健診・特定保健指導の効果が出ているのではないかと考えられています。
先生のプロフィール
坂根 直樹 先生
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
臨床研究センター 予防医学研究室室長
- 略歴
- 昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長 - ご専門
- 糖尿病、糖尿病教育、内分泌