vol.40 近頃、おなか周りが気になります。太っていると糖尿病になりやすいイメージがあるのですが、実際にそうなのでしょうか。

生活習慣病Q&A
近頃、おなか周りが気になります。太っていると糖尿病になりやすいイメージがあるのですが、実際にそうなのでしょうか。
肥満は2型糖尿病の大きな原因です。また糖尿病に限らず、肥満は様々な生活習慣病の温床となりますから、できるだけ早期のうちに改善するようにしましょう。
肥満は、日本人で特に多い2型糖尿病の大きな原因です。2型糖尿病は、主にインスリンの分泌量や作用が低下して起きるものですが、肥満になるとインスリンを分泌するすい臓が必要以上に働かなければならなくなり、インスリンの効きが悪くなって血糖値が上がるなどの悪循環が生じます。その結果、糖尿病に至る確率が高くなるのです。

肥満の指標となる体格指数、BMI(体重kg÷〔身長m×身長m〕)の値が25以上の場合は、糖尿病などの合併症は2倍以上も増加します。また、おなか周りが気になるとのことですが、腹部を中心に脂肪がつく上半身型肥満(いわゆるリンゴ型肥満)の場合は、でん部や大腿部などの下半身型肥満(洋ナシ型)に比べ、糖尿病になりやすいことがわかっています。上半身肥満のなかでも、皮下脂肪ではなく内臓に脂肪が蓄積する内蔵型肥満は、特に注意が必要です。腹囲径が男性で85cm以上、女性は90cm以上の場合、内蔵型肥満の可能性が高いと考えられます。

肥満は糖尿病に限らず、高脂血症や高血圧などの生活習慣病が合併しやすい状態です。やがては脳血管疾患や心疾患などの動脈硬化性疾患を引き起こすことにもなりかねないので、できる限り早期のうちに食事の改善や運動などにより解消するようにつとめましょう。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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