vol.80 糖尿病のため運動療法をしています。運動は食前・食後、どちらが効果的ですか?

生活習慣病Q&A
糖尿病のため運動療法をしています。運動は食前・食後、どちらが効果的ですか?
運動療法は、食後1時間頃の最も血糖値が高くなる時に行うのが効果的です。なお、血糖降下剤やインスリン治療を受けている人は、起床後や食前の運動は低血糖になる危険があるので、注意してください。
糖尿病の運動療法は、ブドウ糖の消費を増やし、また低下しているインスリンの効き目を改善して血糖を下げます。通常、血糖値は食後1時間頃にピークを迎え、その後徐々に低下し、食事をする度にこの上下を繰り返します。そこで、血糖コントロールを行う上では、最も血糖値が高くなる食後1時間頃に運動療法を行うのが最適といえます。また、血糖値が低い時に運動をすると、低血糖を起こすことがあります。特に血糖降下剤やインスリン治療を受けている方は起床後や食前の空腹時の運動は避けてください。
手軽に行える運動療法としてはウォーキングがあります。ウォーキングは1日15~30分間ほど行うとよいでしょう。約1万歩で、160~240kcal程度が適当な運動量です。毎日行うのが理想ですが、無理は禁物です。また、血糖コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値250mg/dL以上、尿ケトン体中等度以上陽性)や、腎不全の状態にある方などは、運動療法を行ってはいけない場合もあるので、事前に医師に相談しましょう。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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