vol.82 糖尿病を治療する場合に、運動療法をしないほうがよい場合もあるのでしょうか?

生活習慣病Q&A
糖尿病を治療する場合に、運動療法をしないほうがよい場合もあるのでしょうか?
糖尿病のコントロールが悪い場合や、合併症がある患者さんでは運動は慎重に行ってください。適切な運動量は患者さんの状態に左右されますので、医師と相談しましょう。
基本的に、適切な運動療法は糖尿病の治療に有益といえますが、血糖値には十分注意して行う必要があります。例えば、糖尿病治療薬の服用やインスリン投与を受けている患者さんが運動を行った際、運動中や運動後に低血糖を生じるおそれがあります。逆に血糖コントロールが悪い状態で激しい運動を行った場合には、運動中や運動後に血糖値がより高くなることがあります。よって、運動療法に取り組む際には十分な血糖コントロールが大切です。
また、糖尿病による合併症がある場合にも注意が必要です。例えば、糖尿病の代表的な合併症である網膜症や腎症のある患者さんでは、運動が悪影響をおよぼすこともあります。自律神経障害のある患者さんでは運動中の突然死、無症候性心筋梗塞などを起こすおそれもあるので、運動は慎重に行うようにしてください。これらのほか、膝や足の関節など整形外科的な病気にも注意が必要です。
このように、適切な運動は、年齢、心肺機能、合併症など患者さんの個別の状態に左右されますので、医師と十分な相談をした上で運動療法に取り組みましょう。

先生のプロフィール

山田 信博先生

山田 信博 先生

筑波大学学長
略歴
昭和51年 東京大学医学部医学科卒業
昭和53年 東京大学医学部附属病院 第三内科医員
昭和58年 カルフォルニア大学サンフランシスコ校留学
昭和61年 東京大学医学部第三内科助手
平成6年 東京大学医学部第三内科講師
平成7年 東京大学医学部第三内科助教授
平成10年 東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科助教授
平成11年 筑波大学臨床医学系内科(内分泌代謝)教授
平成21年 筑波大学学長
ご専門
糖尿病、内分泌、動脈硬化

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