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vol.116 糖尿病・透析患者の足を救え! 増加しているフットケア外来

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Vol.116 糖尿病・透析患者の足を救え! 増加しているフットケア外来 2月10日は「フットケアの日」。糖尿病と高齢者の増加によって、いま日本では足の病変が増えています。糖尿病などで動脈硬化が進むと足に血行不良が起こり、しびれや痛みが現れます。悪化すると足に潰瘍ができたり壊疽(えそ)したりして、重症になると足の切断を余儀なくされます。今後、こうした足の病変と切断は増えると考えられることから、日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会らが、「足を救おう!」と2012年に制定したのが「フットケアの日」。糖尿病の合併症として生じる閉塞性動脈硬化症(ASO)による足の病変の早期発見と早期治療、予防を呼びかけています。
また、近年では「フットケア外来」を開設する病院やクリニックも増えています。フットケア外来、フット外来など医療機関によって呼び方はさまざまですが、対象としているのは、糖尿病やその合併症の慢性腎臓病、人工透析をしている人、高齢者など。足に傷ができて治りにくい、治っても再発しやすい人、靴などのフットウエアに問題を抱えている人です。
フットケア外来では、医師や看護師が診療を担当します。ただし、役割は異なっています。医師がおもにかかわるのは、足に傷ができ、血液の流れが滞って治療が必要になるケースです。一方、看護師によるフットケアは、トラブルを未然に防ぐ予防が主体になります。医師の指示のもと、うおのめ、たこ、白癬菌による爪の肥厚、治癒後の潰瘍の状態などをチェック。足や爪のケア、日常生活での手入れの仕方などを指導して患者の足を守るサポートをしていきます。

足を救う再生医療も登場

閉塞性動脈硬化症(ASO)は、足の動脈が閉塞して血流が途絶えることによって起こります。糖尿病のほかに、高血圧、脂質異常症、喫煙者がなりやすいといわれています。日本では保険適応の疾患名として「閉塞性動脈硬化症」または「慢性動脈閉塞症」と呼ばれていますが、海外ではこの病気もバージャー病※とともに「末梢動脈疾患」(PAD)に含まれるため、最近は日本でもPADという疾患名で呼ばれることが多くなっています。

足に潰瘍や壊疽がある「重症虚血肢(じゅうしょうきょけつし)」は、治療がとても複雑です。しかし、足を救う治療法は進歩してきています。たとえば、潰瘍の治療には、シートを貼って皮膚を回復させる「陰圧閉鎖療法」や医療用の無菌のウジを用いて治りにくい潰瘍や壊死したところを取り除き、傷を治す「マゴット療法」があります。血流が滞ったり、途絶えたりした動脈では、血管を直接広げて血行を改善する「血行再建術」や血液中のLDLコレステロールを除去して、足の血行障害からくる症状を改善する「LDL吸着療法」などが行われています。
また、再生医療も登場しています。「末梢血単核球移植(まっしょうけつたんかくきゅういしょく)による血管再生治療」という治療法は、採血した血液から血管の再生に使用する細胞を取り出し、体外で増加させた後、血流が途絶えた足に注射します。自分の血液で血管を再生させる治療です。他の治療法では難しい重症の末梢動脈性疾患に有効とされていますが、現在は高度な先進医療となっているため、受けられる医療機関は限られ、費用は自費となります。

足を切断すると5年後の生存率も低い

靴ずれ、水虫、うおのめ、たこ、爪の変形…。足の切断は、実はこんな小さな皮膚の異変から始まります。健康な人なら放っておいても大丈夫と、気にしないちょっとしたことがきっかけです。しかし、糖尿病や合併症のある人、人工透析をしている人、高齢者では、皮膚にできた亀裂や小さな傷こそが、危険因子。雑菌の侵入口となり、全身に感染を引き起こす可能性があります。履きなれない靴で旅行などに出かけると靴ずれができることがあります。高齢者ではこれがきっかけで足に炎症が起こり、潰瘍から壊疽にまで進行し、足の切断に至ることも少なくないのです。
また、足の切断となれば、日常生活の質や生活活動が低下するだけではありません。5年後の生存率も低くなることがわかっています。糖尿病や高齢者の足には、命にかかわるリスクがあります。糖尿病の治療を受けている病院でフットケアが受けられない場合は、サポートしてもらえる外来を探し、定期的なケアで自分の足を守っていく意識が必要です。

足の気になる症状は相談してみよう

ところで、足のトラブルというと、足がつったり、むくんだりということもよく経験します。足がつるのは、筋肉の疲労や一時的な血流の問題が多いですが、何度も繰り返すときは全身性の病気が隠れていることがあります。また、足のむくみに左右差があるときも気をつけましょう。女性の場合、足のむくみは病気とは関係ないものがほとんどですが、稀に卵巣がんが見つかるケースがあります。足に病的な症状が見られるときは、フットケア外来で相談してみましょう。

※バージャー病
手足の動脈が閉塞して血液が供給されないため、手足にしびれや痛みなどの症状が現れ、悪化すると潰瘍、壊死などが起こる病気。

監修 湘南鎌倉総合病院 
腎臓病総合医療センター 副院長・センター長
日本フットケア学会 理事長    小林修三先生


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