vol.12 増加する緑内障と早期発見法

健康・医療トピックス
われわれに入ってくる情報のうちその60%を占めるのが、目から取り込まれる情報です。それだけに目は大事にしたいものですが、その大事な目の疾患、とりわけ失明に結びつく緑内障が増加していることがわかりました。
2003年3月、日本緑内障学会が発表した「緑内障の疫学調査結果」において調査対象となった40歳以上の3021人のうち17人に1人が緑内障だったのです。それまでは30人に1人といわれていただけに、大幅な患者数の増加です。
さらに、もうひとつ新しいことがわかりました。何と緑内障だった人の60%が、眼圧が正常にもかかわらず視野が損なわれる「正常眼圧緑内障」だったのです。
ここで問題なのは、正常眼圧緑内障の場合、眼圧は10~20mmHgと正常なため眼圧が高くなったことで起きる目の痛みなどの自覚症状が起きないまま症状が進行してしまうことです。
また、症状は10年くらいの長い期間をかけて徐々に進行していきます。加えて、片方の目で見えないところはもう片方の目でカバーしてしまうので、日常生活では視野が損なわれていることに気付きにくいのです。そのため、気付いたときにはすでに重症といったケースが多くみられます。

緑内障は、情報伝達経路である網膜から脳までの間の視神経に問題が生じて視野が欠ける病気です。放っておくと失明に結びつく怖い緑内障ですが早期に発見すれば、今日ではさまざまな治療法があるので、失明に至ることはありません。そのためにも、しっかり早期発見に努めましょう。
まずは、年に1回、きちんと眼科検診を受けましょう。最低でも眼圧、眼底、視野の検査は不可欠です。
そして、普段の自己チェック法をしっかり覚えておきましょう。
vol.12 増加する緑内障と早期発見法

A.テレビチェック法

これはテレビ画面を使った方法で、まずは放送されていないチャンネルの砂嵐の画面を出します。画面の中央に目印(固視点)となるような小さな印を貼って、 50cmくらい目を離して、片目ずつ交互に目印を見ます。画面の中に砂嵐のないところが見えたり、雲のような状態に見えるところがあれば緑内障が強く疑われます。

B.新聞株式欄チェック法

新聞の株式欄を開いて、やはり目印(固視点)を中央に貼ります。50cmほど目を離し、片目ずつ交互に見ます。すると、文字が見えないところがあったり、雲がかかっているようなところがあれば緑内障が強く疑われます。

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

執筆者プロフィール

松井 宏夫

松井 宏夫

医学ジャーナリスト
略歴
1951年生まれ。
医療最前線の社会的問題に取り組み、高い評価を受けている。
名医本のパイオニアであるとともに、分かりやすい医療解説でも定評がある。
テレビは出演すると共に、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)に協力、『ブロードキャスター』(TBS)医療企画担当・出演、『これが世界のスーパードクター』(TBS)監修など。
ラジオは『笑顔でおは天!!』のコーナー『松井宏夫の健康百科』(文化放送)に出演のほか、新聞、週刊誌など幅広く活躍し、NPO日本医学ジャーナリスト協会副理事長を務めている。
主な著書は『全国名医・病院徹底ガイド』『この病気にこの名医PART1・2・3』『ガンにならない人の法則』(主婦と生活社)、『高くても受けたい最新の検査ガイド-最先端の検査ができる病院・クリニック47』(楽書ブックス)など著書は35冊を超える。

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