vol.59 メタボ健診を正しく行って生活習慣病を防ごう!!

健康・医療トピックス
4月から始まった新しい健康診断『特定健康診査(特定健診)』、いわゆる『メタボ健診』。健診の結果、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と予備群の受診者には、『特定保健指導』という生活習慣改善の支援が行われるのです。
対象となるのは40~74歳の人です。
検査内容は「問診」と「基本的検査」。ここに「腹囲(へそまわり)計測」が加わりました。そして、医師が必要と判断した人には、さらに「詳細な健診」がプラスされます。
特定健康診査の結果より、以下のステップで選定され、健康の保持に努める必要のある人は特定保健指導の対象となります。
vol.59 メタボ健診を正しく行って生活習慣病を防ごう!!

ステップ1:内臓脂肪蓄積のリスクを判定

  • 腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の人は(1)
  • 腹囲が男性85cm、女性90cm未満でもBMI〔体重kg÷(身長m×身長m)〕が25以上あると(2)
  • まったく問題のない人は(3)

ステップ2:(1)と(2)の人は次の4項目をチェック

(A) 血糖…空腹時血糖が100mg/dl以上、またはヘモグロビンA1cが5.2%以上。
(B) 脂質…中性脂肪が150mg/dl以上、またはHDLコレステロールが40mg/dl未満。
(C) 血圧…最高血圧が130mmHg以上、または最低血圧が85mmHg以上。
(D) 喫煙…現在たばこを習慣的に吸っている。((A)~(C)のリスクが1つ以上の場合にのみカウント)

※特定保健指導の選定では、メタボの診断基準とは異なり、(A)血糖の数値は少し厳しく(D)喫煙の項目が追加されています。

ステップ3:ステップ1、2から保健指導対象者をグループ分け

『情報提供のみ』 (1)で追加リスクが0、(2)で追加リスクが0、(3)の人。
『動機づけ支援』 (1)で追加リスクが1、(2)で追加リスクが1~2の人。
『積極的支援』 (1)で追加リスクが2以上、(2)で追加リスクが3以上の人。

『情報提供のみ』の人は、生活習慣改善のきっかけとなる情報のみが提供されます。
『動機づけ支援』となった人には、医師、保健師、管理栄養士によって、原則1回の保健指導が行われ、生活習慣改善のための目標の立て方、実践方法がアドバイスされます。
『積極的支援』となった人には、初回個人面談(20分以上)でライフスタイルに合わせた目標を設定。電話相談やメールにより途中経過の確認と生活習慣の改善を支援など、3カ月間の継続した保健指導が行われ、6カ月後に評価されます。
この内容はあくまでも基本であって、健康保険組合などによっては、個人面談を増やして手厚くサポートするところもあります。また、6カ月以降も、運動量を増やすための情報提供を行うなど、年間を通して生活習慣の見直しができるようにしています。
「他人のからだのことにまで口出しするな!」という声もありますが、生活習慣病を引き起こしてから、“しまった”では遅いのです。人生を楽しむためにも、メタボ健診を上手に“健康のために”生かしてみるといいのではないでしょうか。

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

執筆者プロフィール

松井 宏夫

松井 宏夫

医学ジャーナリスト
略歴
1951年生まれ。
医療最前線の社会的問題に取り組み、高い評価を受けている。
名医本のパイオニアであるとともに、分かりやすい医療解説でも定評がある。
テレビは出演すると共に、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)に協力、『ブロードキャスター』(TBS)医療企画担当・出演、『これが世界のスーパードクター』(TBS)監修など。
ラジオは『笑顔でおは天!!』のコーナー『松井宏夫の健康百科』(文化放送)に出演のほか、新聞、週刊誌など幅広く活躍し、NPO日本医学ジャーナリスト協会副理事長を務めている。
主な著書は『全国名医・病院徹底ガイド』『この病気にこの名医PART1・2・3』『ガンにならない人の法則』(主婦と生活社)、『高くても受けたい最新の検査ガイド-最先端の検査ができる病院・クリニック47』(楽書ブックス)など著書は35冊を超える。

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