下肢静脈瘤の体にやさしい治療法が保険適用に!

不整脈・心房細動 治療・リハビリ
医療は確実に“体にやさしい”方向に歩んでいます。今年(2011年)の1月から、下肢静脈瘤の治療法の中で、体に与える負担が少ない『血管内レーザー療法(EVLA)』に健康保険が適用となり、注目が集まっています。

下肢静脈瘤は、血管がモコモコ、グリグリと盛りあがり、こぶのような状態になったもので、男性よりも女性に多く、加齢によって増加する傾向があります。特に女性は、スカートをはいたときなどに脚が見えるため、その血管の盛りあがりを気にする方もいらっしゃいます。そのほか、「脚がむくむ」「脚がつる」「脚がだるい、重い、痛い」などの症状もあり、十分に睡眠が取れず悩む人もいます。その原因のひとつは、立ち仕事や運動不足などで脚をあまり動かさないことにより、静脈血が下肢にたまり気味になること。その影響などから脚の血液を心臓に戻すために必要な逆流防止弁が壊れて、逆流した血液の圧力で血管がこぶ状になるのです。

それでは、下肢静脈瘤の血管内レーザー療法がどのように行われるか紹介しましょう。
まず、局所麻酔をして、膝の内側から静脈に細い針を刺します。その針孔(はりあな)から細いレーザーファイバーを挿入し、患部にレーザーを照射して発生した熱で内側から静脈をふさぎます。血液が流れなくなった患部は数カ月後には組織と化し、血液は正常な静脈を流れるようになって下肢静脈瘤は改善します。
これまでのメインの治療は『ストリッピング術』と呼ばれ、脚の付け根と膝の2カ所を切開して、動脈瘤の原因となっている、弁が壊れた太ももの静脈を抜き取っていました。効果的な治療法ではあるのですが、このように血管を抜き取るという出血や術後の痛みを伴う方法と、レーザーを照射して血管をふさいでしまう方法を比較すると、いかに血管内レーザー療法が体にやさしいか、お分かりいただけるでしょう。

体にやさしい血管内レーザー療法は、日帰りで行っている施設も多く、人気となっています。しかし、どの施設でも下肢静脈瘤のレーザー治療が保険適用となっているわけではありません。医師がレーザー治療の講習を受けており、薬事許可されたレーザーを使って治療するのが保険適用の条件となっていますので、その点は前もって医療施設に確認しておきましょう。
vol.96 下肢静脈瘤の体にやさしい治療法が保険適用に!

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執筆者プロフィール

松井 宏夫

松井 宏夫

医学ジャーナリスト
略歴
1951年生まれ。
医療最前線の社会的問題に取り組み、高い評価を受けている。
名医本のパイオニアであるとともに、分かりやすい医療解説でも定評がある。
テレビは出演すると共に、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)に協力、『ブロードキャスター』(TBS)医療企画担当・出演、『これが世界のスーパードクター』(TBS)監修など。
ラジオは『笑顔でおは天!!』のコーナー『松井宏夫の健康百科』(文化放送)に出演のほか、新聞、週刊誌など幅広く活躍し、NPO日本医学ジャーナリスト協会副理事長を務めている。
主な著書は『全国名医・病院徹底ガイド』『この病気にこの名医PART1・2・3』『ガンにならない人の法則』(主婦と生活社)、『高くても受けたい最新の検査ガイド-最先端の検査ができる病院・クリニック47』(楽書ブックス)など著書は35冊を超える。

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