vol.29 狭心症・心筋梗塞患者では"総コレステロールはしっかり下げる"が原則!

健康・医療トピックス
狭心症や心筋梗塞を引き起こさないために、総コレステロールはどのくらいにするのが最もよいのか。現状ではさまざまな意見が出ています。

そのひとつ「総コレステロールは高めのほうがよい」の根拠は、桜美林大学の柴田博教授の行った調査『東京都小金井市の70歳の住民422人の血清コレステロール値と四分位別生存率』です。70歳の住民422人を総コレステロール値(mg/dl)で4グループに分け、10年間の生存率を調べました。すると、最も総コレステロールの低い第1グループ(男~169、女~194)の10年後の生存率は約68%で最低。最も生存率の高かったのは第3グループ(男 190~219、女220~249)で約78%。第2位は第2グループ(男170~189、女195~219)の約75%、第3位は最も総コレステロールの高かった第4グループ男220~、女250~)で約70%でした。総コレステロールが正常値(220未満)の範囲内でも、高めのグループの生存率が高かったことから「コレステロールは決して下げすぎてはいけない」という意見が声高になりました。
ただし、これは一次予防においてのことで、すでに狭心症や心筋梗塞を経験した人にも推奨できるかというと、そうはいきません。 国立循環器病センター心臓血管内科の山岸正和医長は、冠動脈が狭くなったり、詰まってしまったりしたところをカテーテル(細い管)を使ったバルーン療法で治療した患者さんは、「全身療法をきちっと行わないと再度閉塞してしまいます」と指摘。ゆえに、狭心症や心筋梗塞を経験した患者さんは、「コレステロール低下療法」を行うことが大切となります。

米国ではLDL(悪玉)コレステロールを下げれば下げるほど動脈硬化性の疾患の再発は防ぐことができる、と考えられています。それも、新生児のコレステロール値は約50mg/dlなので、その数値を目標に考えているのです。
『冠動脈既往患者におけるアトルバスタチン(製品名・リピトール)による積極的低下療法』(LaRosa,J.C.et a1.:.Eng1.J.Med.352[00]:00,2005)によると、アトルバスタチン(コレステロール低下剤)による積極的コレステロール低下療法で患者のLDLコレステロールを平均101mg/dlにしたグループと、平均77mg/dlに低下させたグループを比較すると、後者のほうが心血管性疾患の発生率が22%も減少したのです。
このことからも、狭心症や心筋梗塞を経験した人にとっては、総コレステロールはより低くするのがよい、というのが医学界では常識といってよいようです。
vol.29 狭心症・心筋梗塞患者では"総コレステロールはしっかり下げる"が原則!

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執筆者プロフィール

松井 宏夫

松井 宏夫

医学ジャーナリスト
略歴
1951年生まれ。
医療最前線の社会的問題に取り組み、高い評価を受けている。
名医本のパイオニアであるとともに、分かりやすい医療解説でも定評がある。
テレビは出演すると共に、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)に協力、『ブロードキャスター』(TBS)医療企画担当・出演、『これが世界のスーパードクター』(TBS)監修など。
ラジオは『笑顔でおは天!!』のコーナー『松井宏夫の健康百科』(文化放送)に出演のほか、新聞、週刊誌など幅広く活躍し、NPO日本医学ジャーナリスト協会副理事長を務めている。
主な著書は『全国名医・病院徹底ガイド』『この病気にこの名医PART1・2・3』『ガンにならない人の法則』(主婦と生活社)、『高くても受けたい最新の検査ガイド-最先端の検査ができる病院・クリニック47』(楽書ブックス)など著書は35冊を超える。

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