未来座談会

「予防医療で世界を健康に」
一人ひとりの健康のために私たちが目指す未来

2030年に向けてオムロングループが掲げる長期ビジョン「Shaping the Future 2030 -SF2030-」において、オムロン ヘルスケアでは「Going for ZERO -予防医療で世界を健康に-」をビジョンとして掲げています。地球上のすべての人に健康を届けるため、未来を担う若手リーダーたちは、このビジョンをどのようにとらえ、実現しようとしているのでしょうか。部門の異なる6人が集まり、「今、オムロン ヘルスケアが目指す未来」を語り合いました。

Member
所属は2023年1月時点
倉橋
国内営業本部
藤原
学術開発部
村田
サービスシステム開発部
小高
循環器商品設計部
永野
品質環境部
坪井
経営戦略部
倉橋
国内営業本部
藤原
学術開発部
村田
サービスシステム開発部
小高
循環器商品設計部
永野
品質環境部
坪井
経営戦略部
Talk Theme 01

SF2030の実現に向けた目標

SF2030の実現に向けた目標

SF2030では循環器疾患、呼吸器疾患、慢性痛コントロールという3つの分野に注力しています。私たちはそれぞれの分野で「脳・心血管疾患イベントゼロ」「呼吸器疾患増悪ゼロ」「慢性痛による日常の活動制限ゼロ」という3つのゼロの実現を目指しています。皆さんの具体的な目標や役割について教えてください。

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SF2030の実現に向けた目標

SF2030では循環器疾患、呼吸器疾患、慢性痛コントロールという3つの分野に注力しています。私たちはそれぞれの分野で「脳・心血管疾患イベントゼロ」「呼吸器疾患増悪ゼロ」「慢性痛による日常の活動制限ゼロ」という3つのゼロの実現を目指しています。皆さんの具体的な目標や役割について教えてください。

倉橋
国内営業部門ではSF2030で注力する「家庭での心電図記録文化」創造に向け、新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいます。家庭での血圧測定は浸透しており、高血圧患者の血圧コントロールも年々改善しているといわれていますが、脳・心血管疾患による死亡者数は減少していません。オムロン ヘルスケアでは、脳梗塞のリスクを5倍高めるといわれる「心房細動」に着目して、家庭で簡単に心電図が記録できる心電計付き上腕式血圧計を開発し、2022年3月より国内での発売をスタートしました。しかし、心房細動が脳梗塞のリスク危険因子であることや、家庭で手軽に心電図を記録できることは、あまり知られていません。そこで、国内営業では、22年から生活者の生活動線である薬局やドラッグストアに心電計付き上腕式血圧計を設置して来店者に使ってもらい、異常があれば薬剤師が医療機関の受診を勧める「受診勧奨モデル」の構築に取り組んでいます。
藤原
私たちが目指すのは、「新しい文化や価値を創っていく」ことです。これは、医師や医療現場とともにつくる、医療で活用可能な新しい価値を意味します。その一つとして、私は、鹿児島県垂水市で市民の方に毎日血圧を測ってもらい、そのデータを分析して医学的な裏付け(エビデンス)をつくることに鹿児島大学とともに取り組んでいます。家庭血圧も国内で行なわれている大規模な臨床研究をはじめ、グローバルでの多くの研究でその有用性が認められ、高血圧治療ガイドラインに反映されるようになりました。今、家庭での心電図記録の有用性を医療現場でも認めてもらえるように、臨床研究を進めています。さらに、私は脳・心血管疾患の発症リスクを予測するAIアルゴリズムの開発にも取り組んでいます。将来これが実現できれば、村田さんが担当する遠隔診療サービスにユニークなプラスαの価値を追加できると考えています。
村田
SF2030の重点戦略の1つが「遠隔診療サービスの拡大」です。私は、遠隔診療サービスで重要となる遠隔モニタリングサービスのシステム企画と運用を担っています。慢性疾患の治療に役立つと同時に、医療従事者にも価値を提供できる遠隔モニタリングシステムを実現することを目標としています。
遠隔診療サービスのイメージ
村田
将来的に、このサービスが普及し、患者さんが家庭で測定したバイタルデータを医師と共有できれば、タイムリーな医療介入が行なえます。そして、治療の必要性に合わせて適切な対応がとれることから、医療の質や効率の向上、そして医師の負荷低減につながると信じています。患者さんも最適な医療をどこにいても受けられるようになり、医療へのアクセシビリティが高まるほか、医療費削減にもつながると考えています。そして、藤原さんが生み出す、発症リスクを予測するAIアルゴリズムを使った遠隔診療が実現したら、脳・心血管疾患の発症リスクを大幅に低減できる新たな医療のしくみを提案することも夢ではありません。
小高
開発部門では「プロフェッショナルなエンジニアリング集団になる」ことを目指しています。私は心電計関連の開発を担当していますが、私たちがこだわるのは医療現場で信頼される品質です。どんなに画期的な製品やサービスでも、その品質や精度が医療で利用されなければ意味がありません。さらにそれを、誰でも簡単に正しく使える製品として提供していきたいと考えています。それを実現するためには、従来の成功事例にとらわれない大胆な発想で開発プロセスを見直し、チャレンジすることも重要だと感じています。また、外部とのコラボレーションも重要です。私が担当する心電計でも、これまでとは違う視点や異なる使い方まで発想をめぐらし、新しい心電計を生み出したいと考えています。そのために、新しい技術を探索し、必要であれば積極的に他社の技術でも取り込んでより良い製品に結び付けるような“攻めの開発”にも挑戦したいと思います。
永野
SF2030では、挑戦する姿勢が大切ですよね。私の所属する環境グループの目標は、カーボンニュートラルの実現に向けた「GHG(Greenhouse Gas : 温室効果ガス)削減」です。カーボンニュートラルの取り組みは、2030年に存続する企業になるために必要不可欠な取り組みです。2030年度までにオムロングループの活動から排出されるGHGの量を、2016年度比で「65%削減」、販売した製品の使用時に排出されるGHGの量を2016年度比で「18%削減」するというグループ目標をオムロン ヘルスケアとしても推進していきます。そのために、石油由来の素材であるプラスチックから、循環型素材への転換も進めています。素材の変更は、製品の耐久性などの品質にも直結するだけでなく、多くの時間とコストを要する取り組みです。私たちは、設計や生産管理、工場の現場だけでなく販売にいたるまで多くの部門と連携しながらプロジェクトを進めています。細かな対話を丁寧に重ねて、プロジェクトメンバー全員が「なぜこれを推進するのか」という目的に共感することで、推進力を高めていきたいと考えています。
坪井
私が所属する経営企画部門では、SF2030を着実に実行するために、計画の進捗状況を確認し、必要に応じた対策を打っています。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID -19)の拡大やインフレなど外部環境の変化に、どう対応していくのか。関連部門と議論を重ね、課題を解決しています。さらに、SF2030の実行力を高めるために、新たに打ち出したのが人財ポリシー「CONNECT」です。私たちが変化し続けるためには、個々が多様性を認め合い、融合し、ビジョンを共有する。そのうえで、社員同士がつながり合い、信頼を深めることが重要になってきます。私はグローバル⼈事部⾨と連携して、ポリシーの浸透やさらなるコネクト強化の実現に向けて活動しています。社員同士の対話を促し、価値観や体験を共有することでより深くつながり、SF2030の実現に向けて実行力のあるチームをつくることができたらと思っています。
Talk Theme 02

一人ひとりが健康ですこやかに生活できる未来に向けて、今私たちが取り組むべきこと

一人ひとりが健康で
すこやかに生活できる
未来に向けて、
今私たちが取り組むべきこと

SF2030で掲げた「予防医療で世界を健康に」の実現に向けて、 今どのようなことが必要か。皆さんはどう考えていますか。

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一人ひとりが健康で
すこやかに生活できる
未来に向けて、
今私たちが取り組むべきこと

一人ひとりが健康ですこやかに生活できる未来に向けて、今私たちが取り組むべきこと

SF2030で掲げた「予防医療で世界を健康に」の実現に向けて、 今どのようなことが必要か。皆さんはどう考えていますか。

倉橋
私は「受診勧奨モデル」に取り組んでいく中で、社内外の関係者との信頼関係の構築が今まで以上に求められると感じています。そのためには、自らが熱意をもってコミュニケーションをとり、共感を得る。また、パートナーの方々から学び、自分の視野を広げることが重要だと思います。
村田
私はコンセプトをつくる企画・デザインと、それを製品やサービスに落とし込んで具現化する開発側の両方の立場を経験してきました。この経験を通じて双方の考えを理解できるようになり、視野が広がったと感じています。部署が異なっていてもお互いを深く理解することで、部門を超えた信頼を醸成できます。このような一つひとつの信頼を紡いで、オムロン ヘルスケアが信頼し合った個人が集う会社となることは、スピードや実行力の面でも大きなアドバンテージになると感じています
永野
会社として連結し信頼を強めて実行力を高めるという意味では、自分たちの考えに共感してもらうような働きかけも重要です。未来に向けた自社の対環境への取り組みを社内外にわかりやすく伝えていくことが、環境グループにも求められていると感じています。「医療機器にはどこまでエコが求められるのか」「エコをどのように訴求すべきなのか」など、しっかりと関係部署の意見を聞き、丁寧に意識を擦り合わせながらプロジェクトを推進していきます。そして、医療業界をリードするような施策をつくり、社会に先駆けて実践していきたいと思います。
藤原
自分たちの想いに共感してもらうことは重要ですよね。私にも経験があります。入社当時に営業実習をやっていた頃は、私自身が血圧に関する知識があまりなく、機器のスペックを中心に考えていました。しかし、本当に伝えて共感してもらいたかったのは、私たちの血圧計がその人の健康づくりに必要で役立つものであるということです。今なら自信をもって、「オムロンの血圧計で血圧を測ることは、このような理由でお客様の健康に役立ちます」と伝えることができます。
小高
今までのやり方や領域にとらわれない挑戦も必要ではないでしょうか。3つのゼロを達成するために、現在の事業や商品・サービス以外にも成果が期待できる領域があるならば、積極的に新しいことにチャレンジしてみたいと思います。例えば「目」によるバイタルセンシングです。現在では、目の情報から全身の健康状態を予測する研究なども始まっており、それらはこれからのオムロン ヘルスケアのビジネスに大きなインパクトを与える可能性もあります。ヘルスケアの分野では、常にどこかで新しい研究が生まれていますので。
藤原
私は、グローバル規模で将来をとらえることの大切さを感じています。グローバルな視点で考えると、私たちのビジネスの成長チャンスはいたるところにあります。現在、インドなどの新興国では先進国と比較して血圧計はまだまだ普及していません。そのような国やエリアがまだたくさんあります。私の部門がインドで行なっているのは、家庭血圧測定の意義を広め、ヘルスリテラシーを医師と連携して高める取り組みです。これらの取り組みは簡単ではなく時間もかかりますが、オムロン ヘルスケアとして医師からの信頼があるからこそ、専門家と連携もしやすく、難易度の高い課題にも挑戦できるのだと考えています。
村田
遠隔診療サービスの分野でも同様です。国や地域ごとに医療制度や治療ガイドライン、医療課題がまったく異なります。ビジネスモデルもそれに合わせて構築しなければなりません。一方で、これから医療制度が発展する新興国では、社会インフラの進化と並行して法整備が行なわれます。これは、ヘルスリテラシーの高まりと同時に、最新の医療システムが導入されるチャンスでもあります。そのチャンスをつかむためにも、それぞれの制約に合わせながら、現地のニーズに応えるサービスをいち早く構築していけるような柔軟性とスピードが求められています
坪井
それは世界中の医療従事者やお客様から信頼を得て、事業を展開している私たちにしかできないことですよね。グローバルでの健康課題の解決において、私たちが活躍する機会はたくさんあります。藤原さんや村田さんもいうように、将来の市場拡大が見込まれるインドや中東・アフリカでは、特にスピーディーに動く必要があります。オムロン ヘルスケアグループがグローバルに1つになることで課題を共有し、私たちがもつ力を最大限に発揮して、その解決につなげていきたいと考えています。2030年に向けてそれらをリードしていくのは、私たち一人ひとりだと思います。グローバルの各拠点とも連携し、私たちがリーダーシップとスピード感をもって引っ張っていくという想いで、“Going for ZERO”の達成を目指します。