OMRON All for Healthcare

2013.11.08

vol.125 「足がつる」を慢性化させない

LINEで送る 一覧に戻る

中高年は足がつりやすい

Vol.125 「足がつる」を慢性化させない 足がつったという経験は、たいていの方にあるでしょう。特に多いのは、ふくらはぎがつるケースで、昔はふくらはぎを「こむら(腓)」といったことから、こむら返りともいわれています(※1)。
わたしたちはふだん、歩いたり運動したりするとき、足の筋肉を自分の意志で動かしています。ところがなんらかの原因で、自分の意志とは関係なく、足の筋肉がとつぜん痙攣(けいれん)を起こすことがあります。筋肉が収縮したままで硬直し、元に戻りにくくなり、多くの場合、痛みをともないます。それが「足がつる」という症状です。つる場所は、ふくらはぎに限らず、足の側面や指、腱の付近などにもみられます。

足がつる原因は人さまざまですが、若い世代の場合はサッカーやテニスなど足を激しく使う運動中に起こりやすく、筋肉疲労が原因の1つと考えられています。ところが中高年になると、ジョギングやハイキングなどの軽い運動がきっかけで足がつったり、睡眠中にいきなり足がつるといったケースが増えてきます。
当初は一過性で、自然に治まることもありますが、次第に足がつる回数が増えたり、夜間に痛みで目をさまし、それが原因で睡眠障害を起こすことも少なくありません。また、激しい痛みにおそわれ、翌日まで痛みや違和感が残ったり、さらには肉離れを起こすケースもみられます。

中高年になると、なぜ足がつる症状が慢性化したり、重症化したりしやすいのでしょうか。それは、加齢にともなう筋肉量の減少に加え、脱水症状、動脈硬化による血行不良と冷え、病気による神経障害、薬の副作用など、さまざまな要因が重なりやすいためです。ときには足がつる症状から、重大な病気がみつかることもあります。
それだけに、足がつる症状がよく起こる場合には要注意。予防策を知っておき、日常生活に支障をきたさないように心がけましょう。

(※1)医学的には「筋クランプ(筋痙攣)」の1つとされ、足のほか手や腹筋などにも起こります。

なぜ足がつるのか

なぜ、足がつるのでしょうか。そのメカニズムはまだよくわかっていませんが、病気などの直接的な原因がない場合、有力な要因の1つが「電解質異常」です。電解質とは、主にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど血液中にあるミネラルイオンのこと。これらのミネラルは、筋肉や神経の動きを調整しているので、なんらかの原因でミネラルバランスが乱れると、筋肉の異常興奮(痙攣)が起こるのではないかと推測されています。
筋肉の動きにはさまざまなミネラルが関係していますが、1つの例をあげると、カルシウムの働きがあります。筋肉の収縮は、細胞内のカルシウムイオン濃度が上がることで起こります。同時に、体内にはカルシウムイオン濃度を調整する機能も働いています。加齢や疲労、栄養不足などにより濃度調整機能が低下すると、筋肉の伸び縮みがうまく制御できなくなり、痙攣を起こしやすくなります(※2)。

カルシウムに限らず、私たちが日常生活で必要とするミネラルは、いずれもごく少量ですが、それだけにちょっとしたことでミネラルバランスの乱れが生じます。たとえば、発汗や脱水症状などです。
発汗というと、夏のことだけを連想しがちですが、現代の住宅やオフィスは暖房設備が整っているので、冬の室内でも汗をかきます。睡眠中にも、コップ1杯~2杯程度の汗をかきます。また、治療などで利尿薬を使っていたり、消化不良で下痢が続いたりすると、軽い脱水状態になることもあります(高齢者に多い)。中高年の場合、汗や尿と一緒にミネラルも排出されやすいので、気づかないうちにミネラルバランスを乱していることが多いのです(※3)。

では、運動による影響はどうなのでしょうか。
運動時に筋肉を使うと、カルシウムやナトリウムなどのミネラルが急速に消費されます。そのまま運動を続けると、やがて筋肉疲労を起こし、足がつる可能性も高くなります。
とくに中高年になって運動を始めた(再開した)場合、自分では軽めの運動と思っていても、発汗や疲労などの影響で予想以上のミネラルが消費されている可能性があります。ミネラルバランスだけが原因とはいえませんが、運動をする方でよく足がつる場合には、スポーツドリンクなどできちんとミネラルを補給することも予防法の1つなので試してみましょう。

(※2)筋肉(骨格筋)や腱には、伸縮を感知するセンセー(筋紡錘、腱紡錘)があります。これらは本来、脳と連携して筋肉の伸縮を制御していますが、疲労やミネラルバランスの乱れなどで誤作動を起こすことも一因と考えられています。

(※3)高血圧や腎臓病などの治療で利尿薬を使っている場合、足がつるからといって自己判断で薬をやめず、かならず医師に相談してください。

睡眠中に足がつる原因は?

睡眠中に足がつり、痛みで目をさましたという経験はないでしょうか。
中高年の方には、睡眠中に足がつる症状がよくみられます。痛みは数分で治まることもありますが、それでも目がさめてしまうので、くり返すようになると睡眠障害を引き起こします。

睡眠中に足がつる症状は、運動をしている方にも、運動をしていない方にも起こります。そのため背景には、加齢にともなう足の筋肉量の減少や、動脈硬化による血行不良などがあると考えられています。
足の筋肉は伸縮することで、ポンプのように血液を循環させる働きをしています。しかし、定期的な運動をしていないと、筋肉量は20歳代を100とした場合、30歳代、40歳代…と進むにつれ、目安として約10%ずつ低下します(60歳代以上では約60%)。
足の筋肉量が減少すると、下半身の血液の流れが低下し、ミネラルやビタミンなどの栄養分の補給もうまくいかなくなります。その結果、運動をしていなくても、日常活動(仕事、家事、外出など)による筋肉疲労が蓄積しやすくなるのです。
また、中高年になると、加齢や高血圧、高血糖などが原因で動脈硬化を起こしているケースも少なくありません。足の血管に動脈硬化がみられると、血流量が低下し、悪化すると閉塞性動脈硬化症を起こすこともありますが、この病気も足がつる原因の1つです(ミニコラム参照)。

こうしたマイナス条件(筋肉量の減少、筋肉疲労の蓄積、動脈硬化など)をベースに、さらに睡眠時には発汗によるミネラルの消費、冷えによる血流の低下などが重なり、足がつるリスクが高くなります。
急に足がつったとき、一般的にはふくらはぎなどのつった箇所の筋肉をゆっくり伸ばすことで、痛みが少しずつ解消されます。ところが睡眠中に足がつると、眠気もあってあわてて筋肉を伸ばそうとしがちです。すると筋繊維の断裂が生じ、翌日まで違和感が残ることがあります。ひどい場合には肉離れを起こすので、筋肉を伸ばすときはゆっくり静かにやりましょう。

自分に合った予防策を

足がつる症状を慢性化させないためには、予防策が大切です。人によって症状が起こる条件が異なるので、自分に合った方法を試してみましょう。

1)フットケアをする
運動をしている方はもちろんですが、運動をしていなくても日常活動による筋肉疲労の蓄積を解消するため、1日の終わり(夜間)にフットケアをしましょう。床に座って片膝を立て、(立てたほうの足の)ふくらはぎに手のひらを添えて、下(アキレス腱付近)から上(膝裏付近)へと軽くもみます。強くもむと筋繊維を傷めやすいので、手を滑らせるようにしてやさしくもみます。電動のマッサージャーを使うと、両足を一緒に均等にもむことができます。最近は、ふくらはぎ専用のマッサージャーも登場しています。

2)スクワット(屈伸)をする
適度のスクワットをすると、足の筋肉量を維持するだけでなく、血流をよくして疲労回復にもつながります。両足を肩幅程度に開いて立ち、両手を前に伸ばし、ゆっくり膝の曲げ伸ばし(屈伸)をします。からだが前傾すると腰に負担がかかるので、両手の水平を保つようにしましょう。数回に分けてもいいので、1日で合計100回程度を目標に続けましょう。ただし、疲れが残ると逆効果なので、一度にやりすぎないこと。

3)食事などを見直す
ミネラルが不足しないように、バランスの良い食事を心がけることが大切です。とくに筋肉の動きに関係が深いカルシウムは乳製品や小魚類に、またマグネシウムは大豆食品(豆腐、納豆など)に多く含まれています。
頻繁に足がつる場合は、サプリメントや漢方薬を試してみるのもいいでしょう。漢方薬では、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が筋肉の痙攣性の痛みに効果がありますが、人によってむくみが生じることがあるので、高血圧や腎臓病などの治療を受けている方はかならず医師に相談してください。
※疾病別においしいメニューを紹介。ヘルシーメニューはこちら。「ヘルシーメニュー」

ミニコラム

病気が原因で、足がつる症状がみられることがあります。たとえば、糖尿病脊柱管狭窄症閉塞性動脈硬化症、椎間板ヘルニア、腎疾患、脳梗塞などが知られています。とくに糖尿病では、足がつる症状が少なくありません。血糖値が高い状態が続いた結果、電解質バランスが乱れることが原因と考えられていますが、まだ明確な因果関係は分かっていません。これらの病気の場合には、足がつるだけでなく、それぞれ特徴的な症状が重なってみられます。ノドの渇き・手足のしびれなど(糖尿病)、休みながらでないと歩けないなどの歩行障害(脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症)、腰痛(椎間板ヘルニア)、むくみ(腎疾患)、片方の手足の麻痺・言葉のもつれなど(脳梗塞)。ほとんどの病気は検査で発見が可能なので、気になる症状がみられたら早めに受診しましょう。


shadow
このページの先頭へ戻る