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2005.03.10

vol.21 白内障は早期発見で対策を

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だれにでも起こる白内障

Vol.21 白内障は早期発見で対策を 白内障は年をとるにつれ、だれにでも起こりうる目の病気です。そのため昔は、老化現象のひとつなので仕方がないと思われていました。しかし最近は、白内障にもいろいろなタイプがあり、その原因も少しずつ解明されてきています。それにつれて、予防や早期発見の大切さが指摘されています。 まず白内障とは、どんな病気なのでしょうか。
私たちの目は、よくカメラに例えられます。カメラのレンズに当たるのが、目の水晶体です。水晶体は外から入る光を集め、網膜というフィルムに映像を映します。しかし、何らかの原因で水晶体がにごると、光の通過性が悪くなり、はっきりした映像が結べなくなります。その結果、ものがかすんで見えたり、視力が低下したりします。これが白内障です。
水晶体がにごる原因はさまざまですが、もっともよくみられるのが老化によるもので、老人性白内障と呼ばれます。老人性といっても、早い人では40歳代から起こりますし、50歳をすぎるとかなり多くの人に白内障の症状がみられるので、中高年の目の病気といってもいいでしょう(*1)。
ただ老眼や一時的な眼精疲労などと間違えやすいため、自分ではなかなか気が付きません。そのため知らないうちに白内障が進んでしまい、手術が必要となるケースも少なくありません。

(*1)白内障の発症率にはいろいろな報告がありますが、精密に検査をすると、50歳代では約60%、60歳代で80%、70歳代で90%、80歳代ではほぼ100%に及ぶとされています。

自覚症状から白内障を知る

水晶体のにごりは、薬などで治すことはできません。悪化した場合には手術が効果的ですが、そうなる前にやはり予防や改善を心がけたいものです。 予防の手がかりとなるのは、自覚症状です。痛みのようなはっきりした症状はありませんが、なんとなくものが見えづらく感じられます。初期には、次のような症状が多くみられます。

(1)目がかすむ
(2)光をまぶしく感じる
(3)視力が低下する

(1)の目がかすむのは、前述の水晶体のにごりによって、光の通過性が落ちるためです。(2)の光をまぶしく感じるのは、にごりによって水晶体の中で光の散乱が生じるためです。反対に光の少ない暗い場所では、見えにくい状態にもなります。
(3)の視力の低下には、ちょっと特徴があります。近視(近眼)や老視(老眼)の場合には、眼鏡やコンタクトレンズで矯正できますが、白内障の場合にはそれができません。眼鏡を替えても視力が矯正できない場合は、白内障を疑ってみましょう。
これらの症状は、いずれもゆっくり進行します。そのためおかしいなと思いつつ、放置している人がたくさんいます。50歳前後からは、年に一度は目の検査を受けることが大切です。

紫外線による酸化障害

白内障の最大の原因は加齢ですが、発症する年齢は人によってかなり違います。その理由には、遺伝的な要因も一部にありますが、それよりもさまざまな生活習慣との関連が、最近の研究から指摘されるようになっています。
水晶体がにごるのは、そこに含まれているタンパク質(クリスタン)が酸化を受け、性質が変化するためです。酸化の要因としてまず挙げられるのが、光(主に紫外線)です。水晶体は光を大量に通すため、どうしても紫外線によって活性酸素が発生し、酸化障害を受けやすいのです。
金沢医科大学の調査では、日差しが強く、紫外線の量が多い地域の人ほど、白内障にかかりやすいことがわかっています(*2)。
水晶体の酸化を防ぐには、目から入る紫外線の量をできるだけ減らしてやる必要があります。とくに春先から初夏にかけては紫外線の量が増えるので、つばのある帽子をかぶる、日傘をさす、サングラスをするといった自衛策で、白内障の予防をしましょう。
ただし普通のサングラスは、上や横から紫外線が入りやすいのが弱点です。またサングラスの色が濃いと瞳孔が開き、かえって紫外線の影響を受けてしまうことがあるので、色の薄いレンズを選びましょう。紫外線の影響を防ぐには、顔にぴったり合ったものや横まで覆われたタイプのものを選びます。 近視などの眼鏡のレンズも、プラスチック製かUVカットのものを選ぶようにしましょう。

(*2)金沢医科大学の調査(2002年発表)では、石川県の白内障発症率を1とすると、鹿児島県の奄美大島で1.4倍、赤道に近いシンガポールでは2.1倍となり、反対に高緯度に位置するアイスランドでは0.4倍と低くなります。

海辺では紫外線が多いことはよく知られていますが、実は山でも大量の紫外線が降り注いでいます。標高が高くなるほど紫外線の量も増えるので、これからの季節、山登りや高原でのレジャーには、必ず紫外線対策をしましょう。

食生活で抗酸化物質をとる

水晶体の酸化によるにごりを防ぐには、食生活にも注意する必要があります。
私たちのからだには、ビタミンCに代表される酸化を防いでくれる物質(抗酸化物質)があります。実は目にはもともとビタミンCが豊富にあって、水晶体の酸化を防いでくれています。
またアントシアニンという色素も、目の抗酸化作用には効果があることが知られています。アントシアニンはブルーベリー(とくにビルベリー)に多く含まれていて、目にいい食べ物としてテレビなどで話題となりましたが、眼精疲労を防ぐだけでなく抗酸化作用をもっています。
しかしこうした抗酸化物質は、残念なことに加齢によって減少してきます。そのことも、白内障が起こる要因のひとつだといわれます。そのため中高年になったら、水晶体の酸化予防のために、これらの抗酸化物質を含む食物を毎日の食生活の中で意識的にとるようにすることが大切です。
ビタミンCは野菜や果物に多く含まれています。また、アントシアニンは紫色の色素なので、ブルーベリーだけでなくむらさきいもや小豆などにも多く含まれています(*3)。

(*3)白内障の予防に効果がある食べ物として、そのほかルテイン(カロチノイドの一種)を多く含むほうれんそうやブロッコリー、またDHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含む魚類も大切です。ルテインは目に多くある抗酸化物質、またDHAは視細胞に多くあって神経伝達を助けています。

糖尿病とアトピー性皮膚炎に注意を

白内障は、ほかの生活習慣病とも密接な関連があることがわかってきました。
その典型が糖尿病です。糖尿病は血液中の糖分濃度(血糖値)が高くなる病気ですが、高血糖状態が長く続くと水晶体にも糖分が蓄積し、にごりの原因となるためです。
糖尿病があると白内障の進行も早く、30歳代から発症することもあります。最近は糖尿病の人が増えたことから、糖尿病性白内障も多くみられます。
白内障の手術をする場合でも、糖尿病があると適切な手術ができなかったり、術後の管理の難しさや再発の可能性なども懸念されます。それだけにまず食事や運動などで血糖値を管理し、糖尿病を改善することが大切です。
もうひとつ注目されているのが、アトピー性皮膚炎と白内障との関係です。
アトピー性皮膚炎は子どもに多い病気ですが、一度治った人が大人になって再発したり、大人になってから初めて発症する例が増えています。こうした成人型アトピー性皮膚炎の人に、白内障を併発する人が少なくないことがわかってきました。
原因はまだ判明していませんが、水晶体の細胞にアトピーと似た反応症状が出るという説や、目の回りのかゆみをこするため外傷などによって白内障が起こりやすくなるなどの説があります。
いずれにせよ糖尿病やアトピー性皮膚炎があると、急速に白内障が悪化することがあるので、十分な注意が必要です。そのほかステロイド薬を長い間使っている人も、白内障になりやすいことがわかってきています。

白内障の手術は一般的に、水晶体のにごった部分を吸い出し、代わりに人工の眼内レンズを入れる方法で行われます。麻酔によって痛みもなく、手術は30分程度で済み、経過が良ければその日のうちに帰ることができます。また、術後は以前のように視力が回復することもあるため、簡単で便利な手術だと思っている人が少なくありません。しかし、糖尿病やアトピー性皮膚炎があると、眼内レンズを入れられないなど手術にも支障をきたすこともありますので、十分に医師と相談してから行う必要があります。


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