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2009.05.08

vol.71 「くも膜下出血」を予防しよう

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くも膜下出血の常識は、ほんと?

脳出血の一つ「くも膜下出血」は、発症すると死亡率が約50%と非常に高く、とても怖い病気です。処置が遅れると再出血の危険性もあり、また後遺障害などのリスクもあります。
それだけに、できるだけ発症しないように、日ごろからリスクを下げるための予防が大切です。
くも膜下出血の予防というと、意外に感じる方も多いかもしれません。一般にくも膜下出血は、「なんの前ぶれもなく、ある日突然起こる」と思われているからです。 しかし最近の調査・研究から、くも膜下出血には特徴的な前兆ともいえる症状がいくつかあることが分かっています。
また、くも膜下出血は「女性に多い病気」とされ、男性には少ないように思われています。ところが実際には、死亡率を比較すると男性1に対して女性1.26と、大きな差はありません(※1)。むしろ年代によって男女差がみられ、40歳代、50歳代では男性に多く、60歳以降は女性に多くなる傾向がみられます。
中年期以降は、誰にでも起こりうる病気だといえます。病気の特徴や、どんな人に起こりやすいのかをきちんと知っておきましょう。

(※1)JACC Study(文部科学省の助成による全国レベルの調査研究)による。10万人当たりの死亡率は、男性19.5人、女性24.6人となっています。

くも膜下出血の前兆とは

くも膜下出血は、脳を包むくも膜の内側の血管で起こる出血です。多くの場合、血管に動脈瘤(どうみゃくりゅう=コブ)ができ、そこに圧力が加わって破裂することで起こります。動脈瘤がなぜできるのかは、まだよく分かっていませんが、血管の弱い部分(分岐部など)にできやすい傾向があります。
くも膜下出血が起こったときの典型的な症状は、「激しい頭痛」「意識障害」「嘔吐」などです。特に頭痛を経験する人は多く、「バットやカナヅチで殴られたような」といわれるほどの強烈な痛みが突然起こります。ただし、頭痛をほとんど感じない例も少なくありません。
「意識障害」も、比較的多くみられる症状です。頭痛もなく、いきなり意識を失う例もあります。いびきをかいて寝たようになる例もみられます。そのほか、嘔吐や目の痛みなどの症状を経験する人もいます。
ただし、こうした症状は、実際にくも膜下出血を起こしたときに経験するもので、いわゆる前兆とは異なります。
では、前兆の症状とは、どういうものでしょうか。
その一つは、血圧の乱れです。数日前から血圧の乱高下をくり返したあと、くも膜下出血を起こす例がみられることから、血圧の変化には注意が必要です(ほかの原因も考えられるので、血圧が乱高下した場合には早めに受診しましょう)。
また、くも膜下出血の場合、前段階で動脈瘤から少量の出血があったり、動脈瘤が神経を圧迫したりして、軽度の症状がみられることがあります。その場合にもよく経験するのが、急な頭痛です。頭痛の程度は人によって異なりますが、経験する人が多いので「警告頭痛」とも呼ばれます。
そのほか、目の異常(痛み、二重にみえる、まぶたが下がるなど)、めまい、吐き気を感じる人もいます。頭のなかに違和感(モヤモヤ、ボォーッとする)を覚える人もいます。
こうした症状は、しばらくすると治ってしまいます。ところが、その数日後に大きな発作を起こす例が少なくありません。原因が思い当たらない場合には、早めに受診することが予防につながります。

<もし発症した場合は>

経験したことがない強烈な頭痛におそわれたら、迷わず救急車を呼びましょう。意識を失いそうなときは、周囲の人に助けを求めます。くも膜下出血は緊急を要する病気で、放置していると再出血を起こし、最悪の事態になりかねません。前兆のような軽い症状の場合でも、なかなか治まらないと、引き続いて大きな発作を起こすことがあります。頭の中で何か異様なことが起こっていると感じたら、すぐに受診するか、救急車を呼ぶことが大切です。

こんな人はとくに注意(リスク要因)

くも膜下出血の二大リスク要因が、高血圧と喫煙習慣です。そのほかのリスクもふくめ、自分が起こしやすいタイプかどうか、知っておきましょう。

リスク1 高血圧

くも膜下出血のリスク要因のなかでも、最も一般的なものは高血圧です。高血圧の人は、そうでない人と比較すると、くも膜下出血による死亡リスクが約3倍(男性2.97倍、女性2.70倍)も高くなります(※2)。
血圧が高いと、動脈瘤にかかる圧力も常に高い状態にあり、それだけ破裂の危険性も高くなるためと考えられています。特に先ほど紹介した、血圧の乱高下には十分な注意が必要です。
高血圧の原因の一つに、塩分のとりすぎがあります。くも膜下出血の場合も、塩分の摂取量が多いことがリスクにつながります。塩分の多い食事を好む人は、そうでない人と比較すると、リスクが男性で3.01倍、女性でも2.34場合にもなるからです。
※高血圧の危険度チェックはこちら。「高血圧の危険度チェック」

リスク2 喫煙

くも膜下出血の最大のリスクとされるのが、喫煙の習慣です。喫煙との関連性については、さまざまな調査が行われていますが、喫煙者のリスクは非喫煙者の2.2倍~3.6倍にもなります(※3)。
1日の喫煙量が少なめの人(10本未満)であっても、20本以上吸っている人とリスクは違いません。喫煙そのものが、リスクを高めているといえます。

リスク3 家族の病歴

親や兄弟などの家族に、脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)の体験者がいる場合にも要注意です。男女とも約2倍、リスクが高くなるからです。

リスク4 輸血歴

あまり知られていないリスクでは、輸血歴があります。特に男性の場合にはその影響が大きく、なんらかの手術などで輸血歴がある男性は、そうでない男性と比較すると、4.20倍のリスクがあります。輸血がどのように関連しているのかは、まだ分かっていません。

リスク5 その他

ストレスは血管を傷つけ、くも膜下出血のリスクを高めます。特に女性は影響を受けやすい傾向がみられるので、注意が必要です。
また女性の場合、60歳以降にくも膜下出血を起こしやすくなります。これには、女性ホルモンの分泌量の減少が関係していると推定されています。

(※2)高血圧の基準は、「収縮期血圧140mmHg以上、又は拡張期血圧90mmHg以上」。リスクの数値はJACC Studyによる。リスクはいずれも、くも膜下出血による死亡リスク。

(※3)JACC Studyでは喫煙者のリスクは男性3.10倍、女性2.26倍。厚生労働省研究班による大規模疫学調査(2004年)では男性3.6倍、女性2.7倍。同じく厚生労働省研究班による2009年調査では、男性2.19倍、女性2.88倍。

くも膜下出血・予防の原則

くも膜下出血は、日常での予防対策が大切です。次のようなことに気をつけましょう。

(1) 血圧をきちんとコントロールする

高血圧の人は日ごろから血圧に注意し、特に大きな変化(乱高下など)があったらすぐに受診しましょう。

(2) 食事に気をつける

塩蔵品や漬物、味噌汁などをとりすぎないようにし、また外食も塩分が多いので注意を。野菜に含まれるカリウムは塩分の排出を促すので、野菜を多めにとりましょう。アルコールの飲みすぎも、くも膜下出血のリスクの一つなので、控えめにしましょう。
※高血圧改善のおすすめメニューはこちら。「ヘルシーメニュー」

(3) 禁煙を心掛ける

タバコをやめると、くも膜下出血のリスクは低下し、やがて非喫煙者と同じレベルになります。禁煙による予防効果は明確なので、とくに高血圧の人や家族に脳卒中の人がいる場合には禁煙を心掛けましょう。

(4) 前兆を見逃さない

血圧の乱高下のほか、突然の頭痛、頭のモヤモヤ感、目の痛みなどの前兆があったら、必ず受診しましょう。


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