高血圧の予防と改善(2)-生活習慣を見直す

高血圧と生活習慣

高血圧は典型的な生活習慣病です。高血圧の要因となる運動不足やアルコールのとりすぎなどを見直してみましょう。

運動で血圧を下げる

適度の運動には、高血圧を改善する効果があります。さまざまな調査・研究から、運動によって私たちの体内では次のような作用が活発になり、相乗的に血圧を下げる効果がみられることがわかっています。

  • 交感神経の働きが低下して血管が拡張し、血圧が下がる。
  • インスリンの働きがよくなり、相対的に分泌量が減り、インスリンのもつ血圧上昇機能が弱まる。
  • 利尿作用が活発になり、体液量が低下し、血圧が下がる。

運動の条件と目標

  • 運動の種類=ウオーキングやアクアサイズ(水中運動)、サイクリングなどの有酸素運動が適しています。
  • 運動時間=1日30分程度 または、1回10分程度を数回
  • 運動頻度=週に3~4日(理想は毎日)
  • 運動の強さ=軽く汗ばむ程度、あるいは軽く息がはずむ程度

運動中は少し血圧が上昇します。やりすぎは逆効果になるので注意しましょう。
また、高血圧の治療を受けている方は、自己流でいきなり運動を始めると危険なので、医師に相談してください。

節酒を心がける

アルコールは一時的には血流をよくし、血圧を下げる効果もみられます。しかし、飲みすぎると、反対に血圧を上げます。飲みすぎの状態が続くと、心疾患のリスクが急速に高くなります。
一般的に健康の目安となる適量は、男性で日本酒1合、ビールなら中ビン1本、焼酎なら半合弱とされています(女性は半分〜3分の2程度)。個人差はありますが、「飲酒中に話がくどくなる、眠くなる、足元がふらつく」といった状態がみられたら、飲みすぎだと思いましょう。

喫煙のリスクを知っておく

喫煙の習慣が、高血圧の要因かどうかについては、まだ明確になっていません。
ただしタバコを喫うと、一時的に血圧が上昇します。また、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中の原因となることがわかっています。さらに、メタボリックシンドロームの重要な危険因子でもあります。
それだけに「血圧が高め」の人は、タバコの本数を控え、できれば禁煙をするほうがいいでしょう。

冬の血圧変動・夏の水分不足に注意を

冬は寒さの影響で血圧の変動が大きく、血圧の管理が難しい季節です。特に、起床時や入浴時には、注意が必要です。
起床時に部屋が寒いと、急激に血圧が上昇しがちです。少し前からエアコンのタイマー設定などで、部屋を暖めるようにしましょう。
入浴時には、脱衣所や浴室の寒さによる血圧上昇、入浴による血圧低下など、変動が大きくなりがちです。脱衣所は小型の暖房器具で、浴室は入るまえにシャワーを1〜2分流すなどの方法で暖めておくと、血管への負担が少なくなります。

夏は、血圧にはあまり影響がないと思われるかもしれません。ところが脳梗塞が最も多いのは、実は夏なのです。その原因は水分不足にあります(詳細は「はじめよう!ヘルシーライフ」Vol.37をご参照ください)。
血圧が高めで、動脈硬化を起こしていると、水分不足から血管が詰まりやすい状態になりやすいので、特に、注意が必要です。夏には意識的に早めに水分を補給し、また、家庭血圧の測定などで血圧の変動にも注意しましょう。