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2006.07.10

vol.37 夏の脳梗塞予防は、上手な水分補給で

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脳梗塞は夏に多い!

Vol.37 夏の脳梗塞予防は、上手な水分補給で 脳梗塞は夏に多いということを、ご存じでしょうか。
従来、脳梗塞や脳出血などは、血圧が上昇しやすい冬に多い病気として知られていました。ところが国立循環器病センターの調査によると、脳梗塞に限っては夏のほうが多いことがわかっています(※1)。
その主な原因は、脱水症状です。夏は汗をかくため、気付かないうちに体内の水分が不足がちになります。そうすると血液の流れが悪化し、血管が詰まりやすくなるのです。
予防には水分補給が大切ですが、ただ多くとればいいというものではありません。夏の脳梗塞には、発症しやすいタイプや時間帯、水分補給のコツ、生活上の注意などに特徴があります。そのため上手な予防法を知っておきましょう。
まず脳梗塞には大きく分けて、脳塞栓症と脳血栓症という2つのタイプがあります。
脳塞栓症は、心臓付近にできた血栓が移動し、脳の血管を詰まらせるものです。長嶋茂雄・巨人軍名誉監督の脳梗塞は、このタイプです。
もうひとつの脳血栓症は、脳の血管そのものが狭くなったり、血栓ができたりすることで引き起こされます。実は夏に多いのは、この脳血栓症です(※2)。 脳血栓症は、普段健康そうにみえていても、脱水症状が引き金となって急に発症します。高齢者に限らず、30~50歳代の比較的若い世代でも、発作におそわれて倒れることがあるので注意が必要です。歌手の西城秀樹さんも48歳の時に脳梗塞で倒れましたが、その原因は減量や過労などによる脱水症状でした。

(※1)国立循環器病センターが調査を行い、2004年に日本脳卒中学会で発表。

(※2)脳血栓症には、細い動脈に起こるラクナ梗塞と、頚動脈を含む太い動脈に起こるアテローム血栓性脳梗塞があります。この2つで、脳梗塞全体の約75%を占めますが、いずれも夏に多く、また脱水症状の影響を受けやすいという特徴がみられます。

根底には動脈硬化が

脳梗塞は血管が詰まる病気だけに、多くの場合、その根底には動脈硬化があります。つまり血管の老化です。
加齢とともに、だれでも動脈硬化が起こりますが、それを促進するのが肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病です。こうした病気をもっている人、あるいはその予備軍段階の人は、もともと脳梗塞のリスクが高いだけに、夏には水分補給を十分に心がける必要があります(動脈硬化の詳細については、「生活習慣病 基礎知識」をご参照ください)。
生活習慣病のなかでも、とくに注意したいのは、血圧が高めの人です。
血圧が高いと、血管にいつも大きな圧力がかかるため、血管壁が厚くなったり、傷つきやすくなったりして、動脈硬化が促進されます。とりわけ脳の細い動脈は影響を受けやすく、血管壁が厚くなると血液の流れが悪化し、詰まりやすくなります。そこに脱水症状が加わることで、血栓ができるリスクが急激に高くなります。
しかも困ったことに、脳の細い動脈に生じた小さな詰まりは、通常の健康診断やCT検査ではなかなか発見できません。それだけに日ごろから血圧には気を付け、同時に動脈硬化の検査も受けるようにすることが大切です。
また、次のような一過性の症状がみられたときも、脳梗塞を起こす前触れである可能性もあるので、注意しましょう(※3)。

1.片方の手に急に力が入らなくなり、はしやペンなどを落とす。
2.片方の手や足がしびれたり、感覚がなくなる。
3.片方の目が見えなくなり、視野が欠ける。
4.足元がふらついたり、めまいが起こる。

(※3)これらの症状は一過性脳虚血発作と呼ばれるもので、たいていの場合、まもなく消えてしまいます。ところが後になって、本格的な脳梗塞を起こすことがあるので、早めに検査を受けるほうが安心です。

上手な水分補給の仕方

夏の水分補給というと、汗をかいたときに水を飲めばいい…そんなふうに簡単に考えていませんか。これは2つの点で間違っています。

<間違い1>
水分を摂取しても、からだ全体に浸透するには15~20分程度はかかります。したがって水を飲んでも、すぐに血液の流れがよくなるわけではありません。大切なのは、汗をかいていなくても、早め早めに、そしてこまめに水分補給を行うことです。
とくにスポーツ時や外出時など、汗をたくさんかくときは、普通の水よりも、スポーツドリンクが適しています。からだへの吸収が速いことと、汗と一緒に消耗した塩分などのミネラル補給にも役立つからです(※4)。

<間違い2>
もうひとつの間違いは、夏には汗をかかなくても、脱水症状を起こすことがあることです。その典型は、エアコンとアルコールによるものです。
エアコンの効いた室内は、思いのほか乾燥しています。汗をかかなくても、常にからだから少しずつ水分が奪われています。したがって室内にいるときも、時々お茶などを飲んで、きちんと水分補給をするようにしましょう。高齢になるほど、のどの渇きに気付きにくくなるので、定期的に水分をとることが大切です。
室内にいると脱水症状に気付きにくいのですが、トイレに行ったとき尿の色が濃くなっていたら水分不足のサインだと思ってください。
また夏には、仕事帰りや自宅で冷えたビールをグイッと飲むことも多くなります。
ビールなどのアルコールを飲んでいると、たくさん水分をとっているように感じるかもしれません。ところが実際には逆で、アルコール類には利尿作用があるため、飲んだ以上に尿となって水分が排出されてしまうケースが多いのです。
それだけにアルコールを飲むときは、飲みすぎに気を付けると同時に、最後に水を1~2杯飲んでおく習慣をつけるようにしましょう。

(※4)スポーツドリンクは、夏の熱中症予防にも効果的です。熱中症の場合、水分の補給だけでなく、塩分などのミネラルの補給が必要となるからです。

睡眠の前後にも水分補給を

夏の脳梗塞の予防で、もうひとつ大切なことは、睡眠の前後に上手に水分補給を行うことです。
普段でも私たちは、眠っている間に平均するとコップ1杯程度(200cc)の汗をかきます。真夏の、それも熱帯夜ともなると、それ以上の大汗をかくことも珍しくありません。
また眠っているときは、一般に血圧が低下するため、血液の流れが遅くなり、血栓ができやすい状態になります。
さらに起床する前後からは、血圧が上昇すると同時に、活動に備えてアドレナリンが分泌されますが、これによって血液が固まりやすくなります。
これらの条件が重なるため、夏の脳梗塞は睡眠中から起床後の時間帯にかけて、発症のリスクが高くなります。
予防のために、まず寝る前に水を1杯飲むようにしましょう(※5)。中高年になると、睡眠中にトイレに立つことが多くなるため、それを嫌って、夜間には水分をとらない人が少なくありません。しかし、これは大変危険なことです。
むしろ枕元に水を置いて、いつでも飲めるようにしておき、トイレに立った後などに少しでも飲むようにすると、睡眠中に汗で失った水分の補給になります。冷たい水が苦手の人は、湯冷ましを置いておくといいでしょう。
また、朝起きたときに水を1杯飲むことも、夏の脳梗塞の予防につながります。とくに血圧が高めの人や、動脈硬化の疑いがある人は、睡眠の前後の水分補給をぜひ心がけてください。

(※5)寝る前にとる水分には、普通の水か白湯(さゆ)が適しています。お茶や紅茶、コーヒーなどにはカフェインが含まれているため、寝付けなくなることがあるので注意しましょう。


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