
27歳で海外挑戦した理由
「いつか海外でプレーしてみたいという願望は、かねてから持っていました。拓殖大学時代に台湾で開催されたユニバーシアードに出場し、翌年にはインドネシアで行われたアジア競技大会でも日本代表としてプレーしたのも大きかったです。国際大会のコートに立ったことで、海外志向がより強くなりました」
2020-21シーズン、Wリーグで初優勝を飾ったトヨタ自動車の中心に安間選手はいました。21年3月のプレーオフではMVPを獲得するなど、司令塔としてチームにも大きく貢献しています。
2021年の夏、プレーヤーとして勢いがある27歳を迎えたばかりのときでした。胸に秘めていた海外挑戦のチャンスが巡ってきました。ドイツのフライブルクからのオファーが舞い込んだのです。ドイツの女子バスケットリーグは、お世辞にも日本よりもレベルが高いとは言えなかったものの、チャレンジする道を選びました。
「当時ドイツには、女子の日本人選手は一人もいませんでした。サッカー、バレーボールなどはヨーロッパで活躍する女子選手も多いのですが、バスケットボールはほとんどいない状況だったので。私が先に海外に出ることで、次に続く道をつくることができれば、という想いもありました」
舞台はヨーロッパ。コートの中に190cmを越える選手がいることも珍しくありません。Wリーグでも小柄で目立っていた安間選手からすれば、見上げるほどの大柄な選手ばかり。身長は161cm。それでも、不安よりも挑戦したい気持ちの方が強かったと言います。
「自分がどこまで通用するのか、試したかったんです。2021年の東京オリンピックで日本の女子バスケットボールが注目されましたが、海外のリーグでも活躍できる日本人選手がいる、ということを示したかったのもあります」
東京オリンピック代表には名を連ねることはできませんでしたが、一人のバスケットボール選手として、海外への挑戦に迷いはありませんでした。では、初めて海外を意識したのは、いつなのか。あらためて、考えを巡らせると、幼少期までさかのぼります。