海外でもバスケの楽しさは変わらない
厳しい指導にもめげずに練習に打ち込んだバスケットボール女子は、年齢を重ねるごとにメキメキと実力をつけました。地元の北谷中学校に進むと、全国大会に出場し、優勝を果たします。『ヤスマ』の名前は、瞬く間に全国にとどろきました。中学校を卒業すると、福岡の中村学園女子高校へ。名門校でも1年生からガードとして活躍し、インターハイ準優勝、ウインターカップ準優勝に貢献。絵に描いたようなエリート街道を突き進んでいきます。拓殖大では1年目から新人賞、2年目以降もアシスト王、ベスト8賞など、個人賞を次々と獲得。4年時には大学卒業を待たずして、アーリーエントリーでトヨタ自動車のメンバーに登録され、Wリーグのコートにも立ちました。
7歳からバスケットボール一筋。無心にリングを狙い続けた時期もありましたが、競技の奥深さを知れば知るほど、仲間とともに勝利をつかみ取る瞬間に充実感を覚えるようになりました。
「全員で守って、そこからファーストブレイク※したときは気持ちいいですね。1対1からカッコいいシュートを決めるのもいいのですが、バスケットボールはチームスポーツ。テンポよくパスを回して、点数を取るのが楽しいんですよ」
しみじみと話す言葉には実感がこもります。ドイツでも、イタリアでも、バスケットボールの本質は変わりません。
「海外のどのチームにいても同じですね」
ただ、初めての海外挑戦は、すべてが思い通りに進んだわけではなかった。
※ゴール下で相手チームとの競り合いで攻撃を凌いでいる場合に、ボールが味方のものになった瞬間一転変わって相手陣のゴールへと素早く攻めたてる攻撃方法
〈後編へ続く〉
<プロフィール紹介>

バスケットボール選手 安間 志織さん
1994年沖縄県生まれ。イタリアのウマナ・レイェ・ヴェネツィア所属。
中学~高校の全国大会で優勝経験し、大学では1年目から個人賞を獲得。2021年に日本から単身でドイツへ移籍。アイスフォーゲルUSCフライブルクに所属し、リーグ優勝に導きMVPを獲得。2022年はイタリアのウマナ・レイェ・ヴェネツィアに移籍し、活躍している。