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中高生でもデイリールーティンが大事(1 ⁄ 3)

Dusan Gvozdic
Basketball

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バスケットボールに本気で打ち込む日本の高校、大学年代の選手たちは、いかに自身の体と向き合うべきなのか。Bリーグ1部・サンロッカーズ渋谷のデュシャン・グヴォズディッチ・アシスタントコーチ(AC)に話を聞きました。海外の視点を持つセルビア人指導者の考えとは――。

日本の若い選手は取り組む姿勢が素晴らしい

グヴォズディッチACは2023年7月からサンロッカーズ渋谷で指導していますが、日本でのコーチ歴は5年になります。B1リーグのアルバルク東京でもコーチ経験を持ち、多くの日本人選手を見てきました。高校、大学からプロチームに入ってくる若い選手たちを指導していると、いつも感心させられると言います。
「海外の選手たちと比べると、練習に取り組む姿勢はずば抜けて良いです。サンロッカーズのユース育成特別枠に選手登録されていた大森康瑛(当時18歳)はその典型的な例です。誰よりも早くに体育館に来て、誰よりも遅くに帰ります。ひたむきにバスケットボールに向き合っています。プロとして、チームメイトに真摯な姿勢を見せることは大事な要素です」
ベテラン指導者の言葉には重みがあります。指導歴は28年。指導者としてキャリアをスタートしたのは、18歳のときでした。バルカン半島が戦火に見舞われた時代です。当時、体育系の大学に通っていたグヴォズディッチ氏もユーゴスラビア紛争に巻き込まれ、生き抜くためにどうすればいいのか、日々考えていました。
「コーチを始めるのはまだ早いと思いましたが、将来を考えたときに大学で選手としてプレーを続けていくのは難しかったので……。勉強もそうです。本当はもっと学びかったのですが、不安定な国の情勢もありましたからね。ベオグラードでU15(15歳以下)年代の選手たちを指導しているときも、空爆を受けて危険から逃れるように街を離れるしかなかったんです」
それでも、バスケットボールの指導者としてキャリアを途切れさせることはありませんでした。母国のセルビアをはじめ、ウクライナ、ベラルーシ、スイス、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ドイツとヨーロッパ各地を渡り歩き、コーチ経験を積んできました。各国の育成システムを見てきたからこそ、日本の良さが見えるようです。
「日本の中学校、高校は、バスケットボールに打ち込む環境が整っています。選手のフィジカル面についても、物足りなさを感じることはありません。日本の場合、学生は学業と両立させながらプレーしています。プロとは生活リズムが違い、筋力トレーニング、身体のメンテナスなどにかけられる時間も限られていますが、最善を尽くしていると思います。とても勤勉だと思います」

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