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第一線で戦う選手たちのリカバリーケア(1 ⁄ 3)

Handball National Team
Handball

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「走る・投げる・飛ぶ」という動作のすべてがスピーディかつダイナミックなハンドボール。正当な接触プレーがルール上で認められており、ボディコンタクトが激しいことも特徴です。その第一線でプレーする選手は、どのような体づくりやリカバリーケアをおこなっているのでしょうか。今回はソニーセミコンダクタマニュファクチャリング所属の日本代表選手、初見実椰子(はつみ みやこ)さんと金城(きんじょう)ありささんに話を伺いました。

痛みや疲労が出やすい部位はポジションで変わる

ハンドボールというスポーツでは、ポジションが異なれば求められる身体能力や動きも変わります。そしてケガをしやすい部位や、ケアが必要な部位も変わってきます。たとえば初見さんのポスト(ピボット)というポジションは、身体を張る場面が非常に多いそうです。

「相手ディフェンスの中に1人で入り込んで配給をしたり、仲間のシュートコースを開けたり、自分でシュートに行ったりするポジションです。ほかのポジションとは異なり、攻撃時は常にディフェンスに囲まれた状態になるので、身体接触はとにかく激しいですし、身体の強さが求められます」(初見さん)

一方の金城さんは、所属チームのソニーセミコンダクタマニュファクチャリングではライトバック、日本代表では主にライトサイドを務めています。ともに左利きが有利なポジションで、金城さんも左利きです。

「代表のライトサイドについては、初見さんのポストほどの身体接触はなく、各ポジションから配給されたボールを最後に飛び込んで決めきることが求められます」(金城さん)

ちなみに2人は学年が2つ違いますが、高校から大学、そして現在の所属チームまでキャリアが一緒。2022年には揃って初の日本代表に選出されています。相手のプレーの印象を聞くと、「小柄なのにすごく速い球を投げるので、『身体のどこからその球の速さが出てくるんだろう』といつも驚いていた」(初見さん)、「キープ力が高いので安心してボールを預けられますし、オフェンスでもディフェンスでも本当に『チームを助ける選手』として頼りにしている」(金城さん)と、互いをリスペクトしていることが伺えました。

そうしたプレーの特性や、自身の強みや課題を意識しながら、2人は日々身体づくりに励んでいるそうです。

「165cmの私はポストのポジションとしては国内でも小柄なほう。日本代表で対戦する海外選手は、さらに大きな選手ばかりです。だからこそ低い位置の勝負で有利に立てるのが自分の強みだと思うので、下半身や体幹を重点的に強化しています」(初見さん)

「私はなかなか筋力がつきにくい体質ですが、もう少し全身のパワーを強くするためにトレーニングに励んでいます。ただし自分の持ち味はスピードと瞬発性なので、筋力アップでそうした特性を落とさないことも大事にしていますね」(金城さん)

では2人のポジションではどのようなケガのリスクがあるのでしょうか。

「ポストはやはり相手との接触が多いので、打ち身ができることは頻繁にありますし、軽い痛みを感じながらプレーをしている時期もあります。また、ハンドボールは膝や肩を怪我しやすいスポーツで、私のポジションでもそれは同じですね」(初見さん)

「どのポジションでも膝のケガは多いですね。私が代表で務めるサイドのポジションについては、最後のシュートの飛び込みで、ディフェンスとの接触で足首の捻挫等も起こりやすいです。また所属チームで務めるライトバックポジションだと、シュートの際などにディフェンスと肩が絡まって脱臼等をしてしまうこともあります」(金城さん)

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