食事、睡眠、低周波治療器。日々のケアが試合での自信にもつながる
疲労を効率よく回復させ、負傷のリスクを減らすうえでも大切なのが日々のリカバリーケア。その一環として2人はストレッチに取り組んでいるそうですが、それ以外にはどのようなリカバリーケアを行っているのでしょうか。
「まずはお風呂に長く浸かることですね。そのほうが疲労も抜けやすいし、入浴後のストレッチでも、シャワーだけのときより身体が動きやすくなります。あとは基本的なことですが、十分な睡眠時間の確保です。8時間程度はしっかり眠るようにしていますね」(蔦谷さん)
「僕が最近とくに意識しているのは食生活ですね。試合前日はエネルギーを出せるように炭水化物を多めに摂っています。試合後はフルーツ等を積極的に食べて、疲労を残さないよう意識しています。所属チームのジークスター東京でプレーしている時期も、日本選手権のようなカップ戦では試合間隔が短くなるので、『試合の疲労をいかに次の試合に持ち越さないか』は、連戦を勝ち抜く上で非常に大事です」(部井久さん)
このようなリカバリーケアにも役立つ栄養学の知識は「代表の合宿で学んだことが多い」とのこと。
「合宿では食品メーカーの管理栄養士の方が栄養セミナーを毎回開催してくれて、食事を記録して栄養素ごとに数値化してくれます。食生活を改善したからといって即座にプレーが良くなるわけではありませんが、『自分ができる準備は全部やった』と思えると、プレーへの自信は確実に高まります。自分のパフォーマンスを年々向上させることができている背景には、そうしたプレーの技術以外の学びや心がけも大きいと感じています」(部井久さん)
そして2人はリカバリーケアの一環として低周波治療器も利用しています。
「僕はケガが多かったこともあり、中学生の頃は治療院や接骨院で低周波治療器を使った経験がありました。ただ、本格的に使うようになったのは、代表に選ばれてからですね。代表ではケガの治療や日常のケアに役立つ機器が充実しています。疲労の溜まり方が学生時代とは段違いでした。そんななかで低周波治療器を使っている選手たちを見て、『日頃のケアにはこういう選択肢があるんだな』と知り、僕も意識的に使うようになりましたね」(部井久さん)
蔦谷さんが低周波治療器を使うようになったのは大学時代から。入学直後の時期に、恥骨の疲労骨折が判明したのがきっかけでした。
「『ストレッチで治る症状じゃないから、低周波治療器も使うといいよ』というトレーナーさんに勧めで使い始めました。当時は周辺部に常に痛みがある状態でしたが、寝る前などに低周波治療器を使っておくと、痛みが出にくくなった感覚がありました」(蔦谷さん)
肩の疲労回復にも低周波治療器を有効利用していたと話します。
「ハンドボールでは松ヤニ※が使えない時に両面テープを指に貼りますが、僕は両面テープだとリリースの感覚が変わり、肩が痛くなることがありました。そんなときは練習前から低周波治療器を使って、肩の痛みの緩和につとめていました」(蔦谷さん)
※ハンドボールではボールをより強く握れるように松ヤニが使われる。日本の体育館では松ヤニが使用禁止の場合も多く、その場合は両面テープで代用されることが多い。