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自転車を続けるためには身体の「回復」が重要(3 ⁄ 3)

Ukyo Katayama
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プロ・アマ問わず「回復」が大事な時代に

現在はJCL(ジャパンサイクルリーグ)のチェアマンを務め、自らのチーム「JCL TEAM UKYO」ではツール・ド・フランスの表彰台を目指している片山さん。「一番楽しいのは自分が自転車に乗ること」と話します。

「いくつになっても自分を追い込んでいないと、人生は絶対につまらなくなりますから。そして長く自転車を続けるうえで大切なのが、今は『回復』だと思っています。僕は仕事の合間に自転車でトレーニングを行っているので、短い時間で効率的に身体を回復させることができれば、トレーニングの時間も増やせる。実際にケアに気を使いはじめてから、最近はFTP値(Functional Threshold Power、1時間維持できるパワーをワットに置き換えて表示する数値)も向上してきました」

様々なケアを取り入れて、いかに身体を効率的に回復させるかは、「JCL TEAM UKYO」のような世界を目指すチームでも大きな課題になっています。

「プロの世界のトレーニングのメニューは、個人差やスポーツごとの違いはあっても、『こうしたメニューで効果が出る』という確立されたものができつつあります。一方で回復の分野にはまだまだ未知の世界が広がっています。一般的なマッサージは多くのアスリートが取り入れていますが、それに加えて食べ物や睡眠、低周波などの治療機器を効果的に活用することで、まだまだ工夫できることはあるはずです」

「JCL TEAM UKYO」で新たにGMに就任したアルベルト・ボルピさんは、昨年のジロ・デ・イタリアで率いたチームを総合優勝に導いた人物ですが、片山さんたちとのミーティングで「回復」の大切さを強調していたそうです。

「アルベルトは、『トレーニングをすることで人の筋肉は壊れて、それが再生することで筋肉は強くなる。そこで大事になるのが栄養摂取などを通じた効率的な回復だ。回復に力を入れなければ、チームは強くなりようがない』と話していました。強い選手を連れてくれば、必ずチームが強くなるわけではありません。回復の部分にしっかり投資をしてこそ、チームは本物になっていくと思っています」

身体をケアする技術や機器は、日々進化を続けています。

「20年前の車を見たら笑ってしまうくらい古く感じるように、身体をケアする技術や機器も大きく変わっています。これからの時代は、一人ひとりのバイオデータをきちんと取って、そうした最先端の治療法も活用しながら、より個人個人に合わせた回復の方法を作っていくことが主流になっていくはずです」

一般のサイクリストのみなさんも、自分に可能な範囲で新しいケアの方法を取り入れることで、自転車ライフをより充実したものにできるはずです。

<プロフィール紹介>

片山 右京さん

1963年5月29日生まれ
血液型A型 60歳
東京都出身 165cm 60kg

プロロードレースチーム「JCL TEAM UKYO」代表。レーシングドライバー、登山家、自転車競技選手。
1983年にレーサーとしてデビューし、1992年から1997年にかけてF1世界選手権にて活躍する。ライフワークである登山やロードレース選手としての活動も展開し、2012年に「TEAM UKYO」を設立。代表としてチームを率い、ツール・ド・フランスの表彰台を目指す。

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