
キャリア4年で年間ランク日本一。オーバーワークでケアの大切さに気づく
LOVE JAM CREWは福岡県行橋市を拠点に2000年頃から活動するBMXチーム。もともとはコンテストやショーが活動のメインで、代表の鶴田さんの弟の鶴田雄大さんが世界大会で入賞を果たすなど、数多くの好成績を残してきました。
2019年にスクールを立ち上げてからは、メンバーも70人程度に急拡大。戸高千翠さんと2歳下の妹の戸高杏彩(あずさ)さん、3歳下の弟の戸高大翔(やまと)さんが日本一に輝くなど、全国トップクラスのキッズライダーを多数輩出しています。
「杏彩は競技を始めて1年10カ月で日本一になりましたし、3兄妹揃って日本一というのも異例のことです。BMXのフリースタイル競技では、ここ数年で僕たちのようなスクールが全国的に増えていて、世界トップレベルの実力を持つ子供たちが次々と出てきています」(鶴田さん)
なお鶴田さんや戸高さんが取り組んでいるのは、BMXのフリースタイルのなかでも、フラットなエリアで技を披露する「フラットランド」という競技。前後輪の両側にペグと呼ばれる金属製のバーが付いており、競技者はそこも足場として使いながら、まるで自転車上で踊るように様々な技を繰り出していきます。
「ハンドルは360℃回転しますし、アクロバティックなトリックが多いことから、“自転車のフィギュアスケート”とも呼ばれることも多い競技です」(鶴田さん)
戸高さんはジャンプしてフレームをまたぐ技や、自転車を振り回すように動かすダイナミックな技など、女子では彼女しかできないような技も武器としています。
「『ジャンプが高くて技が大きく見える』と言ってもらえることは多いです。後輪を上げてスピンを回る『エルクスピン』が一番の特技です」(戸高さん)
「乗り方がとにかくダイナミックだし、みんなが怖がるような難しい技にも臆せず挑戦する姿勢は、見ていてスゴいと感じます」(鶴田さん)
その上達の早さには、「月に100時間ほど」という圧倒的な練習時間の長さも関係しているでしょう。
「ただ、足首に痛みが出て病院に行ったときは、『自転車に乗りすぎているオーバーワークが原因』と診断され、1カ月ほど自転車に乗れませんでした。その経験から、『自転車に乗る楽しさを続けるためには身体のケアも大切』と気づき、ストレッチなどを入念に行うようになりました」(戸高さん)
鶴田さんも教える側の立場として、コンディショニングやケアについては、より気を使うようになってきたそうです。
「スクールを始めた当初は子供たちに教えること自体が初めての体験でしたが、子供と大人では筋肉量が違うことや、身体にかかる負担が違うことも学んできました。特に負荷の大きな技に取り組むときは、練習前のストレッチなどのケアを行うようにしていますし、徐々に身体を温めて負荷を上げていくことも大事にしています」(鶴田さん)