
睡眠も食事も「無理に頑張りすぎない」のが福士流
陸上競技をはじめた高校生のころを振り返って「身体のこともトレーニングやケアのこともまったく知識がなかった」という福士さん。しかし、卒業後に実業団(ワコール女子陸上競技部)に入ったことで、ランニング環境は一変しました。「食事は栄養士さんが用意したものを朝昼晩食べるようになり、身体は骨密度から血液の成分まで計測されて、いきなりスペシャルなケアを受けるようになりました」と話します。
「チームには東洋医学が専門の鍼灸トレーナーさんや、メンタル・ボディケアが専門の先生など、様々なスペシャリストが揃っていました。そこで言われたことを全部やるうちに身体の使い方が分かってきて、身体について知ることがおもしろくなりました」
身体のケアやコンディショニングでは、鍼にマッサージ、低周波・高周波の治療と、様々なものを活用していました。
「特に即効性を感じたのは鍼でした。身体に一気に血が通う感覚があり、ひどかった肩こりが一発で解消したこともあったので、『将来は鍼灸師の人と結婚しよう』と思っていたくらいです(笑)」
食事では大量の炭水化物を中心に、長距離ランナーに必要な栄養素を摂っていたそうですが、無理してまで食べようとしないのが福士さんのやり方でした。
「強度が高い練習をする時期は、食事もあまり食べられなくなりますが、栄養不足では満足に走れませんし、そのまま休んでも疲れは取れません。頑張って食べる選手もいますが、私は無理してたくさん食べようとせず、食べやすい雑炊にしたり、食べる量を小分けにして食事の回数を増やしたりと、体に負担のかからない食べ方を工夫していました」
睡眠も無理して時間を確保せず、「心のリフレッシュ」を大事にしていたとのこと。
「私はあまり寝ないタイプで、睡眠時間は5時間くらいのときが多かったです。10時に消灯と言われても、『辛い練習も食事もやっと終わって、今から楽しい自由時間なのに!』と葛藤しちゃうんですよね(笑)。でも興奮しがちなレース前などは、映画を見て思い切り泣いた後のほうがスッキリ眠れて、翌日に身体も柔らかくなっていました。メンタルトレーナーさんからも、涙を流すことで身体がどう変わるのかを教わっていたので、心のリフレッシュも大事にしていましたね」