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日本女子陸上界のエースが語る「最高のパフォーマンス」を発揮するための筋肉ケア(1 ⁄ 3)

Nozomi Tanaka
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陸上競技女子トラック種目で次から次に日本記録を更新し、世界の舞台でも継続的に活躍する田中希実選手。安定してパフォーマンスを発揮している理由の一つは、ケガなく継続して練習を積み重ねてきたからだと言います。第一線で結果を出し続けるランナーは、どのような身体のセルフケアを行っているのか。日々、実践している方法を聞きました。

セルフケアの目的は疲労を抜くだけではない。練習の質をあげる「サイクル」へ

現在、プロランナーとして活動する田中選手(New Balance)は、自身でタイムスケジュールを管理しています。身体のセルフケアに割く時間帯も、ほとんど決まっているようです。
「練習終わりのタイミングで時間を取ることが難しいため、いつも就寝前に行うことが多いですね。最低でも30分。丁寧に行うときは、1時間くらいかけます。私は時間のスケジュール管理があまりうまくできなくて、寝る時間が遅くなることもあるのですが」
睡眠時間は大事にしているものの、それと同じくらい身体のセルフケアも重要視しています。何があっても、練習で疲労した筋肉を労るのは日課。自宅ではストレッチ器具を使用し、筋肉をじっくりほぐしていきます。基本的には体幹につながる微細な筋肉から少しずつケアし、最終的に大きな筋肉へ。
「最近、意識しているのは臀部、腸脛じん帯の付け根からケアすること。そのあと、太もも、ふくらはぎ、背中に移っていきます。大きな筋肉は疲れを感じやすいのですが、そこからピンポイントで始めるよりも、小さい筋肉からケアしていくほうがほぐれやすいんです」
年齢を重ねるたびにセルフケアの意識は高まっていると言います。兵庫県の西脇工業高校時代に体幹トレーニングを指導してくれたトレーナーから方法を教わったことをきっかけに、同志社大学での活動を経て、社会人となった今も自分の身体と会話を重ねてきました。田中選手にとってセルフケアの目的は、疲労を抜く作業にとどまらないようです。
「気になった箇所をほぐせば、翌日に疲れを感じないのですが、今度は違う部位に違和感を出ることもありました。そして、またそこをケアしていくうちにどんどん感覚が研ぎ澄まされてきました。疲れやすい部位を把握することで、練習でどこの筋肉をよく使えて、使えていないのかも分かってきました。自分の身体を理解することで、練習の質も高まってきたんです。私の場合、そのサイクルにケアの価値があると思っています」

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