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元世界王者の担当トレーナーが語る今「昔に比べると、プロボクサーのケア意識は変わった」(2 ⁄ 3)

Takamutsu Kobayashi (Watanabe BOXING GYM)
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減量中は余計に筋肉が疲労するのでリカバリーケアは必須

2022年5月、担当する京口選手がWBA世界ライトフライ級スーパー王座の4度目となる防衛戦の準備をしている頃でした。以前、負傷した左肘と左ヒザに違和感を抱えてトレーニングをしていたこともあり、低周波治療器の使用を勧めたと言います。すると京口選手から、予想以上に良い反応があり、すぐに気に入り、練習後のケアで使用することがルーティンになったのです。小林トレーナーはあらためてリカバリーケアの重要性を口にします。
「プロボクサーは試合が決まれば、減量しながらトレーニングをします。体重を調整しているときは、いつも以上に筋肉も疲弊しますからセルフでのケアも欠かせません」
24年夏のある日、いつものようにジムを訪れると、小林トレーナーは目を丸くしました。事務所のデスクにオムロン ヘルスケアの低周波治療器が積み重なっていたのです。マネジャーに聞けば、提供品で届けられたものでした。すぐに2台確保し、1台は京口選手、もう1台は30歳の地域王者、宇津木秀選手へ。同年11月、WBOアジアパシフィック&東洋太平洋ライト級の統一王者となった宇津木選手は、タイトルマッチの前に低周波治療器を使用していたと言います。
「試合前に足の親指の付け根にある母指球に痛みが出たこともあり、甲をはさむように足の裏(足底筋)と表に小さなパッドを貼っていました。ボクシングはパンチを打ち込むときに強く踏み込むので、足の指にも負荷がかかるんです」
マッサージ師の資格を持つ小林トレーナーは、低周波治療器の使い方も担当選手たちにレクチャーしています。違和感、痛みが出た箇所だけをケアするのではなく、その部位の周辺、つながっている筋肉をほぐすことの必要性を説いています。選手たちは一様に素直に取り入れているようです。
「特にチャンピオンクラスは違いますね。新しいセルフケアにも耳を傾けます。マッサージ、半身浴で疲労を抜くことはもちろん、栄養にも気を配っていますから。疲労回復に効果的と言われるアミノ酸の摂り方もそうです」
科学的なコンディション管理により、プロアスリートの選手寿命は年々、伸びていますが、プロボクサーも例外ではありません。30歳からもう一段階、成長していくトップ選手も珍しくない。小林トレーナーは、担当する31歳の京口選手、30歳の宇津木選手の能力をいま以上に引き出すことを誓っていました。

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