
2024年12月にオムロン ヘルスケアとサプライヤー契約を結んだワタナベボクシングジムには、世界チャンピオンへの返り咲きを狙う不屈のプロボクサーたちが何人もいます。元世界2階級制覇王者の京口紘人選手もその一人です。31歳のベテランだからこそ、より大事にしているというリバリーケアについて聞きました。
20代後半でコンディショニングの重要性に気づいた
50.8kg以下のフライ級を主戦場とする31歳の京口選手は、デビュー当初から節制した生活を送り、体重のコントロールにはひと一倍気を使っています。ただ、年齢を重ねるごとに変わってきたのはコンディショニングへの意識。いまは疲労回復、ケガの予防のためにリカバリーケアを欠かしません。若かりし時代を振り返ると、ふと苦笑を漏らしました。基本的なストレッチはしていたものの、特別なメンテナスはしていなかったようです。
「本当に無頓着だったと思います。自分の中ではあまり頭になくて」
無理もないのかもしれません。ジムでどれほどハードな練習をこなしても、睡眠さえしっかり取れば、翌日に疲労感を覚えることはなかったのです。ケガらしいケガもなく、プロキャリアは順風満帆でした。地元の大阪商業大学を卒業後、2016年4月に22歳でプロデビュー。初戦から6連続KO勝利で一躍脚光を浴び、17年7月にはプロ8戦目でIBF世界ミニマム級王者に。その後も2度の王座防衛を果たし、18年12月には1階級上のWBA世界ライトフライ級スーパー王座を奪取。25歳にして、12戦無敗のまま2階級制覇を成し遂げました。
ケガと無縁だった身体に異変が生じたのは27歳のとき。2021年に人生で初めてという骨折で右手親指を痛め、次は左ひじを負傷、さらには左ヒザの腸脛靭帯炎にも苦しみました。1年近く試合から遠ざかり、プロキャリアで初めて長期のブランクをつくりました。
「20代後半からケガが多くなり、あらためてコンディショニングの重要性に気づきました」
しみじみと話す言葉には実感がこもります。