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プロボクシングの元世界王者が行う30分のセルフケア(3 ⁄ 3)

Hiroto Kyoguchi (Watanabe BOXING GYM)
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目次

セルフケアは習慣化していくことが大事

「ケガを期にリカバリーケアの意識が高まり、20代後半でも世界王座を守り続けていましたが、勝負の世界は厳しいもの。22年11月、世間から大きな注目を浴びたWBA・WBC世界ライトフライ級王座統一戦で寺田拳四朗(現WBC世界フライ級王者)に7回TKOで敗れ、プロ初黒星。ただ、最後まであきらめずに立ち向かっていく姿は感動を呼びました。負けて学ぶことは多かったようです。23年5月には再起戦を勝利で飾った後、後楽園ホールのリングでマイクを握ると、不屈の精神で戦い続けることを誓っていました。
「勝ち続けるだけが人生ではないです。負けることもあります。でも、僕はこうして再び立ち上がりました。こけても立ち上がれます」
世界王座に返り咲くのは簡単ではありません。24年5月にフィリピン人のビンス・パラスに判定負けで敗れて2敗目。それでも、5カ月後に同じ相手と再び拳を交えて判定勝ちを収めて、再び目標に向かって走り出しています。がむしゃらに練習に打ち込んだ20代のときともう同じではないです。自分の身体と相談しながらトレーニングする必要性をひしひしと感じていました。
「朝9時からロードワークで走っていますが、50分程度ですね。腸脛靭帯を痛めてからは無理していないんです。痛みが出るのは怖いので。違和感を覚えたら、すぐに低周波治療器を使うようにしています。練習は週5回。ケガする前は週6回でしたけど、いまはオフの休養も大事にしています。練習の量を増やせばいいという年齢ではありませんから。リカバリーケアも怠らないようにしたいですね」
サプライヤー契約を結んでからはジムのロッカーにいつも低周波治療器が入っており、すぐに使えるようになっています。今後の目標は、ずっと口にしている世界3階級制覇。現在、フライ級は日本人チャンピオンが2つのベルトを保持しており、チャンスも十分にあります。「2025年は勝負の年」と言葉に力を込めていました。
取材を終えた夕方の時間帯になると、ジムのフロアには将来有望な若いプロボクサー、仕事帰りの一般会員の姿も見え、サンドバックを叩きながら汗を流していました。京口選手は懸命に練習するジム生の姿に目を向け、つぶやいていました。
「セルフのリカバリーケアは、若い選手たちにもしっかりやってもらいたいです。まずは自分からですが、習慣化していくことが大事だと思います。たとえ、プロボクサーでなくてもボクササイズなどでパンチを打つ機会があれば、思っている以上に下半身、腰にも疲労がくるのでケアの部位には気を使ってもらえれば、と思います」

<団体紹介>

ワタナベボクシングジム

公式ホームページ:https://www.watanabegym.com/

京口 紘人さん

1993年11月27日生まれ
大阪府出身
第31代WBA世界ライトフライ級王者
第23代IBF世界ミニマム級王者
第20代東洋太平洋ミニマム級王者

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