2. リカバリーケア方法
ストレッチポール、ローラーなどによるセルフマッサージは、リカバリーケアの一つです。このとき、一緒に太ももの裏だけではなく、疲労が溜まりやすい臀部(おしり)の筋肉もケアするといいでしょう。臀部の筋肉が軽くなると、足の血流も良くなります。
あとは温冷交代浴。ふくらはぎと方法は同じです。下半身を氷水または冷水(水温5度から7度)に1分間浸け、次に温水に3分間浸かります。この4分間1セットを計5セット行います。水風呂を用意できない場合は、冷たいシャワーで代用することもできます。
オムロン低周波治療器のリカバリーモードを使用するのも一つです。運動後、汗を拭き取り、パッドを正しく貼り付けてケアしましょう。
パッドの貼り方
パッドは縦向きに貼り、太もも裏側の筋肉に刺激を入れます。ヒザ裏と臀部のちょうど真ん中に貼るようなイメージです。縦に長い大腿二頭筋をケアします。
何よりも大切なのは、リカバリーケアを行う習慣をつけることです。空いている時間にいかに自分の体と向き合うか。1日の行動を思い返し、何をして、疲れたのかを把握することが大事です。疲れていないときとは何が違うのか。自らの体としっかり対話しましょう。いつもと調子が違うようであれば、気をつけなければいけません。
ハムストリングスは、何の前触れなく肉離れを起こすことがあります。体が軽いときに限って、トラブルが発生したりします。特に好不調の波が大きい人は、注意が必要です。絶好調のときこそ、気をつけてもらいたいものです。トップアスリートを見ていると、調子の振れが小さい傾向にあります。常に高いパフォーマンスを発揮できる選手ほど、大きなケガが少なく、選手寿命も長いです。また、一定のコンディションを安定して保つことは、ケガを未然に防ぐことにつながります。そのためにも疲労を残さないリカバリーケアが大切です。
3. ケガの予防方法
ケガを予防するための有効な方法の一つは、股関節の柔軟性を高めることです。股関節が硬ければ、足の可動域が狭くなり、太ももと臀部の筋肉にかかる負担が大きくなります。ハムストリングの肉離れのリスクを高める要因にもなり、さらには腰痛を引き起こすこともあります。ただ、股関節が柔らかければ、まったくケガをしないかといえば、そうではありません。アスリートはもちろん、スポーツを楽しむ上でも、最低限の可動域は確保しておいたほうがいいでしょう。日々のストレッチ、さらにはトレーニング器具を使用して、股関節は柔らかくすることができます。
筋力トレーニングをするのも効果的です。中高生年代から始めても問題ありません。かつては「スピードが落ちる」、「ケガをする」という否定的な意見もありましたが、決してそうではありません。むしろ、正しいフォームで筋力トレーニングを行うことで、体幹も強くなります。ただ、個人で器具を使わずにハムストリングスを鍛えるのは簡単ではありません。強いて挙げるならば、プールの中で後ろ足を蹴り上げる動作で、ハムストリングスに負荷をかけることができます。またゴムチューブを使ったトレーニングなどもあります。