柔軟なスケジュール調整で体調管理
ルーティンをつくらないのは、ウォーミングアップだけではなく、コンディション調整にも共通しています。小野監督は、週間のトレーニング計画を立てる上でも、選手たちの疲労度をチェックし、柔軟にスケジュールを調整しています。フィジカルトレーニングの重要性を理解し、チームでも取り入れていますが、決まった曜日に必ず行うことはありません。
「週末に試合があるサイクルであれば、基本的に月曜日はオフ。フィジカルトレーニングは火曜日としているチームは多いでしょうね。週の前半に持ってくる理屈も分かります。指導者の目線で考えれば、月曜日のオフで疲労を抜いて、火曜日から本格的に始動したい。でも、高校生たちはオフの月曜日も学校で授業を受けていますから。疲労が完全に抜けていないこともあります。疲れを残したままトレーニングに臨んでいる状態であれば、ネガティブなものになりかねません。いろいろな考え方はありますが、私の場合は選手たちのコンディションを見て、適宜対応しています。何が正しいかではなく、何がいま自分たちに必要かを考えています」
教科書通りの型にはまった指導ではなく、試行錯誤しながら最適解を見つけているところ。小野監督の指導法で一貫しているのは、状況に応じて臨機応変に対応することです。そして、選手たちを一律で見ないこと。同じ高校生でも、身体の特徴も違えば、日によってコンディションも違います。だからこそ、選手たちの状態は常にチェックしています。
「選手たちの状態を把握しないまま、指導するようなことはありません。疲労の蓄積だけではなく、痛みを抱えていないかどうかも確認しています。足首の捻挫が完治していないのに、自らの判断で練習に参加するケースもあるので。小中学校時代のケガを抱えたまま、入学してくる選手も少なくありません」関東第一高校として、頭を悩ませているのはリカバリーケア。夏場であれば、すぐに温冷交代浴を行うなど、できる限りのことを行っていますが、問題もあります。練習場は学校所有のものではなく、使用時間が限られているのです。練習時間は準備運動を含めて2時間のみ。施設内でクールダウンに時間を割くのは難しい状況です。
「練習後のストレッチなどは欠かさないのですが、リカバリーケアはうちの一番弱い分野だと思います。本当はじっくりやりたいんですけどね」
施設の外でリカバリーケアをすることもあれば、自転車で練習場から学校に移動して行うこともあります。土地が限られている東京都内の高校ならではの問題ではありますが、ここでもケース・バイ・ケースで対応しています。