「監督の私を驚かせてほしい」
佐藤監督は、グラウンドで常に目を光らせ続けています。
「まだ未熟な高校生ですから、悪いところを100個指摘するのは簡単です。それよりも、私は良いところを探して、言うようにしているんです」
選手の気分をのせるのもお手の物。エースとして期待する森重選手に空中戦で強さを発揮してもらいたいときには、「お前がヘディングすると、龍みたいぞ」と褒めたこともありました。ただ、これは選手の性格を考慮した上での言葉です。
「もしも私が『ヘディングしろ』と言い続けていたら、『僕は高いボールが来たら胸で止めます』と言ったかもしれません。こちらの言い方ひとつで、選手は変わります。森重の場合は『ドラゴンヘッドですね』と乗ってきて、実際の試合でも周囲が度肝を抜くようなヘディングシュートを決めてくれました。どうすれば、その選手が良くなるのか、こちらも考えないと。まずは選手と真摯に向き合うことが大切です」
佐藤監督は全国高校選手権を控えて、考えを巡らせながらも、トレードマークであるピンクのユニホームで躍動する選手たちの可能性を信じていました。
「夏とはまた違うチームになっています。監督の想像もしないようなプレーを見せてもらいたい。私を驚かせてほしいんです。いまの選手たちであれば、もっとできると思っています」
2022年度も“桃色旋風”に期待せずにはいられません。