アマチュア

コツコツと日々の努力を重ねて、身体づくりに取り組む(1 ⁄ 3)

Fukuoka University Football Club
Soccer

目次

大学サッカーきっての強豪チームとして長年その名を知らしめている福岡大学サッカー部。2022年は九州大学サッカーリーグとインディペンデンスリーグ九州でともに優勝を果たしました。その見事な成績には、チームがリカバリーケアのための環境整備に注力していることも貢献しているようです。フィジカルコーチを務める奈良崎寛(ならさき ひろし)さん、ミッドフィルダー/フォワードの北條真汰(ほうじょう しんた)さん、ディフェンダーの伊藤颯真(いとう そうま)さんの3人に、チームのトレーニングやケアの取り組みについて話を伺いました。

必要なリカバリーケアは選手によって異なる

フィジカルコーチを務める奈良崎さんは、GPSで測定した選手の走行距離などさまざまなデータを検証しながら、チームや選手個人にとって最適なトレーニングを課すことに取り組んでいます。

「私が福岡大学に来て6年目なのですが、毎年、選手の能力や向かうべきサッカースタイルを見据えて試行錯誤しながら、どのようなトレーニングをおこなうかを考えています。サッカーでは、走り続けられる持久力と、瞬発的に力を出す強度の高いパフォーマンスの両方が求められる。その2つを選手たちがバランス良く両立させることが重要です。今年は強度を高めるトレーニングを重視しました。その成果は少しずつ表れているかなと思います」(奈良崎コーチ)

トレーニングを重ねることで蓄積する疲労をいかに取り除くかも、フィジカルを管理するうえでの大きな課題です。トレーニングと身体のコンディショニングのバランスについても、さまざまなデータを扱いながら計画を立てるのだそう。

「トレーニングは、試合が終わった後の休み明けに強度を上げてコントロールしていくことが一般的なのですが、それが果たして福岡大の学生たちにとって良いのか、年齢や環境を見極めながら考えます。手術歴があったり故障しがちな選手、疲労がたまっている選手、疲れているけどより鍛えたい選手……どこまで頑張ってどこから休ませるかはひとりひとり違うので難しい。毎日ほかのスタッフと相談しながら、感覚的なところもデータも考慮して試行錯誤しています」(奈良崎コーチ)

トレーニングにおいては、ケガを予防するためのメニューも欠かせません。トレーニングルームとグラウンドを使い分け、それぞれ異なるメニューでケガをしない身体をつくります。

「まず、トレーニングルームでのウェイトトレーニングで身体を強くすることが絶対的に必要になります。身体を柔らかくして可動域を広げるメニューも用いながら、ボールを使ったトレーニングとは違うメニューでケガを予防します。グラウンドでは、例えば〈守備を強化する〉など、毎日異なるテーマを設けてトレーニングをおこなうのですが、そのテーマによってウォーミングアップの内容も変わります。ストレッチや体幹トレーニング、チューブやボールを使ったメニューなどで身体の準備をおこないます」(奈良崎コーチ)

福岡大学サッカー部は整骨院や病院と連携し、選手のリカバリーケアに対する充実した環境を用意しています。奈良崎さんは、具体的なケアの仕方については医師やトレーナーなど専門家の判断を仰ぎながら、フィジカルコーチとしてチーム全体を見て、選手たちのリカバリーケアをサポートしています。

「医療機関との連携がここまで整備している大学サッカーチームは他にないかもしれません。日頃のケアについても病院の先生やトレーナーからアドバイスをいただいて、選手たちがそれぞれのメニューに取り組んでいます。マッサージガンやストレッチポールといった物を個人で取り入れている意識の高い選手も増えているかなと。そういったケアでも追いつかないくらい疲労を溜め込んでいる時には、低周波治療器も活用してもらっています。移動中など、これまでだったら何もできない時間をケアに活用できるところもありがたいですね」(奈良崎コーチ)

SHARE

Back