個人に合った準備とケアが大事
大学2年目までは学業に追われ、時の流れの速さを感じるばかり。気づけば、日が暮れて、1日が終わることもありました。身体づくり、リカバリーケア、準備などに関しても、トレーナーから指示されたことをこなすのが精一杯。生活のリズムが落ち着いたのは大学3年目です。オクラホマ大へ編入し、ようやくアメリカにも慣れてきました。
「個人に合った準備、ケアは大事ですね。日本に比べると、海外ではウォーミングアップの時間が短かったので、なるべくグラウンドに早く出て、一人でストレッチも行うようにしていました。ゴムバンドを使って、コアトレーニングで刺激を入れてから練習に入るようにしました」
自ら空き時間を見つけ、リカバリーケアに割く割合も増やしました。チームの全体練習は午前中が多く、午後からは授業。講義のコマ数が少ない日は夕方から大学の施設で温冷交代浴、さらにはトレーナーからマッサージ、血行を促進するエアーコンプレッションシステムの器具で疲労回復に努めました。夏から秋にかけてのリーグ戦期間中は、週2回のスパンで試合をこなし、移動しながら身体のケアを行いました。
「遠征にはトレーナーが帯同し、エアーコンプレッションシステム、ローラーなどの器具を持ち運び、時間を見つけて、リカバリーケアをしていました。アメリカの大学はプロ並みに環境を整えるところもありますから」
2度の長期離脱を経て、ケガ予防につながるリカバリーケアの重要性を再認識したと言います。大学の3年目、4年目は大きなケガもなく、シーズンを過ごすことができました。プロとして活躍する今、あらためて振り返ると、その後のキャリアに生きたことは多かったようです。
「設備が整ったアメリカの大学で深い知識を持ったトレーナー、フィジカルコーチに教わり、専門家の必要性を感じました。プロになってからも、個人として、スペシャリストに身体を見てもらった方がいいな、という考え方になりました」
後編はプロサッカー選手として、キャリアを歩み始めたヨーロッパでの話です。
<プロフィール紹介>

黒崎 優香さん
プロサッカー選手
1997年福岡県生まれ。フィンランド女子1部リーグKuPS(クオピオ・パッロセウラ)所属。サッカー強豪校の藤枝順心高校に進学し、キャプテンとして全国優勝を経験。卒業後、アメリカの大学に進学し、オーストリア、ノルウェー、フィンランドでプレー。2023年はフィンランドのKuPSで、リーグ優勝とカップ戦優勝の二冠を達成し、活躍している。