空白期間にあらためて学んだひたむきな姿勢
2022年シーズンまでノルウェーで過ごしましたが、次のクラブが見つかるまでは約7カ月かかりました。所属クラブなしの状態です。精神的に不安定になってもおかしくありませんが、本人は笑みを浮かべて、当時を振り返ります。
「みんなに聞かれるのですが、不安はなかったです。チームが決まっていない期間があっても、マイナスに働いたとは思っていません。むしろ、多くのことを学べました」
空白の期間は千葉県リーグに所属する社会人男子チーム市川サッカークラブの練習に参加し、コンディションの維持に努めました。自分を信じ、海外からのオファーを待ち続ける日々。一度はまとまりかけた交渉も急きょ、白紙に戻ったこともあります。決まって欲しいと切に願いつつも、いまできることに目を向けていました。当初は男子選手と練習することに対し、スピードとパワーの違いから「無理だ」と自らで限界を決めつけてしまっていたと言います。ただ、男子選手と練習を積み重ねていくにつれて徐々に目が男子のスピードにも慣れてきました。
「意外にできるという感覚になったんです。男子の中でプレーしたことで判断のスピードは上がったと思います。身体づくりもしっかりできました。何よりも、働きながら真剣に練習する人たちを見て、刺激を受けました。みんなすごく必死。私は恵まれた環境でサッカーをしていたんだな、と思いました。プロは勝ち負けの世界ですが、あらためて好きなサッカーにひたむきに取り組む姿勢は大事だな、と」
キャリアの空白期間を無駄にすることはありませんでした。