低周波治療器のモードは日によって変える
あきらめずに地道に努力を続けてきたことは報われました。2023年7月、フィランド1部リーグへの移籍が決定。シーズン途中からフィンランド国内強豪クラブのKuPS(クオピオ・パッロセウラ)に加入すると、すぐに結果を残します。出場機会をつかむと、ゴールに絡む活躍を増やし、8月には初ゴールを記録。渡欧した当初、目標に掲げたチャンピオンズリーグ出場を果たし、カップ戦とリーグ戦の国内2冠達成にも貢献しました。ノルウェー時代の経験を生かし、日照時間が変化する北欧の環境にも適応。もう睡眠で悩まされることもありませんでした。リカバリーケアの時間を増やし、身体のメンテナンスを徹底したこともあり、ケガなくシーズンを終えることができました。
「疲労度に対して、チームで行うリカバリーケアの時間が足りていなかったので、セルフケアで補っていました。アメリカほど施設が充実していなかったこともあり、器具は自分で買いそろえた物も多いです」
アメリカの大学時代にチームで使用していたエアーコンプレッションなどは個人で購入。フィランドは入浴施設が少ないため、国内でポピュラーなサウナで代用し、温冷交代浴をしていました。自宅ではオイルを塗り、ストレッチ。筋肉をほぐすためにゴルフボール、ホームローラーなども利用。リカバリーケアにはセルフで1時間以上はかけていました。そこで役に立ったのが、オムロンの低周波治療器です。
「練習後、自宅に帰宅したあと、空き時間をみつけて、一人でパッドを貼ってケアしていました。疲労が溜まりやすいふくらはぎ、昔に故障したことのある足首などはよく使う部位ですね。筋力トレーニングのあとは太ももの前、後ろにも使用します。モードは日によって変えることが多くて、そのときの自分の状態に合ったものを選びます。リカバリーケアだけではなく、練習前、筋肉をほぐすときにも使うことがありました」
プロは身体が資本。こだわりは尽きません。今冬のシーズンオフからはサッカー日本代表の長友佑都選手らの関連書籍を読み漁り、食事にもより気を使うようになっています。さっそく糖質制限にトライし、体質改善に取り組んでいるところです。
「体重が落ちるだけでなく、これまでと同じスピードで走っても、心拍数が上がらなくなってきています。専門のシェフを雇うことはできないですが、自分のできることはトライしていこうかなと。世界のトップで活躍するプロアスリートたちは、みんなこだわっています。身体づくり、ケアなどを徹底しないと、上には行けないと思っています」
プロサッカー選手としての目標は、ずっと変わりません。高校時代に夢見たアメリカのNWSL(アメリカ女子リーグ)でプレーすることです。
「代表クラスではない無名の選手でも最初の一歩を踏み出せば、海外で活躍できるんだということを証明したいと思っています。海外でプロになり、ステップアップしていけるんだって。できる限りサッカーを続けて、パイオニアのような存在になりたいです」
24年1月、新年早々にうれしいニュースが届きました。黒崎選手の目指してきたNWSL入りが決定。レーシンググルイビルFCと契約を結び、SNSに喜びのコメントを寄せています。
「契約書を見て、サインをした時は心が震えるほどうれしかった。この感情を忘れないように、そして私を信じてくれたレーシンググルイビルFCのために全力を尽くします」
新たな冒険が、また始まろうとしています。
<プロフィール紹介>

黒崎 優香さん
プロサッカー選手
1997年福岡県生まれ。フィンランド女子1部リーグKuPS(クオピオ・パッロセウラ)所属。サッカー強豪校の藤枝順心高校に進学し、キャプテンとして全国優勝を経験。卒業後、アメリカの大学に進学し、オーストリア、ノルウェー、フィンランドでプレー。2023年はフィンランドのKuPSで、リーグ優勝とカップ戦優勝の二冠を達成し、活躍している。