
トレーニングで変わったところ/変わらないところ
強豪テニスチームとして名高い亜細亜大学テニス部に、同級生として揃って入部した熊坂選手と堀内選手。二人が本格的にプロ選手を目指すことにしたきっかけも、期せずして同じ出来事でした。
「大学に入った時からプロになろうという気持ちは持っていたのですけど、その時点ではまだ漠然としていて。その後の1年生の1月頃に全豪オープンというテニスの4大大会のひとつを見に行って、その時に世界のトップ選手の試合を目の当たりにして、自分もここでプレイして勝ちたいと思ったのです。目標がしっかり定まった瞬間でした」(熊坂選手)
「僕は中学生から本格的に大会に出場し始めて、その時からプロになりたいと思っていました。大学も強くなりたい、プロになりたいという理由から選んだのです。そして全豪オープンを見に行った。熊坂と一緒で、そこでプロの舞台をリアルに体感できたことが大きかったですね」(堀内選手)
熊坂選手は「イカイ」所属、堀内選手は「マイシン」所属。それぞれ別の場でプロ選手の道を歩みながら、ふたりとも現在も母校のコートで練習に励み、同じ時間を共有することも多いのだそう。
「僕も熊坂も亜細亜大学で練習することが多くて、一週間に5〜6日くらい来ることも珍しくありません。それくらい練習の拠点にしていますね」(堀内選手)
「どの大学よりも練習やトレーニングの時間が長いと思います」(熊坂選手)という亜細亜大学テニス部。その学びの場で培ったトレーニングのメソッドは大きな財産になっていると堀内選手は語ります。
「トレーニングに関して、僕は学生の頃に定まったやり方をあまり変えずに今も続けています。体力をつけるトレーニングをベースにしていますね。プロになって大きく変わったのは、試合に出場する回数が学生の頃の3倍くらいになったこと。だからトレーニングをやり過ぎると体力的に厳しくなる時もあります。でも自分は、試合前でもトレーニングのメニューは変えないでやっていますね」(堀内選手)
「学生の時は基礎体力をつけたり全般的な力を上げたりするメニューが中心でしたけど、僕の場合はプロになって、より自分の強化したい部分に集中してトレーニングするようになりました。具体的な動きやショットなど、専門的なトレーニングを重視しているのが変わったところだと思います」(熊坂選手)
プロになり試合の数がぐっと増えたことで、よりタフな戦い方が求められるようになり、戦略の立て方もおのずと変わっていったのだそう。
「試合の数が増えましたし、そのうち9割以上が海外遠征なんです。身長の高い海外の選手を相手にすると、僕らはより走らないといけないですし、疲労度が全然違いますね。そのなかで決勝まで5〜6試合戦える身体が必要になってきます。なので、ベースのトレーニングは大学の時以上に取り組んでいます」(熊坂選手)
「大学の頃は学生大会がいちばん大事で、負けられない戦いがほとんどだったので守りに入るところがありました。プロになると、年間を通した勝ち負けのアベレージを気にしながら、試合によっては勝負の結果よりも新しい動きにトライすることに重きを置くこともあります。いろんなところでいろんな選手と試合をしますし、戦い方は大きく変わりましたね。」(堀内選手)