
練習環境もケアの意識も時代に合わせてアップデート
松岡修造さんをはじめ、数多くのプロテニスプレイヤーを輩出してきた柳川高校。2022年のインターハイ団体戦では16年ぶりの優勝を達成。2023年の全国選抜では武方選手がシングルスで優勝と、近年も好成績を収めています。
その強さの背景には、高校の部活では異例といえる練習環境の充実ぶりがあり、武方選手もそんな環境に惹かれて柳川高校テニス部を選んだそうです。
「初めて練習に参加した際は、プロの方と練習できる点も含めて、練習環境が非常に整っていることに驚きました。学校内にはゴールドジムの小規模なジムもあり、今はそこでウエイト・トレーニングもしています」(武方選手)
柳川高校にはプロテニスプレイヤーの本村剛一さんなどのOBが外部コーチとして練習に参加。男子テニス部の本田監督は「OBたちが練習環境を整えてくれている点は、柳川高校の強さの理由の一つになっています」と話します。
そして今年には全天候型の室内コートが完成。「スポーツブレイン」という最新の脳科学の知見に基づいたトレーニングを取り入れるなど、その練習環境は時代に合わせてアップデートを続けています。それは身体のケアについても同様です。
「近年は身体のケアやリカバリーについても世の中に情報が多くなりました。練習後の寮では、さまざまな機器を使ってストレッチをしている選手もいますし、選手の意識や行動も大きく変わったと思います。その変化については、金子トレーナーのような専門職がサポートしてくれていることが大きいですし、そのおかげで選手たちもケガを誘発しない・悪化させないための知識を身につけられています」(本田監督)
2019年から男子テニス部のトレーナーを務める金子さんは、大会への帯同を中心に選手をサポート。ストレッチの基本的なメニューを最初に教えるほか、その後は選手個々人に合わせたセルフケアの方法なども助言しています。
「野球などの団体競技では、ケガや痛みのある選手はメンバーから外れて休養や調整もできますが、テニスは一人ひとりが戦う個人競技。部活全体で行うストレッチや、トレーナーが行うケアも大事ですが、やはり常日頃から個々人がセルフケアを行うことが大切です。またテニスは肘、腰、太ももやふくらはぎなどの脚部を中心に、ケガや痛みが出る部位は非常に広い。選手個人によって必要なケアも異なってきます」(金子トレーナー)