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2010.12.10

vol.90 「更年期高血圧」に注意しましよう

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更年期に増える女性の高血圧

Vol.90 「更年期高血圧」に注意しましよう 若いころから血圧が低めで、「自分は低血圧だ」と思っている女性は少なくありません。また、健康診断ではずっと正常だったので、「血圧は気にしていない」という方も多いでしょう。
ところがそうした女性でも更年期になると、高血圧になる可能性がでてきます。そのことをよく示しているデータがあります。
女性の高血圧症の有病率を年代別にみますと、30歳代までは全体の数%にすぎませんが、40歳代になると14.2%(予備軍をふくめると32.4%)、50歳代では39.2%(58.3%)、60歳代では57.6%(74.9%)と、更年期を境に急増しています(※1)。予備軍までふくめると、40歳代では3人に1人、50歳代では半数以上が高血圧か、その危険性があることになります。
それほど身近な更年期高血圧なのですが、理解が進んでいるとはけっしていえません。体調不良などで受診した際の血圧測定で、自分が高血圧だと初めて知って驚く方も少なくないのです。
更年期になると、なぜ血圧が上がりやすいのでしょうか。
更年期によくみられる症状(めまい、動悸、イライラ、頭痛、ほてりなど)は、女性ホルモンの一つエストロゲンが減少し、ホルモンバランスが乱れることが原因とされています。更年期高血圧の場合には、エストロゲンの減少にともない、血圧をコントロールしている自律神経の働きが乱れることが大きな影響を与えていると考えられています(※2)。
更年期の始まりは人によって差がありますが、40歳を過ぎたころからは自分の血圧にも気をつけ、いままで以上に細かい体調管理が必要となってきます。とくに、更年期高血圧には、ふつうの高血圧とは違う面もあるので、その特徴や対策を知っておくことが大切です。

(※1)厚生労働省「国民健康・栄養調査(2006年)」による(妊婦を除く)。予備軍とは「そろそろ注意が必要」とされる正常高値血圧の段階です。

(※2)エストロゲンの分泌量が減ると、脳(視床下部)からはエストロゲンをもっと出すようにという指令が出ますが、分泌機能が衰えていると対応できません。そうした無理な指令がくり返されると、同じ視床下部からの指令を受けている自律神経(交感神経、副交感神経)に影響を及ぼし、それが血圧のコントロールを乱す原因になると推定されています。ただし、更年期高血圧の原因には自律神経の乱れのほかに、肥満や運動不足などさまざまな要因も関係しています。

更年期には血圧が不安定に

更年期高血圧には、血圧が不安定で変動しやすいという特徴がみられます。
たとえば、ふだんはそれほどでもないのに病院で血圧測定をすると高くなったり(白衣高血圧)、めまいや頭痛などの症状と併せて血圧が上がったり、イライラや睡眠不足が原因で血圧が高めになったりと、ちょっとしたことがきっかけで血圧が変動しやすいのです。
その背景には、更年期特有の不安やストレスが関係しています。めまいや動悸があるとだれでも不安になりますし、イライラするとストレスがつのります。さらに更年期は、子どもの就職や独立、親の介護など環境の変化も重なることが多い時期です。その結果、血圧が上がると、さらに不安やストレスが増すというように悪循環を起こしやすいのです。
どうも血圧が不安定だ、変動しやすいという場合には、更年期高血圧を疑って早めに受診するようにしましょう。
また、更年期高血圧は、めまいや動悸、頭痛、あるいは不安感などを併発することが多いので、治療を受けるときにも注意が必要です。
症状の程度にもよりますが、高血圧症は内科や循環器科、めまいや動悸、ほてりなどの更年期障害は婦人科、不安感や自律神経失調症などは神経科や心療内科というように、別々の病院(診療科)にかかるケースも少なくありません。
そうした場合、薬や治療法によっては副作用などの影響で治療効果が上がりにくいこともあります(※3)。また、更年期の症状にはメンタルな要素も大きいため、人によっては抗不安薬などがもっとも効果的というようなケースもあります。
複数の病院・診療科で治療を受ける場合には、それぞれの医師にそのことと使用している薬などを伝え、どちらの治療を優先するか、どのような治療法を選択するかなどについて話し合っておくことが大切です。いくつかの強い症状が重なっている場合には、医師同士で連携して治療にあたってもらうようにしましょう。

(※3)一部の例ですが、更年期障害の治療の一つホルモン補充療法では血圧が上がりやすくなることがあります。また、高血圧治療のための降圧薬(カルシウム拮抗薬など)では、血管を拡張する作用があるものは頭痛や動悸を起こすこともあります。使用する薬の種類や量などによっても違いがあるので、医師とよく相談してください。

更年期高血圧の対策

更年期高血圧が疑われる場合、もっとも大切なのは放置しないことです。一時的な血圧上昇くらい、と思いがちですが、くり返すうちに慢性的な高血圧状態になりかねません。
更年期をすぎると正常血圧に戻る方もいますが、1章で紹介した女性の高血圧症のデータからもわかるように、むしろ更年期を境に高血圧症になりやすいと考えておくほうがいいでしょう。
もし高血圧症を発症すると動脈硬化を促進し、さらに脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気のリスクも高まります。それだけに早期受診を心がけ、更年期高血圧にきちんと対応して、高血圧症にならないように予防することが大切です。
更年期の症状(めまい、動悸、頭痛、ほてりなど)の多くは、自分では対応しにくいのですが、更年期高血圧については家庭で血圧測定をおこなうことで自分の状態をある程度知ることができます。
朝晩の定期的な血圧測定にくわえて、めまいや頭痛などの症状が起こったときの血圧も記録し、自分の血圧の変動パターンを知っておきましょう。急に血圧が上がったときには、その内容と背景(症状、ストレスや睡眠不足の有無など)をメモしておくと、予防にも役立ちます。
また、受診時にその記録を医師にみせることで、更年期高血圧かどうかの診断の助けになります。さらに病院ではわかりにくいタイプの高血圧(白衣高血圧、仮面高血圧、早朝高血圧など)の早期発見にもつながります。
更年期高血圧と診断されると、医師からは食生活や運動習慣などについての生活指導がおこなわれます。その内容をきちんと守ると同時に、自分でもストレス解消を心がける、睡眠不足にならないようにするなど、生活全般を見直し、心とからだの両方に負担のかからない生活を心がけることが大切です。
とくに、妊娠時に高血圧になった経験がある方は、更年期高血圧になりやすいので早くから注意が必要です。また、家族(親や兄弟姉妹)に高血圧症の方がいる場合や、運動不足などで肥満気味の方も血圧が上がりやすいので対策をしっかりとるようにしましょう。

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