「大会や遠征時も、リカバリーケアは怠らない」
とはいえ、休みなく毎日トレーニングしているわけではありません。日曜日に試合があれば、翌日の月曜日はリカバリーメニューと筋力トレーニング。火曜日は完全休養。水曜日は筋力トレーニングを含めたフィジカルトレーニング。木曜日から土曜日は、試合に向けての対策と練習に充てています。1日の練習時間は基本的に2時間ですが、強度の高いトレーニングのため疲労が溜まることもあります。だからこそ、疲労回復、ケガ防止のために練習後、試合後のリカバリーケアは欠かさないように実施しています。
「ジョグやストレッチをして、疲労回復のためにサプリメントや酸素水を取り、ミネラルを含んだ食事にするなど、いろいろと試しながらやっています。いつもと様子の違う選手がいれば、個別に痛めている箇所があるのかどうかも聞きます。どこに疲労が溜まっているのかを確認し、トレーナーと相談するようしています。必要があれば、酸素カプセルに入れたり、電気治療やマッサージを受けに行く選手もいます」
全国各地へ大会や遠征に出るときも、リカバリーケアは怠りません。関東地方への移動となれば、10時間ほどバスで揺られることもあります。試合の帰りにはバケツの中に足を入れて、アイシングしている選手もいます。
「最近、オムロンの低周波治療器も手に入れたので、遠征に出たときは行き帰りのバスでどんどん使っていきたいと思っています」
ただ、大会に出るときも選手任せにすることはありません。必ずと言っていいほどトレーナーが帯同し、ケガ予防には細心の注意を払っています。たとえケガをした場合でも迅速に対応できる体制を整えています。チームトレーナーだけではなく、チームドクターもいるので、すぐに相談、診察してもらい、的確な治療や処置を施すようコントロールしています。
「メディカルがルーズになると、本来、試合に出られるはずだったのに、出られなくなったりもしますから。無理して試合に出て、ケガを悪化させるのは一番よくないので」
毎年、全国制覇を目指す青森山田高校は申し分のないトレーニング環境を整えていますが、それだけでは何度もタイトルをつかみ取ることはできません。黒田監督は自信を持って言います。
「青森山田の選手たちは、24時間365日という時間を常にコントロールし、良い習慣を確立させるため互いを高め合っています。選手たち自身が意識を高く保ち、日々の生活を送っています。これは全国のどこのチームにも負けないでしょう。普通の高校生のようにどこかへ遊びに行く時間には使っていませんし、欲してもいません。サッカー選手である以上、1日24時間を自分でマネジメントしないといけない。全体の練習は2時間程度。残りの22時間をどのように過ごすのかが大事。学校生活があるなかで睡眠時間を確保し、身体のケアもする。毎日の積み重ねが、結果につながっていくのだと思います」
高校サッカーの新時代をリードする青森山田高校。強さの裏には、常に身体と向き合う姿がありました。これからさらに優勝回数を増やしていくであろう彼らの活躍に期待が高まります。